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Flutterで始めるモバイルアプリ開発

Flutterでアプリをビルドしよう。AndroidとiOSそれぞれの流れを解説

Flutterで始めるモバイルアプリ開発 第30回

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iOSアプリ用のリリースビルド

 iOSでリリースビルドを作るには、図3のようにXcodeを使ってビルド設定からリリースビルドまでをまかないます。Androidに比べるとわかりやすい流れですね。

図3:iOSでのリリースビルドをするまでの流れ
図3:iOSでのリリースビルドをするまでの流れ

 Flutter側でリリース用のファイルも作成できますが、こちらは内部ではXcodeのCLIコマンドを使っているだけです。一般的には、Xcodeでの情報の多くはUI上の操作であり、その方が参考情報も見つけやすいので、まずはXcodeでの操作を優先して利用することをおすすめします。

Xcodeでプロジェクトファイルを開く

 FlutterプロジェクトからXcode用のプロジェクトを開くには、リストのように「ios/Runner.xcworkspace」フォルダをXcodeから開いてください。

[リスト11]Xcodeでプロジェクトを開くコマンド例
open ios/Runner.xcworkspace

 そして、Runnerターゲットの「General」を開くと図4のように表示されます。

図4:Xcodeの「General」タブの内容
図4:Xcodeの「General」タブの内容

 ここで、IdentityのBundle Identifierが正しく設定されていることを確認してください。また、ここでDisplay NameやVersionが設定されていないケースがあります。その場合には、「Build Settings」タブを開いてください。

 そのUser-Defined情報を見ると、Flutter側で定義してあるバージョン名(FLUTTER_BUILD_NAME)や、ビルド番号(FLUTTER_BUILD_NUMBER)があるので、そちらで情報が反映されているか確認できます。

 そこで、これらの情報が変更前の情報や想定と異なる場合には、Flutter側での設定内容を確認し、flutter build iosコマンドを実行してから再度、Xcodeでプロジェクトを開いてください。

iOS用のリリースビルド

 iOSの場合には、リリースビルドをするために有料のDeveloper Programへの購読が必要になります。iOSアプリのリリースにはプロビジョニングファイルが必要です。Xcodeとapple developerアカウントをあらかじめ結びつけておいてください。

 また、開発用のプロビジョニングファイルの作成方法は、Apple Developerサイトにて紹介されているので、そちらを参照してください。今回は、あらかじめ準備したプロビジョニング設定があることを前提にし、Xcodeで以降の設定を進めます(図5)。

図5:Xcodeの「Signing & Capabilities」タブの内容
図5:Xcodeの「Signing & Capabilities」タブの内容

 これらの設定が完了したらメニューの「Build > Archive」を実行するとリリース用のビルドファイルが作成され、図6の画面が表示されます。

図6:Xcodeでのビルドアーカイブ画面
図6:Xcodeでのビルドアーカイブ画面

 画面右側にバージョン名やビルド番号などが表示されるので、設定が正しく反映されているか確認してください。確認できたら、画面右上にある「Distribute App」ボタンを押すと、App Store Connectにアップロードできます。

[Note]iOSのプロビジョニングファイル

 iOSの「プロビジョニングファイル」はリリースビルドするために必ず必要で、その設定は「Apple Developer」のサイトにて行うのが一般的です。

 設定には、配布方法(一般マーケット配布、特定の企業向けのAdHoc配布、テスター向け配布など)や、利用する機能に関する申請(Push通知の利用やその他、申請が必要な機能など)、場合によってはインストールする端末情報の設定などが必要になり、公開申請と非常に密接な関係になっています。

 そのため、実際に開発したアプリに関する機能面でだけではなく、そのアプリがどのような形態や目的、もしくはどのような点で特別な追加審査を受ける必要があるかも大きく関係してきます。

 本稿は、Flutterでのビルド手順について説明することが目的の為、ビルド前にそれらの「プロビジョニングファイル」の作成と準備は完了している前提で、説明を割愛させていただきます。

 「プロビジョニングファイル」について詳しく知りたい方は、目的や用途に応じて手順が多少変わるため注意が必要ですが、用途に応じて手順を紹介しているサイトやブログも多々あるので、それらの情報を参照するのがおすすめです。

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ビルド上の注意

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 小林 昌弘(コバヤシ マサヒロ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

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