Groovyをセットアップする
Groovyは、Codehaus Foundationという団体によって開発が行われているオープンソースのソフトウェアです。これは現在、Groovyのサイトで配布されています。
まずは、ここからGroovyの最新版をダウンロードしインストールしましょう。本記事執筆現在、1.6.0というのが最新版として配布されています。本連載は、このバージョンを使って説明を行います。
Groovyの配布形態は、基本的に圧縮ファイルなのですが、Windowsに関してはインストーラも用意されています。このインストーラをダウンロードしてインストールを行うのが良いでしょう。標準では、C:\Program Files内に「Groovy」というフォルダを作成し、その中に「Groovy-1.6.0」というフォルダとしてGroovyをインストールします。
その他、インストーラではGroovyを利用するために必要な環境変数の設定も行ってくれます。Groovyを利用するには、以下の環境変数を設定しておく必要があります。
- GROOVY_HOME
Groovyがインストールされているディレクトリのパスを設定(C:\Program Files\Groovy\Groovy-1.6.0) - PATH
%GROOVY_HOME%\binを追記
インストーラを使わず、Zip圧縮されたファイルをダウンロードしてインストールする場合は、ファイルを展開し配置した後、これらの環境変数を設定しておくのを忘れないようにしてください。インストーラを使った場合は、これらは既に設定済みになっていますので、別途設定する必要はありません。
Groovyの基本文法
Groovyをインストーラでインストールすると、スタートメニューの「すべてのプログラム」内に「Groovy」の項目が追加されます。ここから「GroovyConsole」という項目を選ぶと、専用コンソールプログラムが起動します。これは、Groovyのスクリプトを書き、その場で実行し動かせるプログラムです。例えば、上のエリアに、
println 'Hello'
と書いて、ツールバーの右端のアイコン(Execute Groovy Script)をクリックすると、スクリプトが実行され、下のエリアに実行結果が表示されます。Javaでは文末にセミコロン(;)をつける必要がありましたが、Groovyではつけなくとも行の終わりが文の終わりと認識してくれます。
これで、いろいろとスクリプトを実行し、動作を確認しながら基本文法を覚えていくとよいでしょう。では、Groovyの基本的な文法について、ざっと整理していきましょう。
型宣言はいらない!
Groovyは、動的型付けを行う言語です。変数を利用する際、型宣言は不要です(書いてもかまいません)。実行時に値と変数の型がチェックされ、自動的に最適な型として扱われます。また明示的に変数の宣言をする際には、「def 変数名」という形で記述することもできます。例えば変数sに"Hello"と設定する場合は、次のような書き方ができます。
String s = "Hello" s = "Hello" def s = "Hello"
セミコロン、引数カッコは省略可能
Javaでは、文の終わりはセミコロンでしたが、Groovyではこれは省略可能です。またメソッドの呼び出しはメソッド名の後にカッコで引数を指定しましたが、このカッコも省略可能です。例えば、以下の2文はどちらでも同じように"Hello"を出力します。
println("Hello") println "Hello"
テキストリテラルは2種類ある
Groovyでは、テキストリテラルはダブルクォートとシングルクォートの2種類があります。違いは、「ダブルクォートは、その中に${}として式を埋め込むことができる」という点です。
msg = "<<This is Message>>" println 'メッセージ${msg}' println "メッセージ${msg}"
例えば、このように実行すると、次のような文が出力されます。前者はそのまま${msg}を文字として出力し、後者は${msg}を評価し出力します。
メッセージ${msg} メッセージ<<This is Message>>
テキストの演算
Javaでは、+演算子でテキストを1つにつなげることができましたが、Groovyではさらにその上をいきます。テキストの引き算や掛け算も可能なのです。
msg = "Hello" msg -= "l" msg *= 3 println msg
例えば、このように実行すると、"HeloHeloHelo"と出力されます。まず"Hello"から"l"を引いて"Helo"になり、それに3をかけて"HeloHeloHelo"となるのです。