スマレジが大切にしてきた開発バリュー
スマレジで代表取締役/CTOを務める宮﨑龍平氏はスマレジを立ち上げたメンバーの1人。創業時の自身について「エースではなくルーキー。ピカピカのイケてるエンジニアではなかった」と言う。2019年にCTOとなり、2024年7月からCEOに就任した。
スマレジの会社としての特徴は3点ある。1点目は「iPadレジの会社」。小売や飲食店で見かけるPOSレジだけではなく、さまざまな業務システムを開発している。2点目は「エンジニアの会社」。取締役4名のうち3名がエンジニア出身なので「作ることが得意」と宮﨑氏は言う。
それなら3点目は「キラキラベンチャー」に思えてしまうかもしれないが、そうではない。宮﨑氏は「有名エンジニアもいなければ大型調達もしていません。コツコツと積み上げていたら黒字化してしまった企業です」と説明する。
ビジネスを見ると、スマレジのアクティブユーザーは46,000店舗を突破するなど好調だ。パブリックSaaSのビジネス時価総額ランキングでは10位にランクインしている。年次成長率は30%、営業利益率は10〜20%で安定的かつ堅実だ。
キラキラ要素なしに堅実な成長を成し遂げている理由として、宮﨑氏は「大切にしてきた3つの開発バリューがある」と言う。
生涯現役
役職や役割で分業する組織もあるが、スマレジでは役職者でも現場で作業し、ディレクター、プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャーなど間接要員をできるだけなくしている。現場で手を動かしているからこそ、「現場の解像度が高まり精緻なマネジメントができている」と宮﨑氏。
エンジニアはビジネスマン
新しい技術を追うなかで、なぜ必要なのか、過度な節約ではなく無駄遣いしてないかという金銭感覚も持つことを重視している。
要件定義ではなく要求定義
顧客の依頼に応えるだけでは不十分で、顧客が本当に求めている本質を知ることが大事だ。宮﨑氏は「お客様は要件定義の素人なので、うまく伝えられません。要望をよく聞いて正しく理解することでプロダクトの質の向上や解決策の精度が高まります」と話す。
スマレジが実体験を通じて編み出した生存戦略が「生涯現役で、ビジネスの分かるエンジニア」だ。現役だから解像度の高い解決策を提示できて、ビジネスが分かるエンジニアだからアウトカムを高めていけるということだ。
宮﨑氏は「会社の数字は営業が作ると言われていますが、そうではない。開発がビジネスのコアを握っています」とエンジニアの重要性を強調した。そのうえで作り手となるエンジニアを「全ポジションで大募集中です!」と付け加えた。