React Nativeの基本的なモジュール(2)
ScrollViewコンポーネント
View
でも解説しましたが、View
コンポーネントは、デフォルトで overflow: 'hidden'
相当の挙動をするため、子要素が親要素からはみ出してもスクロールできません。これを解決するために、ScrollView
コンポーネントが使えます。これは、画面からはみ出た部分をスクロールできるようにするためのコンポーネントです。リスト6のように使います。
import { ScrollView, StyleSheet, Text, View } from 'react-native'; // (省略) export default function App() { return ( <View style={styles.container}> <ScrollView // (1) 外側のスタイルはstyleで指定する style={{ maxHeight: 200, width: 200, borderWidth: 1 }} // (2) 内側のスタイルはcontentContainerStyleで指定する contentContainerStyle={{ padding: 8 }} > {/* たくさんのTextを並べる */} {Array.from({ length: 100 }).map((_, i) => ( <Text key={i}>Hello world! {i}</Text> ))} </ScrollView> <StatusBar style="auto" /> </View> ); } // (省略)
テキストをたくさん並べて、スクロールできるようにしてみました。実際に表示してみると、図6のようになります。
画面の中央に200×200のScrollView
を設置して、その中がスクロールできるようにしました。もちろん、画面全体をスクロール領域にすることもできます。
ScrollView
コンポーネントが少し特殊な点として、スタイルの指定にstyle
propsとcontentContainerStyle
propsを使う点があります。 style
propsは、ScrollView
の外側の枠組みを指定するためのものです。ここにpadding
を指定してもスクロール領域の内側には上手く余白がつきません。内側にpadding
等を指定するためには contentContainerStyle
propsを使います。
ほとんどのケースではstyle
で事足りると思いますが、上手くいかない場合はcontentContainerStyle
を使うといいでしょう。
TextInputコンポーネント
コンポーネントの最後にTextInput
コンポーネントについて解説しましょう。これまでと毛色が変わって、ユーザーからの入力を受け付けるためのコンポーネントです。リスト7のように使います。
import { StyleSheet, TextInput, View } from 'react-native'; // (省略) export default function App() { return ( <View style={styles.container}> <TextInput // (1) プレースホルダーを指定する placeholder="入力してください" // (2) テキストが入力されたときの処理を指定する onChangeText={(text) => console.log(text)} // (3) テキストのスタイルを指定する style={{ borderWidth: 1, width: 200, padding: 8 }} /> <StatusBar style="auto" /> </View> ); } // (省略)
入力された文字をコンソールに出力するようにしてみました。実際に表示してみると、図7のようになります。
(1)で指定したプレースホルダーが表示されていますね。実際に文字を入力してみると、入力された文字がdev serverを動かしているターミナルに表示されるはずです(図8)。
AndroidやiOSにはform
要素に該当するものがないので、React Nativeでもフォームは用意されていません。入力値は一度useState
等で状態管理してから送信処理に使うのが一般的です。(3)のようにスタイルを当てることもできます。Text
向けのスタイルが使えるので、fontSize
や color
などを指定して見た目を調整するとよいでしょう。
また、TextInput
コンポーネントには、他にもいくつかのpropsが用意されています。例えば、 secureTextEntry
をtrue
にすることで、パスワード入力用のテキストボックスを作ることができ、keyboardType
を指定することで、数値入力用のキーボードを表示させることもできます(リスト8)。
// (省略) <TextInput placeholder="パスワードを数値で入力してください" // パスワード入力用のテキストボックスにする secureTextEntry // 数値入力用のキーボードを表示する keyboardType="numeric" style={{ borderWidth: 1, width: 200, padding: 8 }} /> // (省略)
実際にリスト8のコードを実行してみると、図9のようになります。
入力欄やキーボードの制御ができていますね。他にも多くのpropsが用意されていますので、詳しくは公式ドキュメントを参照してください。
StyleSheet API
最後に、 StyleSheet
APIについて解説しましょう。これまでのサンプルの中でも登場していますが、 StyleSheet
APIは、スタイルに名前を付けて管理するためのAPIです。リスト2のように StyleSheet.create()
関数でスタイルを定義し、コンポーネントのstyle
propsに渡すことで、スタイルを適用できます。
このAPIを使うことで、スタイルの再利用性を高めることができます。また、複数のスタイルをstyle={[styles.a, styles.b]}
のように配列で指定して、マージすることもできます。この場合、後に指定したスタイルが優先されます。
まとめ
React Nativeの基本的なコンポーネントを紹介しました。他にもコア部分に含まれるコンポーネントやAPIはいくつかあり、公式ページで一覧できます。
今回解説したものはごく一部ですが、大抵のコンポーネントは、今回解説したものの組み合わせで実現されています。特に、スタイルが3系統しかない、といったことはぜひ覚えておきましょう。サードパーティのコンポーネントを触るときに、気軽にスタイルを調整できるようになるはずです。