ハイブリッド環境でのコンポーネント活用事例を紹介
ノーコード/ローコード開発およびスクラッチ開発は決して相反するものではなく、必要に応じてハイブリッドで活用し、それぞれの利点を活かすことが望ましい。「良い開発を行いたいならば、多面的広い視野に基づいて選定を行うべきです」(村上氏)
つまり、多彩な機能が搭載されているノーコード/ローコード開発ツールであっても、最も期待するポイントを見定め、ちゃんと搭載されていることを確認した上で、選定することが重要なわけだ。その上で、それでも満たせない部分があった場合はスクラッチ開発で対応することが望ましい。
たとえば、冒頭で紹介したように、ノーコード/ローコードプラットフォームのカスタム機能を活用して、FaaSなど他のサービスにリクエストを飛ばしてファイルなどを取得する方法がある。このファイルにスクラッチで独自コードを書くことで、求められる要件にきめ細やかに対応できる。
具体的に言えば、MicrosoftのPower PlatformからAzure Functionsへとリクエストを飛ばしてファイルを取得する。その際に、スクラッチでコードを書くのではなく、コンポーネントを活用することで、より効率的に開発を進められるわけだ。
村上氏は、実際の流れについて、グレープシティの帳票コンポーネント「ActiveReports」でデモンストレーションを行った。まずMicrosoftのPower Appsで作成した顧客の売上データをAzure Functionsへ飛ばし、そこでActiveReportsを活用して帳票出力させるというわけだ。Power Platformだけでは、こうした文字やレイアウトなど日本の厳しい要件に対応する帳票を作成するのは難しい。しかし、帳票コンポーネントを組み合わせるだけで簡単に作成が叶う。なお、この機能は2023年年度末に向けての対応となる。
他にも村上氏は、有効なコンポーネントの例として同社の「DioDocs」を紹介。業務で使用しているExcelやPDF、データなどを組み合わせて自在に操作でき、別のファイルへと加工することができる。
村上氏は「ノーコード/ローコードでの開発、スクラッチ開発、そして両者によるハイブリッドな開発といずれの場面でも、コンポーネントを活用することでより良い開発が可能になります。ぜひ、効率的にやりたいことを実現するために、コンポーネントの導入を検討してみてはいかかでしょうか」と訴え、セッションのまとめとした。