KOBA789氏の多彩なスキルが生まれた背景
KOBA789氏は、自身が所属するアークエッジ・スペースで、Webフロントエンド、Webバックエンド、データベース、分散システム、クラウドとオンプレミスのインフラ、ネットワークなどさまざまな技術分野を扱っている。加えて、人工衛星にはマイクロコントローラーが搭載されているため、その組み込みソフトウェアも開発する。趣味は旅、DJ、VTuber活動、電子工作など、多彩である。KOBA789氏は、この多彩さの背景を説明するべく、これまでの経歴の説明を始めた。
KOBA789氏が初めてプログラムを書いたのは7歳の頃だった。それまではロボットや電子工作に興味があり、さまざまなキットを組み立てて遊んでいたが、キットを買うのはお金がかかり、いくつも買っているとお小遣いがなくなってしまった。そこで家にあったノートパソコンに注目し、ソフトウェアは無料でダウンロードでき、いくら使ってもお小遣いが減らないと気づいた。そして、N88-BASICのプログラムをエミュレーター上で書き始めた。
11歳になると、初めてWebサイトを作って公開した。HTML、CSS、JavaScriptを学んだ。当時インターネットの掲示板から生まれたラブストーリー「電車男」が流行っていて、掲示板があれば家に帰っても友達と連絡が取れると思ったからだ。とても楽しそうだと感じ、掲示板を作った。KOBA789氏は「学校から帰っても友達と交流できるのが本当に嬉しかった。ご飯の時間まで掲示板で友達と話していた」と振り返った。
KOBA789氏が作った掲示板は、画面を再読み込みしないと新しい書き込みが自動で表示されないことを不便に感じ、チャットを開発したくなった。WebSocketを使えばリアルタイム通信ができることを知り、実現したいと考えた。しかし、当時使っていたレンタルサーバーではWebSocketやNode.jsが動かず、友達にもらったPCにFreeBSDを入れて自宅サーバーを開設した。これが、13歳の頃だ。
Node.jsによる開発がきっかけで、さまざまな業界のエンジニアと出会うようになった。当時16歳だったKOBA789氏は、TwitterでNode.jsの面白さをつぶやいたところ、Node.jsのユーザーグループの人に誘われ、父親と共にオフ会に参加した。そこでドワンゴの人と知り合い、アルバイトを勧められた。そして、初めてプログラミングでお金を稼ぐこととなった。
「稼いだお金はすべて勉強会の交通費に充てました。その頃はとにかくプロのエンジニアと話をしたかったのです。何か面白いことをしたらプロに見せて評価を求め、LT会などで発表しまくりました。人生で一番多く発表した時期でした」(KOBA789氏)