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明治は「縦割り組織」をどう乗り越えたか。大企業DXを支えるWellnizeの戦略と実践

【18-C-4】明治エコシステム - 大企業 x マルチプロダクトの戦略と実践 -

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大企業のビジネスを成功に導くシステム構造とは?

 次に、サービスの構成を見てみよう。明治エコシステムは、複数のサービスをマルチプロダクトで展開していくため、巨大なモノリスをワンチームで開発・運用するのは現実的ではない。システムが複雑になるので認知負荷が高まり、コミュニケーションも肥大化してしまうからだ。

 そのため、以下のような形で、明治会員IDやデータウェアハウス、CRMなどの基盤システムは、それぞれ独立したサービスとして運用されている。システムごとにチームが異なるのはもちろん、データベースやプログラミング言語も異なるし、内製と外注も混在している。それぞれのサービスはAPIで連携し、必要に応じて情報をやり取りする仕組みになっている。

明治エコシステムのサービス構成
明治エコシステムのサービス構成

 ここに辿り着くまでに、木下氏は「システムの設計とは、分断の設計である」ということに気がついた。なぜなら、人の集団は無意識に線引きをして分断するものだからだ。そして分断が生まれると、コンフリクトが生じ、コミュニケーションコストが上がる。それならば、「意図的に分断する、つまり分断をデザインする発想を持つべきだ」というのが木下氏の主張である。

 そこで、「望ましいシステム構造に合わせて組織を設計する」という逆コンウェイ戦略のように、「望ましいシステム構造に合わせて境界線を引き、分断をデザインしてみよう」と考えた。

 ここで問題になるのが、「望ましいシステム構造とは何なのか?」ということだ。開発効率が良い?エンジニアが働きやすい?メンテナンスがしやすい?拡張しやすい?しかし、それらはいずれも本質的ではない。ビジネスをするために集まっている以上、「ビジネスの成功にもっとも貢献できること」が望ましいシステム構造だと言えるだろう。

 そこで明治エコシステムでは、ビジネスチームのインセンティブ構造に沿って、“意味の境界”でシステムを切り分けることにした。まずは「各事業のKGI/KPIを最大化したい」という要望と、「クロスユースを促して明治LTVを最大化したい」という要望で分けた。さらに、前者はそれぞれのサービスで切り分け、後者は「情報を集約したい」「横につなげたい」という要望に応じて、以下のようなシステム構成に切り分けた。

ビジネスの「〜したい」軸でシステムを切り分ける
ビジネスの「〜したい」軸でシステムを切り分ける

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分断を橋渡しするマネジメントの役割

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

 フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり...

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川又 眞(カワマタ シン)

インタビュー、ポートレート、商品撮影写真をWeb雑誌中心に活動。

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