WF(&Visual Studio 2008)の提供する機能
WF(とVisual Studio 2008)が提供する代表的な機能は次のとおりです。
- GUIによるワークフローデザイン
- ワークフローのホスティング機能
- ワークフローの永続化
- ワークフロー内のデバッグ機能
GUIによるワークフローデザイン
Visual Studio 2008を使うことで、以下のようワークフローを直感的なUIでデザインすることができます。
ワークフロー内にさまざまなアクティビティを並べてつなぎ合わせることで、複雑な処理を実現することができます。アクティビティの種類については後述します。
なお、WFはソースコードベースのワークフローだけではなく、XMLベースのXOML(Extensible Object Markup Language)形式のワークフローにも対応しています。
ワークフローのホスティング機能
WFには特別なサーバアプリケーションは存在せず、任意のアプリケーション上でワークフローを動作させることができます。従って、ネットワークを使わないスタンドアロンアプリケーションの中でもワークフローを利用できます。
しかし、ワークフローが業務アプリケーションで利用されることが多いことを考えれば、一般的にはワークフローをアプリケーションサーバ上でホスティングし、クライアントからワークフローを呼び出す、という形態が用いられることでしょう。
WFを使えば、ワークフローをASP.NET WebサービスやWindows Forms、コンソールアプリケーションといった、さまざまな種類のアプリケーションでホスティングすることができます。
また、.NET Framework 3.5からの新機能として、WFとWCFの統合が図られ、ワークフローをWCFサービスとして公開することもできるようになりました。
ワークフローの永続化
処理時間、という観点で言えば、コンピュータ内で完結する、あるいは他のコンピュータと通信するなどの比較的短時間(~数十秒)で終了するワークフローもあれば、上長が決裁ボタンを押すなど、人間がかかわるために終了までにかなりの時間(~数日)がかかるワークフローもあるでしょう
ワークフローでこうした処理を行う場合、この間ずっとワークフローをホスティングするアプリケーションを実行しておく必要があります。また、多数のワークフローがメモリ上に溜まってしまい、性能劣化を引き起こす可能性もあります。
WFはワークフローの永続化というソリューションを提供することで、こうした問題を解決します。WFはワークフローをSQL Serverなどのストレージに永続化させますので、アプリケーションは任意のワークフローを中断/再開させることができます。
このワークフローの永続化は透過的に行われるため、いくつかの設定を行うだけで、特別なコーディングを必要としません。
ワークフローのデバッグ
ワークフローを使ったアプリケーション開発の際、ワークフロー上の特定のアクティビティにブレークポイントを仕掛け、デバッグを行うことができます。
WFで利用可能なアクティビティ
では、サンプルに入る前の最後の説明として、アクティビティについて考えましょう。
Visual Studio 2008でワークフローをデザインする際には、次のようなツールボックスからアクティビティを配置していきます。
.NET Framework 3.0から存在するアクティビティについては前回連載記事をご覧ください。ここでは.NET Framework 3.5で追加されたアクティビティを紹介します。
アクティビティ | 概要 |
Receive | WCFサービスの呼び出しを受け付ける |
Send | WCFサービスを呼び出す |
コンポジット アクティビティ
いくつかのアクティビティは、他のアクティビティを子供に持って階層化することができます。階層化可能なアクティビティをコンポジット アクティビティと呼びます。
例えばIfElseアクティビティは、条件が真の場合とそれ以外の場合に、それぞれ実行すべきアクティビティを子供として持つことができます。