年々増えるITフリーランス、その理由とは?
PE-BANK(当時の名称は首都圏コンピュータ技術者共同組合。2007年株式会社化し、15年に現在の社名に変更)は1989年、フリーランスエンジニアが安心して能力を発揮し、未来に向上していける環境を提供するために設立された、フリーランスエンジニアの専門エージェントである。「ITフリーランスの社会的地位がより一層高まる社会を作り上げていきます」という理念を掲げて活動している。
現在日本でITエンジニアとして働いている人は150〜160万人。その大半は会社に所属しているが、「25万人前後がフリーランスとして活動しており、近い将来には30万人ぐらいになると予想されている」と高山氏は説明する。
年々、フリーランスとして働くITエンジニアが増えている背景にあるのは、「職業観が変わってきたこと」と高山氏は語る。高山氏がPE-BANKでフリーランスエージェント営業という業務に携わった頃のITエンジニアの職業観は「どこの会社で働くか」と所属の価値を重視していた。しかしだんだん、何の役割をするかという職種やポジションの価値を重視するようになり、さらに近年ではワークライフバランスと働き方の価値を重視するようになった。そして現在の職業観は「何をするのか」という「やることの価値を重視して考えるようになってきている。やりたいことを実現することを第一に考えるため、就業形態にこだわりを持つ人は少なくなっていると思います」(高山氏)
ITフリーランスとして、自分のやりたい仕事と出会うためには、どんな仕事の探し方があるのか。PE-BANKなどのエージェントを活用する方法もあれば、クラウドソーシングサービスやメディア、SNSなどを活用して、ITフリーランスが直接、発注企業と契約する方法などがある。
PE-BANKはITフリーランスに仕事を紹介する仲介業者だが、最大の特徴は「契約内容・報酬をすべてオープンにしていること。お客さまから発注いただいている金額がいくらで、私たちがどれだけ手数料をいただき、フリーランスの方にいくら報酬をお渡しするか、35年前から包み隠すことなく明らかにしています。その辺を気に入って多くの優秀なエンジニアが登録してくれているのだと思います。山崎さんもそんな一人です」と高山氏は語り、山崎氏の登壇を促した。
現役のITフリーランスが語るメリット・デメリットとは
山崎氏のトークテーマは「サラリーマンITエンジニアを続けた先に私が見つけた、成功の方程式」。山崎氏は大学を卒業し、ITエンジニアとして就職した。その会社でITエンジニアとしてはもちろん、社会人としての基礎を身につけた。その後、結婚を機に首都圏に転勤の恐れのない、地元企業に転職。その企業でしばらく働いていたが、「上司や部下のフォローで、自分のスキルアップの時間が取れないという問題が発生し、転職を考えるようになりました」と山崎氏は語る。大手転職エージェントを利用して話を聞いてみたが、どの企業に転職しても結局同じだと感じてしまい決断できず、独立も考えた。「仕事がない期間は無収入のリスクがある」ことからそれもできず、「1年半ほど悩みました」と明かす。
そんなとき、友人から紹介されたのがPE-BANKだった。PE-BANKを紹介されたことで、改めてサラリーマンとフリーランスのメリット・デメリットを整理することにした。サラリーマンのメリットは収入が安定しており、社会保障がフリーランスより優位であること。サラリーマンのデメリットは、給料が上がりにくい、早期退職などで定年まで勤められないリスクがあることである。
一方のフリーランスのメリットは収入が増えること。そして最も山崎氏が重視したメリットが、「時間を自分のために使えること」。もちろんフリーランスには収入が安定しない、社会保障が弱いなどのデメリットもある。だが収入が安定しないというデメリットは、「PE-BANKに登録・契約すれば、かなりのリスクを削減できます。なぜなら、PE-BANKは仕事を紹介してくれるので、無収入の期間を極力、短くできる。つまりフリーランスのデメリットは、サラリーマンより社会保障が劣るという点のみ。その一方で国の税優遇があり、報酬も増えるので、結果的にはリスクは少ないと判断し、独立を決意しました」と山崎氏は語った。
現在、PE-BANKと契約して16年目となる山崎氏は、ITフリーランスという働き方を次のように評価する。収入が安定しないというデメリットはなく、「無収入だった期間はありません。PE-BANKは客先常駐型の案件が豊富で仕事に就けてさえいれば、サラリーマン時代以上の額が毎月、入ってきます。良いときは毎月、賞与ぐらいもらえることもあります」と収入の安定性を評価する。
もちろん、フリーランスとして仕事を得ていくためには、スキルアップは必須となる。だがこれについても、「部下教育や上司のフォローがなくなったことで、時間的余裕もできました。また年収も大幅にアップしたため、機材や技術書も躊躇なく購入できるようになりました。しっかりスキルを身につけた結果は、収入アップや仕事の選択肢が増えるという形で表れるので、モチベーションに繋がっています」と言う。
人脈が限られるため、仕事が偏るという不安もPE-BANKなら「心配ない」と山崎氏。むしろサラリーマン時代より人脈が広がった。社会保障の弱さについては、iDeCoや小規模企業共済などの国の優遇措置を活用することで解消できる。唯一大変なのは、確定申告が必要になること。「確かに面倒ですが、実際にやってみると自分のお金や税金などを改めて把握できる良い機会となりました。また仕事に関わる出費は経費として処理できるので、結果としてメリットになっていると思います」(山崎氏)
働き方を変えたい、キャリアアップやキャリアチェンジをしたい人にとって、PE-BANKは一つの選択肢となる。「知っておいて損はないと思います」と山崎氏は力強く語った。
PE-BANKがフリーランスエンジニアを支援。関東の平均年収は847万円・年間案件数は5万件以上
では、本当に山崎氏の言うように収入は増えるのだろうか。例えばPE-BANKでの最大契約金額は月額350万円。そのうちの89%から92%がエンジニアに支払われるので、かなりの高収入を得られる可能性がある。事実、PE-BANKの関東エリアの平均年収は847万円というように、日本の平均年収と比較してもかなり年収の水準は高い。
気になる取引企業数は1000社で、年間の案件数も「5万件以上で、業界水準と比べても案件情報量は豊富です」と高山氏は胸を張った。案件は常駐型案件が中心だが、「最近はそのうち、3~4割ぐらいはリモートで対応できるものが増えている」と高山氏は言い切る。
「とはいえ仕事は首都圏中心でしょ」と思うかもしれない。例えば前述の山崎氏は愛知県で活躍している。そういう地方のエンジニアもITフリーランスとして活躍できるよう、PE-BANKは東京だけではなく、北海道から九州までの全国12カ所に拠点を設けている。
PE-BANKで活躍しているITフリーランスの平均年齢は約40歳。「最年少は22歳、最年長は67歳です」と高山氏。67歳のITフリーランスの方は、非常に大活躍しているとのことだ。
長くITフリーランスとして活躍できる背景には、PE-BANKの教育支援や福利厚生が充実していることも挙げられる。「国家資格の取得に関しては100%補助。ベンダー系の資格も、合格すると全額補助します。そのほかにも確定申告や定期健康診断のサポートなどを提供しています」(高山氏)
例えばOracleの認定資格試験及び研修は、25%オフで利用できる。このようなITフリーランスをサポートするサービスの充実度により、PE-BANKを利用した94%のエンジニアが満足していると回答している。
最後に高山氏は「利用する、利用しないにかかわらず、一度、当社のホームページにアクセスし、案件情報を見て欲しい。きっと損はしないはず」と参加者に呼びかけ、セッションを締めた。