2004年設立のポピュラーソフト株式会社は、大手金融システムなどの大規模プロジェクトからパッケージ製品の開発まで、ソフトウェア開発全般における幅広い業務を行っている。2005年には中国の大連に支社を設立。優秀な人材の確保と標準の開発プロセスの確立を行うなど、順調に体制を整えており、2008年には大手ITベンダーのコアパートナーに認定された。そのポピュラーソフトが開発したPopular Beetleは、実務から生まれたDB比較、マージ、編集ツールだ。
システム開発時のテスト検証作業を約50%圧縮
現在、多くの企業や組織のデータベースにおいて、データ量増加に伴い高性能サーバーへの移行などが実施されている。同時に事業環境の変化に対応するため、OracleやMS-AccessからSQL-Sever、またはその逆など、異なるデータベースへの移行作業も盛んだ。ただ、データベースが業務の根幹を担っている現在、既存システムの移行は、現場に大きな負担を強いているのも事実。
2009年6月にポピュラーソフトが発表したPopular Beetleは、データベース比較・マージ・検証・編集作業を大幅に効率化することを可能にしたツールだ。たとえば1回で10~15分かかっていた検証作業を2~3分に、単体・結合・運用テストの期間を1ヶ月から2週間に短縮するなど、DB更新にともなうシステム開発時のテスト検証作業をおよそ50%圧縮することが可能だ。ポピュラーソフト代表取締役の坂野樹文氏は「たとえば金融機関のデータベース更新や移行作業では、効率性と同時に高度な信頼性が求められます。実際の作業にあたり、サポートするツールを探したのですが、既存の製品で私どものニーズに応えるものがありませんでした。そこで、自ら作成することにしたのです」と開発の経緯を語る。
Popular Beetleは、Oracle、SQL-Sever、MS-Access、ODBC対応DB、Excelファイル、CSVファイル対応で、異なる種類のDB間の移行、比較、検証を行うことが可能だ。最大の特徴は、DB更新前後や二つの異なるDBなどのデータ、スキーマを左右(上下設定も可)のTable上でビジュアルに比較し、確認できることだ。内容が異なる項目や、片側だけに存在する項目などが色分けで表示される。さらに相違レコードの存在場所を示すナビ機能や相違レコードの抽出、1レコード単位の比較など、効果的な表示機能により検証作業を強力に支援する。
実務経験から生まれた使い勝手
Popular Beetleに読み込んだDBのデータは直接編集することも、事前にExcelなどで作成したデータのペーストにより修正することもできる。編集作業の内容は自動的にSQL文が作成されるので、SQLベースでの確認も可能だ。ポピュラーソフト営業部 部長、須田靖志氏は「比較情報をお気に入りに追加しておき、グループ単位での比較に利用するなど、実際のDB更新を行ってきた経験者による開発だからこその使い勝手が実現されています」と語る。
さらにPatch作業の実行も安全・確実だ。Popular Beetleの左右のTableに同じデータを読み込み、ツール上で片方にPatchを当てる。想定外のデータ変化などの有無を調べた上で必要な処理を行い、間違いのないことを確認して初めて実際のPatch作業を実施する。また、バックアップ、リカバリー作業の実施も簡潔になる。Popular Beetleには、取り込んだデータを任意の場所にXML形式でファイル保存する機能がある。そのファイルを読み込むことで、随時の比較・復元を実現しているのだ。さらに処理結果を様々な設定でExcelやPDF形式でエクスポートすることで、任意のレポートを作成。エビデンスとして使用することもできる。
注目したいのはメニュー、ツールバー、ダブルクリック選択、右クリック表示~選択、ドラッグ&ドロップなどマウスを駆使したExcelライクなGUI操作で、求められる作業のほとんどを実行できることだ。須田氏は「初級者でも即戦力として検証作業を遂行できる」とツール導入の大きなメリットを強調する。
既存のDB管理編集ツールは特定のプラットフォーム限定や、構築時の作業にフォーカスしたものが中心だ。Popular Beetleは導入後の更新や移行など、様々なシーンで活用できる。一度使うと手放せないツールになりそうだ。
(『月刊DBマガジン 2009/09月号』より転載)