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Curl 3Dアプリケーションにおける壁判定処理の考え方

第3回

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2009/06/19 16:00

 「Curl 3D Gallery」のような3次元空間を自由に動き回るようなアプリケーションの場合、必要不可欠となる処理があります。その1つが「壁判定処理」です。今回の記事では、壁判定処理の一見分かりにくい方法論を、図を用いて簡潔に説明していきます。

壁判定とは

 「Curl 3D Gallery」のような3次元空間を自由に動き回るようなアプリケーションの場合、必要不可欠となる処理に「壁判定処理」があります。昨今の3Dゲームでもそうですが、建物の外壁を通り抜けることはありえませんし、不用意に崖や屋上から飛び降りてしまうとダメージを受けたり、キャラクターが減ったりします。これらには、今回ご紹介する壁判定処理により実現されています。

 では、壁判定処理とはどのようなものなのでしょうか?

 先を急ぐ前に、視点の移動方法を簡単に説明しておきます。視点移動は視点位置に進行方向ベクトル×1回での移動距離を加算することにより行っています。3Dゲームでは、この移動の間にカメラを上下させることで、走っているような雰囲気を出しているものもあるようです。

 では、「Curl 3D Gallery」の壁判定処理をみていきましょう。壁判定処理では、壁判定有効距離、接近猶予距離、接近限界距離の3つの距離レベルを用いて処理を行っています。

  • 壁判定有効距離:処理高速化のために壁面判定の詳細処理を行う距離。

     壁面が、この距離以上離れている(※1)と壁判定処理は行いません。

  • 接近猶予距離:移動前の視点位置の調整距離。
  • 接近限界距離:移動後の視点位置の許容距離。
(※1)

 ボックスで判断することでより高速な処理を行っています。

これまでの連載

  1. Curl 3Dアプリケーション作成の基礎
  2. Curl 3Dアプリケーションのテクスチャマッピング

壁判定の手順

 具体的には、以下のような壁判定処理を行っています(以降、現在の視点位置を「現視点位置」、移動後の仮の視点位置を「新視点位置」とします)。

 以下の1~3は、前進を行う際に一連の処理として実行します。前進動作が連続する場合(移動ボタンが押されている場合や、マウス操作を行っている場合)は、この一連の処理が繰り返し行われます。複雑なことを行っていそうですが、次ページで図解いたします。図を見ればご理解頂けると思います。

1)壁判定必要性の確認

  • 現視点位置から壁判定有効距離内に面が存在しない場合は、新視点位置とし、以降の判定処理は行われません。

 一歩進んだ先に壁があるかないかの判定です。壁がない場合は一歩進みます。

2)移動前の視点位置での確認

  • 現視点位置の進行方向で接近猶予距離以内に面がある場合、現視点位置を進行方向逆に、接近猶予距離だけ離れた位置を新視点位置とする。
  • 現視点位置の進行方向左側で接近猶予距離以内に面がある場合、現視点位置を進行方向右側に、接近猶予距離だけ離れた位置を新視点位置とする。
  • 現視点位置の進行方向右側で接近猶予距離以内に面がある場合、現視点位置を進行方向左側に、接近猶予距離だけ離れた位置を新視点位置とする。

 一歩進んだ際、壁に近づきすぎているかどうかの判定です。壁に正対しているときは、あまり意味をなしませんが、壁に斜めに向かってジグザグに進む際に有効な処理となります。つまり、壁に近づきすぎていた場合に壁から距離を取り、壁から離れた方向に位置をずらして、進めるようにしています。

3)移動後の視点位置の確認

  • 新視点位置の進行方向で接近限界距離以内に面がある場合、現視点位置のままとする。
  • 新視点位置の進行方向左側で接近限界距離以内に面がある場合、現視点位置のままとする。
  • 新視点位置の進行方向右側で接近限界距離以内に面がある場合、現視点位置のままとする。

 2番目の判定を行い壁から離れた結果、それでも壁に近すぎる場合は移動そのものを取り消します。こちらも壁に正対しているときは意味をなさない処理ですが、斜めに向かって壁に接近した際に必要になります。

手順の図解

  • 凡例

1)壁判定必要性の確認の例

 壁判定を行わず、新視点位置に移動します。

2)移動前の視点位置での確認の例

 移動前、接近猶予距離以内に面(壁)があるので、面(壁)より、接近猶予距離離れた位置を現視点位置とする。

3)移動後の視点位置の確認の例

 移動後、接近限界距離以内に面(壁)があるので、現視点位置のままとする。

 移動前の位置調整により、壁面に沿って、ジグザグに移動することもできます。

 壁判定の処理は、「3D-Gallery\SCENE\CustomSceneGraphic.scurl」のmovement-eyepointメソッドで行っていますので、参照してみてください。

平面との距離計算

 次に、平面との距離計算についても触れておきたいと思います。

 CurlのSceneには、get-intersectionsメソッドがあり、交差する面と交点座標を得ることができるのですが、簡易実装となっているようです。交差する面は得られるのですが、交点座標は、斜めの面の場合、その面が内接する直方体の最も近い面での交点座標となり、実際の交差面との交点は得られません。

 そのため、「Curl 3D Gallery」では、get-intersectionsメソッドで交差面を求め、交点座標は、交差面との幾何計算により、厳密に求めるようにしています。

 ソースコードは、Geom. calc-coords-plane-intersectionメソッドになります。具体的には、交差面の平面方程式を求めます。求められた平面方程式との交点座標を求め、交点座標が、交差面に内包するか否かで、実交点を求めています。

 今回は、具体的なソースコード説明はありませんでしたが、「Curl 3D Gallery」の解読や、他への応用のお役にたてれば幸いです。

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著者プロフィール

  • 尾松 秀紀(オマツ ヒデキ)

    2度目の成人式を過ぎても、なお、現役で組んでたりします。 ^__^; 「ものづくり」は大好きな2児の父親です。真新しい技術には興味ありありで、暇を作っては、試してみたりしています。機会があれば、いろいろご紹介していきたいと思いますので、今後とも、よろしくお願いします。 P.S. 株式会社ベーシッ...

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