F#の利用環境とインストール方法
F#を利用するには、下記のいずれかのソフトウェアをインストールする必要があります。
1.Visual Studio 2010 Beta1(以降、VS2010)
マイクロソフトは「Visual Studio 2010 Beta1 with F#」を2009年5月20日に発表しました。インストールファイルは以下のリンクからダウンロードできます。F#を利用して、.NET Framework 4.0 Beta1対応アプリケーションを作成できます。
2.Microsoft F#, May 2009 Community Technology Preview
VS2008用のプラグインです。.NET Framework 2.0/3.0/3.5アプリケーションを作成できます。
3.standalone compiler ZIP, for Mono and Windows
MonoとWindows用のスタンドアロンのコンパイラです。.NET Framework 2.0/3.0/3.5アプリケーションを作成できます。
特別に難しいところはありませんので、インストール作業はウィザードに従っていくだけで問題なく完了するはずです。インストール方法の詳細については、リリースノートも併せて参照してください。
F#そのものの機能は、VS2010 Beta1でArray.Parallel.mapなどいくつか新しいライブラリ関数が利用できるようになっている以外はほぼ同じであるようです。ただし、前バージョンでコンパイルしたものとは互換性がありませんので、実行にあたってはコンパイルしなおす必要があります。
インストールが完了したら、さっそくF#インタープリタ(fsi)を使用してみましょう。F#ではインタープリタを利用することで、対話式にコードを入力し、コンパイル実行することが可能です。
インタープリタはVS2010を起動後最初のページ、もしくはコマンドプロンプトから起動して使用できます。
コマンドプロンプトでインタープリタを起動するには、まず環境変数PATHを設定しておく必要があります。fsi.exeのある場所を確認し(VS2010の場合、デフォルトで「C:\Program Files\Microsoft F#\v4.0」)、マイコンピュータの[プロパティ]-[システムの詳細設定]-[詳細設定]タブ -[環境変数]-[システム変数]のPathに、以下図のようにパスを追加してください(Windowsのバージョンによって適宜読み替えてください)。
環境変数PATHを設定したら、コマンドプロンプトからfsi.exeを実行し、パスが通っていることを確認してください。次のような画面が表示されれば正しくインタープリタが起動しています。
また、F#が正しく動作していることを確認してみるために、おなじみの"Hello, World!"を実行してみましょう。下記のようにコマンドを入力し、[Enter]キーを押下します。
> printf "Hello, World!" ;;
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Hello, World!val it : unit = ()
このように表示されれば成功です。printfコマンドはF#独自の名前空間printfに属するOCaml互換のモジュールで、System.Console.WriteLineと同様の機能を持ちます。コマンドの最後に2つセミコロンがありますが、間違いではありません。F#では、文末の2つのセミコロンは入力終了を意味し、インタープリタは入力した内容をコンパイラに送ります。複数行にわたって1つのコマンドを記述したい場合には最終行末にのみダブルセミコロンを記述します。
関数型関数では関数は必ず戻り値を返し、その型と値が"val it :" に続いて表示されます。valは変数を意味し、itは変数が指定されていない場合にデフォルトとして使用されます。printfなどの関数の実行は通常の戻り値ではなく、unit型の"()"という値を戻すため、上記のようになります(unit型の詳細は後半にて解説します)。