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10年先を見据えた.NET系基幹業務システムの有効アプローチとは?

.NET環境における帳票システムの落とし穴

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 .NET環境の基幹業務システムを提案していく中で、エンドユーザーに必要とされるものは何か。また、開発において陥りやすい罠とは何か。基幹業務システムの開発工程で比較的大きな割合を占める「帳票開発」の視点からこれらを考えてみる。

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基幹業務システムの現状

 IT投資の予算が伸び悩むものの、最近は中長期的な投資が再開し、特に営業・販売といった業務に直結する基幹業務システムの案件が数を取り戻しつつあるという声をよく耳にする。一方、コスト削減に対するユーザー企業の意識はさらに高まっており、いかに高品質で、段階的な拡張を前提とした費用の抑制が行えるソリューションを提供できるかが、受注競争を生き残るための鍵となるだろう。また最近はクラウドや仮想化というキーワードに代表されるように、ビジネスの変化に対する対応力も求められるようになってきている。

 そのような中で、システム開発・実行環境の「.NET Framework」は、基幹業務システムを開発する上で、今後も有望な技術の一つだと言えるだろう。マイクロソフトは今期からクラウドコンピューティング環境「Windows Azure Platform」への本格的なコミットを表明しており、同環境では既存資産の活用や、オンプレミス・クラウド間の連携を強く意識した特長を持っているからだ。

 では、.NET Frameworkでそのような基幹業務システムを構築する要はどこにあるのだろうか。

基幹業務システムと「帳票」との関係

 基幹業務システムを考える上で、重要な要素の一つに「帳票」が挙げられる。伝票や申請書類を初めとする「帳票」は業務と密着しており、業務プロセスにおいて欠かせないもの。エンドユーザーにとっても情報流通のインターフェイスとしてなじみ深い。帳票まわりの満足度がシステム全体の品質へ与えるインパクトは少なくないだろう。

 また、帳票開発は膨大な開発工数、現場利用者とのやりとりや手戻りの手間、場合によっては上位アプリケーションのプログラム改修が必要と、開発負荷が重くなりがちな部分。開発効率を考えると当然、フルスクラッチではなく、サードパーティ製の開発支援ツールの導入が考えられる。

帳票ソフトウェアに求められること

 帳票関連の開発支援ツールは、さまざまなものが各社から提供されているが、長年の蓄積からコモディティ化してきており、主要機能の面ではどれも差がなくなってきているように思える。例えば、GUIベースの帳票デザインツールや外字利用、PDF出力といったサポートは多くの製品で行われている。帳票のフォームを作成し出力するための部品(コンポーネント)という用途を想定するのであれば、手頃な価格帯の製品で十分だし、実際小規模の案件ではそれで事足りてしまうことだろう。

ユーザー視点で本当に必要な機能

 一方、システムを運用するエンドユーザーの立場からすると、一歩踏み込んだ機能を欲しくなることが少なくない。ドットプリンタを初めとする各種プリンタドライバのサポート範囲、ラベルプリンタにおけるラベルの精度、大量印刷、といった機能が業務を円滑に進める上で必要となる。細かい所では、PDF出力の際、プレビューを表示してから再度印刷ボタンを押すのではなく、一度の手順(ワンクリック)で済むようにして欲しいなど、現場の声はさまざまだ。

ニーズが高まる柔軟で長く使えるシステム

 また、ユーザー企業としては一度導入したシステムを長く使いたいもの。特に昨今は事業再編やグローバル展開といったビジネス成長、業務環境の変化にも対応できる柔軟性と拡張性がシステムに求められる。

 マイクロソフトのサーバー製品は大体5年に1回バージョンアップすることから、2周期持たせるとすれば、.NET FrameworkのITシステムのライフサイクルは10年と考えられる。この10年間、ユーザー企業にシステムを満足に使ってもらえる柔軟性・拡張性をいかに確保できるかが、開発者の死活を分けるかもしれない。

必要なのは「帳票ツール」ではなく「帳票システム」

 このようにユーザー企業が本当に魅力を感じる提案を行うには、帳票開発に対し、機能を実装するだけの「帳票ツール」という短期的な視点ではなく、開発から運用までを包括的に捉えた「帳票システム」の構築という視点で考える必要がある。

 このようなアプローチは一見、システム提供側にデメリットがあるように感じられるかもしれないが、運用まで含めた提案はユーザー企業と良好な関係を長く続けていくことにもなり、中長期的なメリットが大きいことは想像に難くないだろう。

開発から運用までを包括的に捉えた「帳票システム」が必要
開発から運用までを包括的に捉えた「帳票システム」が必要

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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https://codezine.jp/article/detail/5382 2010/08/24 14:00

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