はじめに
「Apache Struts」(以下、Struts)とは、サーバサイドJava開発のデファクトスタンダードとしてあまりにも有名な、オープンソースのWebアプリケーション・フレームワークです。本連載では、そのStrutsの次世代バージョンであるStruts 2を、実際に動作するアプリケーションと共に解説していきます。
第6回目の本稿は、先頃リリースされたバージョン2.1.6についてと、Zero Configuration(ゼロ・コンフィギュレーション)と呼ばれる、XML設定ファイルを用いないでアプリケーションを構築する方法について説明することにします。
対象読者
サーバサイドJava(JSP&サーブレット)について基本的なことは理解している方を対象とします。
バージョン2.1.6とは
現在のStruts 2には、バージョン2.0.14が最新となる2.0系列と、前述したバージョン2.1.6が最新となる2.1系列があります。数字から分かるように、2.1系列は、2.0系列から比較的大きな改良が加えられたバージョンで、長い間ベータ版という扱いでしたが、2.1.6をもって正式なリリースとなりました。
バージョン2.1.6の主な(2.0系列からの)変更点は、次のとおりです。
- 2.0系列でのバグ修正
- 以下のフレームワークなどのサポートをプラグインに移行
- 以下のプラグインの追加
Ajax
タグとCodebehindプラグインの非推奨(Deprecated)化
JUnit、TestNG、DWR、Portlet
Javatemplates、Conventionプラグイン
特に、Zero Configuration機能を実現していたCodebehindプラグインが非推奨になったことは大きな変更点です。Codebehindプラグインに変わって、Conventionというプラグインが標準になり、記述方法が変更になっています。今回は、この新しいプラグインを用いたZero Configuration機能を説明することにします。
なお、これまでの本連載では、2.0系列をもとに解説してきましたが、バージョン2.1.6が正式にリリースされましたので、今回からは、2.1系列を使ったサンプルコードを紹介することにします。
なおバージョン2.1.6では、日本語文字の処理が完全ではないらしく、文字化けが発生する場合があるようです。2.0系列のアプリケーションをバージョンアップする際には、ご注意ください。応急措置として、文字コードを変換する方法を後述します。
Zero Configurationとは
じつは、この「Zero Configuration」機能こそが、Struts 2の目玉とも言える機能です。Struts 1では、アプリケーションの規模に比例して、XMLファイルに記述するAction
クラスや画面遷移の定義が膨れ上がり、俗に「XML地獄」と呼ばれるような開発効率の低下を招いていました。Struts 2では、このような状況を打破するべく、XMLファイルへの定義を不要にする機能が盛り込まれました。当初は、前述したようにCodebehindプラグインによってサポートされていました。
XMLファイルの定義をなくす仕組みは、決められたルールに従ってAction
クラスやJSPファイルを命名することと、アノテーション機能との合わせ技です。