プログラミングスキル向上のため、若手向け教育プログラムを開発
NOPのDevNetに関する活動について、より具体的に見ていこう。
まずはシスコの主催するMeraki D-1グランプリ。NOP 窪田瑛氏は「Merakiを使って社会課題解決を試みようとする大会です。MerakiはAPIととても親和性が高いプロダクトです」と話す。2023年8月に開催された「第2回 Meraki D-1グランプリ」では、「NOP D-1チーム」として参戦し、Meraki MVカメラを活用したスマートオフィスソリューションのためのプロダクトを発表した。
これはオフィスにあるMeraki MVカメラで顔を認識すると、顔認識により社員を判別したうえで該当人物のMicrosoft 365予定表を読み込み、オフィスに設置された自動移動型ロボットが次のミーティングの会議室を案内するなど、カメラの顔認識と予定検索とロボットを連動させるなど高度な内容になっている。カメラが人物検知するとAWSのAPI Gatewayを経由してLambdaで処理するため、クラウド環境はAWSを使用し、プログラミング言語はPythonで書いている。この作品は「未来の働き方賞」を受賞した。
またNOP社内向けの取り組みとしては、若手を対象とした長期(約1年)の教育プログラムがある。NOPのなかでもかなり力が入っている活動となる。
若手だとIT未経験者もいるため、プログラミング実践はハードルが高いと言える。だがNOP窪田氏は「若手のうちから苦手意識を取り払ってもらうことで、自動化の楽しさを感じてもらいたいと思っています。若手がプログラミングスキルを習得することで、配属先で自動化実現のリードとして活躍してもらえるとうれしい」と狙いを明かす。
![ネットワンパートナーズ株式会社 セールスエンジニアリング部 第4チーム 窪田瑛氏](http://cz-cdn.shoeisha.jp/static/images/article/18861/18861_002.jpg)
この若手向けの教育プログラムは近年ブラッシュアップしてきたプログラムでもある。もともとNOPはネットワークやインフラ寄りの企業なので、プログラミングに知見を持つエンジニアは多いほうではない。ゆえに実務を通じて先輩が後輩に技術を伝授することは難しい。しかしこれからのネットワークエンジニアはプログラミングスキルを習得する必要があるため、教育プログラムを企画することになった。
若手を対象にした理由は「若手のほうがスケジュールを押さえやすい」という実現しやすさに加えて、先輩に刺激を与える狙いもある。窪田氏は「若手ができるのを見て、先輩が『自分もがんばらないと!』という意欲を喚起しようと思いました」と話す。
他にもコロナ禍ならではの理由もあった。対面のコミュニケーション機会が限られ、若手は先輩や上司に話しかけづらい状態にあった。小松氏は「先輩が持っていないスキルを若手が持つことで、コミュニケーション活性が図れると期待しました」と話す。例えばチームや先輩が困っている時に「それ、私できます。プログラミングを習いましたから」と話しかけるきっかけになる。
取り組みは2019年からスタートした。当初は外部のPythonトレーニングを受講しに行ったものの、翌年からはコロナ禍になってしまい、継続できずにいた。そんななか前職でプログラミング経験がある小松氏が簡易的なトレーニングを作成して部内で実施したところ、好評を博し、以来毎年ブラッシュアップを重ねている。教育プログラムが現在の形にまとまったのは2021年だ。