helloworldプロジェクトをカスタマイズする
helloworldだけでは面白くないので、このプロジェクトをカスタマイズしてみましょう。カスタマイズを行う前に、[Ctrl-C]を押して起動中の開発サーバーを停止させておきましょう。
Topページに、ログインしているユーザ名を表示するようにします。手順は以下の通りです。
1. ユーザ名を表示するSnippetを作成する
Sinppetクラスを新規に作成します。
「src/main/scala/demo/helloworld/snippet」ディレクトリに、「UserSnippet.scala」というファイル名で新しいファイルを作成します。ファイルの内容はリスト12の通りで、ファイルの文字コードはutf-8とします。
// パッケージ宣言 package demo.helloworld.snippet // Import文 import _root_.net.liftweb.util._ import _root_.demo.helloworld.model._ // Snippetクラスの宣言 class UserSnippet{ // Snippetとして呼び出されるメソッド def showName = <span>{ User.currentUser match { // ログイン中のユーザを取得 case Full(user) => user.shortName // ログイン中の場合は名前を返す case _ => "Guest" // ログインしていなければ"Guest"を返す } }</span> }
Sinppetクラスは、"demo.helloworld.snippet"パッケージに定義します。
UserSnippetがSnippetクラス名です。
def showName
で定義されているメソッドが具体的にユーザ名を出力するメソッドです。デフォルトで作成されているUserモデルオブジェクトのcurrentUserメソッドで現在ログインしているユーザを取得しています。Scalaのパターンマッチを利用して、ログインして売る場合は名前を、ログインしていない場合は"Guest"という文字列を返しています。
2. Topページのテンプレートに作成したSnippetを呼び出すXMLタグを追加する
Topページに対応するテンプレートファイルに、先ほど作成したUserSnippetを呼び出すXMLタグを追加します。「src/main/webapp/index.html」を、リスト13の内容に修正します。
<lift:surround with="default" at="content"> <h2>Welcome to your project!</h2> <p><lift:helloWorld.howdy /></p> <!-- 作成したUserSnippetを呼び出すタグを追加 --> <h3>ようこそ、<lift:userSnippet.showName />さん</h3> </lift:surround>
<h3>ようこそ、<lift:userSnippet.showName />さん</h3>
の部分を追加します。
Snippetを呼び出すXMLタグは、<lift:Snippetクラス名.メソッド名>の形式になります。この場合は、UserSnippetクラスのshowNameメソッドの戻り値を出力する、という意味になります。
では、再度開発サーバーを起動してみましょう。
Topページに、図7のように「ようこそ、Guestさん。」と表示されるはずです。
次に、[Login]リンクからすでに作成したユーザーでログインするか、[Sigh Up]リンクで新たにユーザーを作成してみましょう。今度は、作成したユーザの名前がTopページに表示されます。
まとめ
Liftについて、特徴や機能を簡単に説明し、サンプルを動作させることで概要をお伝えできたと思いますが、いかがでしょうか。
Liftというフレームワークの思想は、従来のWebアプリケーションに慣れている皆さんには異質に感じられるかもしれませんが、慣れると簡潔で柔軟な開発が可能になります。
今回はプログラムの細かい点については説明を割愛させてもらいましたが、次回以降は、SnippetやModelの詳細やLiftの内部構成について詳しく解説していく予定です。
参考資料
- The Scala Programing Language
- Lift
- 『Programming in Scala』 Martin Odersky・Lex Spoon・Bill Venners 著、Artima Inc、2008年11月
- 『The Definitive Guide to Lift: A Scala-based Web Framework』 Derek Chen-Becker・Tyler Weir・Marius Danciu 著、Apress、2009年5月