本稿はデータベースソフトウェア「SQL Anywhere」およびデータベース全般に関する英語ドキュメントを翻訳する形で提供しています。図など、部分的に英語のままになっていますが、製品のSQL Anywhere自体は完全に日本語化されていますのでご安心ください。
私は昨日、ウォータールー大学で行われたKelly Lyons(トロント大学)の講演を聴いてきました。この講演は、Sybase社がスポンサーとなるデータベースセミナーシリーズの初回となるものです。「テクノロジーによって人と人との交流を仲立ちする」と題されたこの講義は興味深いもので、その中でKellyは、自分の研究プログラムの概要とそれに携わる大学院生の貢献を紹介しました。以下は私が取った講演のメモをまとめたものです。
モチベーション:Kellyの研究の中心は「サービスサイエンス」であり、これは事業領域、テクノロジー、人や文化といった幅広い分野の複合体です。具体的に言うと、Kellyとそのチームは人的交流、とりわけ時間的または空間的隔たりがある交流を研究しています。またオンラインプロフィール、相互接続されたソーシャルネットワーク、コミュニティの形成、ユーザー生成コンテンツ、といったソーシャルメディアの要素が人的交流に与える影響を調査しています。根本的な問いは次のとおりです。
「ソーシャルメディアの技術と環境をどのように設計、開発、理解、活用すれば人的交流が促進されるのか。」
アプローチ:この問いに対し、トロント大学のKelly率いる研究チームは、以下の4つの方針に沿って答えを出そうと試みています。
- ソーシャルメディアの環境と技術を理解し、さらにそれらが従来の交流技術と環境に与える影響を把握すること
- 従来の環境と技術を理解し、さらにそこでソーシャルメディアの技術がどのように機能し得るかを把握すること
- 従来の環境においてソーシャルメディアの技術を活用すること
- ソーシャルメディアの環境において従来の技術を活用すること
プロジェクト:Kellyは、こうした可能性を模索すべく進行中のいくつかの研究プロジェクトについて概要を述べましたが、ここではそのうちの3つについて触れたいと思います。
第一に、「ミレニアルズ」(20~25歳の若者)を対象とした研究を行い、彼らが意思決定の際にどのようにソーシャルメディアを利用しているかを調査しています。ここでの問題は、この年齢層の意思決定が他と異なるものかどうか、またそうだとすると、その違いがどのような結果をもたらすのか、ということです。
第二の研究は、仮想研究環境(各自がそれぞれ別の場所で活動する研究チームのこと)についてのものです。つまり、仮想研究環境がどのように機能し、どの程度効果的であるかと、1か所に集まらないことによって生じる数々の問題をソーシャルメディアでどのように軽減できるかについて研究しています。
第三の研究は、ソフトウェア会社が多数のユーザーから集合的にフィードバックを収集するために、どのようにソーシャルメディア技術を活用しているか、というものです。トロント大学のKellyのチームはSAPと密接に連携し、ソーシャルメディア技術を利用した共同作業ツールの実例としてSAP Streamworkを研究しています。
私はこの3番目の例に最も強く関心を寄せています。というのも、Sybase NNTPニュースグループや、SQL Anywhere StackExchangeのようなWeb上のサイトを通じて、我々SQL Anywhereの開発者は顧客と直接交流していますが、そのことが、顧客と我々の双方に多くの利点をもたらしていることを日々実感しているからです。