Tricentis Japanは、米Tricentisが実施した「クオリティ・トランスフォーメーション・レポート2025」の調査結果を5月14日に発表した。同調査は、公共部門、エネルギー/公益事業、製造、金融サービスといった、さまざまな業界のCIO、CTO、エンジニアリング担当バイスプレジデント、DevOps/品質保証のリーダー、ソフトウェア開発者を含む2700名超を対象に行われている。

調査結果によれば、グローバル全体ではソフトウェア品質の向上を期待する企業は13%に留まり、デリバリスピードの向上を期待する企業が45%を占めた。日本では、デリバリスピードの向上を期待する企業は40%だったのに対して、品質向上を期待するのは7%に留まっている。
回答者の63%(日本62%)が、コード変更を完全にテストすることなく出荷しており、その理由として「テストによるリリースサイクル遅延を回避するため」(グローバル46%/日本49%)、「偶発的に未テストのコードが含まれるため」(グローバル40%/日本32%)が挙げられた。
42%は、ソフトウェア品質の低下によって年間100万ドルを超える損失を報告しており、とりわけ金融業界ではその影響が最も顕著に表れている。日本でも、金融関連企業の約半数がソフトウェア品質の低下によって年間1.5億円から最大7.4億円以上の損失を推算する。
あわせて、ソフトウェア開発チームと品質保証チーム間のコミュニケーション不足(33%、日本36%)や、経営陣とソフトウェア開発チームの連携不足(28%、日本27%)が、ソフトウェアの品質向上を妨げる最大の障壁であることが明らかになり、日本企業でも同様の傾向がみられた。
調査対象の企業の82%(日本89%)は、ソフトウェア開発ライフサイクルの中の単調な作業をAIエージェントに任せることによって、より戦略的な業務に注力できると期待している。また、デリバリスピードの向上への要求が高まる中で、AIがソフトウェア品質とデリバリスピードの向上に役立つと期待している企業は、グローバルでは84%、日本では85%に達した。
また、回答者の9割は自律型AI/AIエージェントがソフトウェアのデリバリに影響を与える意思決定を支援できることに自信を持っており、日本企業でも10人に9人がAIはソフトウェアのリリースにおける意思決定を行うことが可能であると確信している。
さらに、グローバル全体および日本のどちらの市場においても、回答者の約90%(日本93%)がソフトウェア開発ライフサイクルの中で、生成AIによる費用対効果を効果的に定量化できると回答した。
そのほか、技術リーダーとソフトウェア開発プロフェッショナルが予想する、AIを活用した自律的なテストが有用な領域としては、ソフトウェアデリバリ全体のスピード(グローバル28%、日本31%)、ソフトウェアの全体的品質(グローバル28%、日本30%)、テスト結果の分析(グローバル25%、日本25%)、テストケースのメンテナンス(グローバル23%、日本25%)が挙げられている。
- 関連リンク
この記事は参考になりましたか?
- この記事の著者
-
CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)
CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です