デバイスマネージャとエミュレータに関する新しい使い方
次に紹介するテーマは、エミュレータに関連するものです。
AVDマネージャからデバイスマネージャに
Android StudioでAVD(エミュレータ)を作成したり管理したりする機能が、Bumblebeeで変更になりました。3.xや4.xなどの旧来のAndroid Studioも含めて、Arctic Foxまでは、AVDの管理はAVDマネージャと呼ばれるものであり、Android Studio本体のウィンドウからは独立した別ウィンドウで表示されていました。これが、Bumblebee以降、デバイスマネージャと改名され、図4のように、Android Studioのツールウィンドウのひとつとなりました。
マネージャ名がAVDからデバイスへと変更されたのを象徴するように、この画面からは現在接続されている実機も管理できるようになりました。図4にもあるように、[Type]の表示列があり、実機の場合は「Physical」、AVDの場合は「Virtual」と表示されており、両方が管理できるのがわかります。
Wi-Fi経由での実機接続
実機を接続する場合も、従来のUSBケーブルによる接続の他に、Wi-Fi経由で接続を行い、実機デバッグが行えるようになったのもBumblebeeからです。図4のマークをクリックすると、図5のQRコードが表示されます。このQRコードを実機のカメラで読み込むことで、Wi-Fi経由でのデバッグが可能となります。ただし、接続する実機のOSがAndroid 11以上であり、かつ、開発者オプションからワイヤレスデバッグをONにしておく必要があります。
実機画面のミラーリング
Android StudioからAVDを起動した場合、古くからは独立したウィンドウに表示されていました。これが、4.1でEmulatorツールウィンドウが導入され、Android Studio本体ウィンドウ内のツールウィンドウのひとつとして表示されるようになりました。もちろん、これは、こちらにあるように、設定で変更できます。
このEmulatorツールウィンドウが、FlamingoでRunning Devicesへと改名されました。さらに、改名されただけではなく、Android Studioに接続された実機画面のミラーリングが可能となりました。これまで、このツールウィンドウに表示されていたのがAVDの画面だけでしたが、実機の画面も表示されるようになりました。
ただし当初は設定などが必要でした。しかし、Hedgehogではその設定も不要となり、常時表示されるようになっており、実機を接続した状態でRunning Devicesツールウィンドウを表示させると、図6のように実機の画面がミラーリング表示されます。
AVDをRunning Devicesから直接起動
このRunning Devicesツールウィンドウに関して、Hedgehogでは、AVDを直接起動できるメニューが追加されています。Running Devicesツールウィンドウの上部にある+のアイコンをクリックすると、図7のように現在登録されているAVDのドロップダウンメニューが表示され、このメニューを選択することで、AVDが起動します。また、[Pair Devices Using Wi-Fi]を選択すると、図5のQRコード画面が表示され、Wi-Fiでの実機接続もできるようになっています。
この機能を利用すれば、いちいちデバイスマネージャツールウィンドウを表示させる必要がありません。ただし、起動したAVDは、たとえ設定で別ウィンドウで起動するようにしておいても、あくまでRunning Devicesツールウィンドウ内に表示されます。この点には注意が必要です。
Device File ExplorerからDevice Explorerへ
Android Studioには、接続された実機、あるいは、起動したAVD内のファイル類を確認できる機能として、3.0よりDevice File Explorerツールウィンドウが導入されています。このDevice File Explorerが、GiraffeにてDevice Explorerツールウィンドウへと改名されました。
もちろん、名前が変わっただけではなく、接続機器(AVD)のファイル類だけでなく、図8のように、その実行プロセスも確認できるようになりました。さらに、確認だけでなく、プロセスを選択の上、画面上部のアイコンをクリックすることで、ではプロセスの終了(kill)、ではプロセスの停止(force-stop)、ではプロセスへのデバッガの付与が可能となります。
可変サイズのエミュレータ
デバイス管理とエミュレータに関連する新機能を紹介する本節も、これで最後です。最後に紹介するのは、可変サイズのエミュレータです。これは、AVDを作成する際のHardware選択画面にて、図9のように、Resizableという選択肢がElectric Eelで追加されました。ただし、図9の選択肢に「Experimental」とあるように、この機能はまだ実験段階であることに注意しておいてください。
このResizableで作成したAVDを起動すると、起動画面には図10のように、[Phone]、[Unfolded Foldable](折りたたみ式スマホ)、[Tablet]から選択できるドロップダウンリストを表示するアイコンが増えます。ここから任意のものを選択することで、AVDの画面が自動的にそのサイズへと変更されます。