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グラス片手にアジャイル開発

グラス片手にアジャイル開発 第5回(前編)
- イテレーション単位のアクティビティ

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デイリースクラム

 デイリースクラムは、「日次ミーティング」「朝会」「スタンドアップミーティング」とよばれますが、行うことは単純で、次の3つです。

  • 昨日何をしたか?
  • 今日何をするか?
  • 進捗を妨げている問題は何か?

 基本的には、メンバー間の共有の場であり、日々の開発のリズムを作るための場です。日々行うことによりメンバーの進捗を素早く連続的に把握し、何か問題が起こった場合も素早いアクションが可能になります。チーム内の一体感を高める場にもなります。単なる朝会と言えばそれまでですので取り組みやすいプラクティスです。

 デイリースクラムでもう1つ把握すべきことがあるとしたら、

  • 計画に対する進捗は?

 という点があります(特に管理者の立場からは)。簡単である限り進捗の把握もあってもよいですし、メンバーからの報告でなくとも管理者による確認でもいいと思います。ホワイトボードなどで全体感を一瞥できるとよいです。ただ、この場は上から管理するような姿勢で臨まないようにすべきです。報告の場ではなくて共有の場であるという雰囲気づくりが重要です。

 デイリースクラムは原則的に15分以内と言われますが、問題について話し合うとあっという間に時間が過ぎてしまいます。問題が浮かび上がれば必要なメンバーだけが集まり、別途、話し合いの場を持つようにします。

レトロスペクションミーティング

 レトロスペクションミーティングは、「スプリントレビュー」「レトロスペクティブ」「ふりかえり」などと呼ばれることがあります。スプリントの最後の日に行うミーティングです。

  • 何をしたかについて、1人数分から十数分説明する
  • 何ができないか、どのような課題が残っているかに言及する

 プロジェクターないしは画面共有アプリケーションを用いて、1人1人自分のPC画面を映しながらデモをします。デモといっても、EclipseなどのIDEを開きながらコードを説明したり、実際に動かしたりするだけです。コードを書かなかったメンバーは、例えば、作成したドキュメントを説明したり、訪問したお客様について説明したりすればよいでしょう。

 レトロスペクションミーティングを補完する目的で、中間ミーティングを設定することがあります。基本的には、レトロスペクションミーティングと同様の内容で実施し、特に下記のような点に注意しながら行います。設計や実装に幅を持たせている場合、そのスプリントにおける着地点を決定するための場にもなります。

  • ここまでは順調に来ているか?
  • どうすればタスクを完了できそうか?
  • 大きな問題は発生していないか?

タスク準備

 ここまで触れませんでしたが、スプリントの準備作業としてタスク準備があります。タスク準備はスプリントにおける定常のミーティングとは少し切り離して考えた方が良い作業です。原則としては、バックログから優先度の高い順に開発をこなしていくことなりますが、その時々で、管理者が開発チーム内外と調整しつつ最終決定します。中間ミーティングやレトロスペクション、もしくはデイリースクラムで状況を把握しながら、次のスプリントについてあらかじめ準備しておきます。

※用語2 タスク? ストーリー? フィーチャー?

 本稿では全般に「タスク」として作業単位を説明しました。スプリントにおけるタスクの切り方は、一般的にイメージするタスクで良く、作業や工程を分割した半日~3日程度の作業です。タスクは、(ユーザー)ストーリーという説明文で記述した機能を実現するものとして位置づけられ、提供する機能の最小単位がストーリーです(例えば「管理者としてユーザーのパスワードをリセットできる」など)。ソフトウェアが備える機能の内容はフィーチャーと呼ぶことがありますが、(ユーザー)ストーリーと言う形式でフィーチャーを表現・分割して、開発していくと捉えることができます。

 本稿の後半では、ドキュメントとツール、および、ありがちな問題と解決方法とをリストアップします。

今月のカクテル:ホーセズ・ネック(Horse’s Neck)

 縦長のタンブラーグラスにらせん状にむいたレモンの皮を飾り、氷を入れ、ブランデーとジンジャーエールを注いて軽くステア―してできあがり。ダイナミックで、ちょっと注目を浴びる一品です。

 「ホーセズ・ネック」という名前を最初に聞いたとき、まさかこんなカクテルだと思いませんでした。実際にオーダーをしてみて、あ、なるほどレモンの皮の端を馬の首に見立てているんだって初めて分かります。

 「アジャイル開発」も同じです。本に書いてあることや人から聞いたことを鵜呑みにして知っているつもりになってはいけません。解はたくさんありますので、他者のやり方を参考にしながらも、実践して初めていろいろなことが分かります。

 今回は、スクラムにおけるスプリントの期間、プランニングミーティングの具体的内容、プランニングポーカーでのタスク工数見積、タスク割当におけるポイント、デイリースクラムを短時間でこなすコツ、レトロスペクションミーティングで何を確認するか、タスク準備の重要さ、などを具体的に紹介しています。

 実際にやっていることにもとづいているので、現場の情景が目に浮かぶようです。私も自分たちのアジャイルとの違いもあるので、いろいろと試してみたいと感じました。では、いろいろな開発現場で工夫を凝らしながらアジャイル開発に取り組んでいる人たちを祝福して、カンパーイ!(梅)

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この記事の著者

株式会社ディーバ 小林 達(コバヤシ サトシ)

2004年に株式会社ディーバ入社。連結会計システム「DivaSystem」の大規模プロジェクトに参加した後、ビジネスインテリジェンス分野を中心とした複数の製品/受託開発プロジェクトを技術面で主導。オフショア開発でのアジャイル開発経験などを経て、現在はディーバアメリカを含む多国籍メンバーと共に、次世代...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/5565 2010/11/24 14:00

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