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モニタリングでは足りない? オブザーバビリティが重要視される背景とAWSでの実践方法を探る

【14-C-5】オブザーバビリティの観点でみるAWS

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AWSでオブザーバビリティを実現するためのビルディングブロック

 ここからはAWSにおけるアプローチを見ていこう。AWSではオブザーバビリティ成熟度モデルを提唱している。成熟度に応じてレベル1から4まで分かれている。

 ステージ1はログとメトリクスの収集。これはまだ(オブザーバビリティ以前の)モニタリングと呼ばれていた時代に求められていたことで、まずはモニタリング基礎が最初のステップとなる。ステージ2は計装、テレメトリーの分析と洞察。モニタリングが中級レベルに上がり、アプリケーションレベルでテレメトリーをとれるようにする。

 ステージ3は相関、アノマリーの検知、SLOとなり、トレースとログを紐付けることができるようになる。さらにステージ4は原因究明の自動化と予防ができるようになる。

AWSオブザーバビリティ成熟度モデル
AWSオブザーバビリティ成熟度モデル

 今回はステージ1〜2を目指すこととする。必要になるものは下図の通り、計装、収集、送信、保存、可視化だ。これがオブザーバビリティの基盤となる。

ステージ1〜2に必要な計装、収集、送信、保存、可視化の5段階
ステージ1〜2に必要な計装、収集、送信、保存、可視化の5段階

 テレメトリーを得るために、まずはコンポーネントに計装(インスツルメンテーション)する。出てきたテレメトリーを収集し、送信し、どこかに保存し、そこからクエリなどを通じてダッシュボードで可視化する。オブザーバビリティでは最低限ここまでが必要になる。

 どんなコンポーネントが対象になるかと考えると、責任共有モデルを思い出すといいだろう。一般的にはIT統制やセキュリティの文脈で語られるものだが、似たような発想がオブザーバビリティにも当てはまる。

 例えばAmazon S3なら、このサービスを動かすためのハードウェアやOSはAWSが担保するが、暗号化やアセットの分類、IAM権限は利用者(お客さま)が責任を持って取り組む必要がある。オブザーバビリティでも同様に、サービスが動いているか確認するためのテレメトリーはAWSが用意するが、AWSのサービスを用いてシステムを構成するならシステムのテレメトリーは利用者が整備する必要がある。

 AWSでは、先述したオブザーバビリティに必要な5段階を満たすために、必要なものが提供されている。各サービスからはログやメトリクスなどのテレメトリーが提供されていて、CloudWatchに入る。これで計装、収集、送信、保存までが満たされることになる。可視化はCloudWatchから各種Insightsにかかわる製品を出しており、CloudWatchのダッシュボードから確認することもできる。

ステージ1〜2に必要な計装、収集、送信、保存、可視化の5段階
AWSサービスでのオブザーバビリティの全体像

 アプリケーション向けにはApplication Signals、合成監視、RUMなど広い範囲でテレメトリーを収集、送信、保存できるようになっている。またシステムやネットワーク向けには「〜〜Insights」や「〜〜Monitor」など、すでに送信・取得済みのテレメトリーがあり可視化できるようになっている。

 保存と可視化ではオープンソースソリューションもある、例えばPrometheusのマネージドサービス「Amazon Managed Service for Prometheus」や、同様にGrafanaの「Amazon Managed Grafana」がある。他にもOpenSearch、Open Telemetryなどもある。オープンソースに関しては選択肢も多く、AWSはコントリビュートもしている。さらに、AWS Distro for OpenTelemetryを通じたパートナー連携もあるので、サードパーティーのサービスと連携することも可能だ。

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AWSでの大規模オブザーバビリティ事例では信頼性強化やコスト最適化も

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この記事の著者

加山 恵美(カヤマ エミ)

フリーランスライター。茨城大学理学部卒。金融機関のシステム子会社でシステムエンジニアを経験した後にIT系のライターとして独立。エンジニア視点で記事を提供していきたい。EnterpriseZine/DB Onlineの取材・記事や、EnterpriseZine/Security Onlineキュレーターも担当しています。Webサイト:http://emiekayama.net

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丸毛 透(マルモ トオル)

インタビュー(人物)、ポートレート、商品撮影、料理写真をWeb雑誌中心に活動。

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