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組織での成長を最大化するための1on1完全攻略術

【成長するための1on1完全攻略術】エンジニアが1on1をリードするファーストステップ

組織での成長を最大化するための1on1完全攻略術 第4回

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「受け手」の経験を振り返ってみよう

 「する側」に回る前に、これまで自分が受け手として参加してきた1on1の経験を振り返ってみるのがおすすめです。

 まずは、過去の1on1メモや議事録をざっと読み返してみましょう。「あのときの1on1、すごく気づきがあったな」とか「ちょっと話しづらかったな」といった印象が残っている回を思い出しながら、具体的に何が良くて、何がもったいなかったのかを整理していきます。

 たとえば、話す時間のバランスがよかった、質問の投げかけ方が自然だった、自分の悩みに寄り添ってくれた—— そんな体験があれば、それは「自分がする側」にとっても大事なヒントになります。

 逆に、毎回話題がなくて沈黙が多かったり、形式的に感じたりしたことがあれば、「避けたいポイント」として学びに変えられます。

 こうして自分なりの“うまくいく型”を見つけておくと、初めて1on1を回すときも、なんとなくの感覚ではなく、経験に裏付けられたスタイルで進めることができるはずです。

1on1設計の3ステップ

 1on1をうまく回すには、あらかじめ「どんな流れで話すか」をざっくりでもいいので考えておくと、安心して臨めます。ここでは、基本となる3つのステップをご紹介します。

ステップ1 ゴール設定

 相手の「こうなりたい」というゴールを一緒に描くために、まずは相手がどうなりたいか、何に悩んでいるかを一緒に整理するところからスタートします。「最近どんなことにチャレンジしてる?」「理想の1年後ってどんな感じ?」といった問いから、少しずつ理想像を引き出していきましょう。

ステップ2 アジェンダ設計

 聞きたいことリストとざっくりゴールが見えたら、それに向けて話すべきテーマをいくつか書き出しておきます。話したいことがたくさんある場合は「今日はこの2つに絞ろう」と優先順位をつけておくのがコツです。時間配分もざっくり頭に入れておくと、話があちこち飛ばずに済みます。

ステップ3 フォローアップ

 次回までのアクションを決める。最後に「次までに何を試してみるか」「どうやって進捗を確認するか」を一緒に決めましょう。行動に結びつけることで、1on1が“話して終わり”ではなく、“変化につながる場”になります。

 この3ステップから始めて、徐々に自分なりのスタイルを見つけていくと、自然と1on1の質も上がっていきます。いきなりすべてを完璧にする必要はありません。まずはこの基本の流れを押さえて、少しずつ自分のスタイルを築いていきましょう。

これだけは押さえたい3つのスキルセット

 1on1を進めるうえで、「これさえ押さえておけばOK」という基本スキルを3つご紹介します。最初から完璧にできる必要はありません。意識して少しずつ取り入れていくことで、自然と慣れていきます。

1.アクティブリスニング & 質問力

 相手の話にちゃんと耳を傾けていることが伝わる姿勢やリアクションは、安心して話してもらうための土台です。

 「どう感じていますか?」「どんな背景がありますか?」といったオープンな質問や、「今ちょっと迷っていますかね?」と気持ちにラベルを貼ってあげる声かけが効果的です。

2.フィードバック & フィードフォワード

 振り返りを伝えるときは「いつ・どこで・何を・どう感じたか」を具体的に伝えるSBIモデル(SBIモデル-Situation-Behavior-Impact:状況-行動-影響)が便利です。

 さらに「次こうしてみたらどう?」や「こういう風になれるとよさそうですね」という未来への提案(フィードフォワード)もセットにすると前向きな対話になります。

3.心理的安全性を生む言葉選び

 「これ正解かわからないけど言ってみるね」や「聞き方が難しかったら遠慮なく言ってね」など、ちょっとした言葉のクッションがあるだけで場の空気はやわらかくなります。

 お互いに安心してやりとりできるような言葉づかいを意識すると、1on1の質がぐんと上がります。

よくあるつまずきポイントとサクッと対策

 1on1を初めて主導する際には、誰しもが似たような壁にぶつかるものです。ここでは、よくある課題とその背景、そして実践的な対策を表にまとめてみました。該当するものがあれば、対策例を参考にしつつ自分なりの工夫を加えてみてください。

よくある課題と対策
課題   原因 対策例
上下関係が気まずい 「自分が指導する側」という意識がプレッシャーになっている 初回の1on1で「自分もまだ学んでいる途中なので、一緒に成長していきましょう」と伝える。対等な関係性を築く。
話すネタが思いつかない 1on1の目的や進め方が不明確 事前に「最近のトピック」「聞きたいことリスト」を用意しておく。汎用テンプレートを使う。
時間が取れない チーム内の優先順位づけが曖昧 スプリント計画時に1on1時間も“予定ブロック”として先に確保する。定期的な時間を確保することで、後回しにされにくくなる。
フィードバックが浅い 日々の様子を意識的に見られていない 普段のSlack発言やMTG中の気づきをメモしてSBIで言語化して伝える。日常の中での小さな気づきも大事なフィードバックの材料にする

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この記事の著者

ZOE(ゾエ)

 2015年に株式会社ウィルゲートに新卒入社。2021年にSREチームを新設して開発全体のSRE課題の改善活動や啓蒙活動、開発メンバーの開発効率アップのためのツール開発などもしていた。2022年10月には新設したCRE(Customer Reliability Engineering)やSRE、イン...

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