2D/3Dグラフィックスで真価を発揮するFlash
現在Flashで革新を起こせる期待が最も高いのは、2Dおよび3Dグラフィックス、特にゲームの分野であるという。Adobe Systems社 ゲーミングプロダクトマネージャのEmmy Huang氏がその辺りを詳しく紹介した。
まずは2Dのグラフィックスについて。Flash Player 11ではネイティブコードを使用せずに抽象度を保ったままGPUを活用できる「Stage3D」という新機能が実装された。それを2D用途に限定し、従来のAPIスタイルで利用できるように更にラップしたフレームワークが「Starling」だ。オープンソースで提供されている。このStarlingの適用事例の紹介は、世界的に有名なゲームソフト「Angry Birds」の開発を手掛けるRovio社のジェネラルマネージャー Andrew Stalbow氏により行われた。
Stalbow氏は、現在Flash Player 11対応のゲームエンジンの開発を進めていると説明し、「普及度の高いブラウザプラグインを使うことで、より広範なユーザーに提供できる」「パーティクル数が5倍になり、爆発・煙・雷などの特殊効果を加え、ユーザー体験が非常によくなる」「毎秒60フレームのレンダリングで非常にスムーズなゲーム進行を行える」と、実行環境について評価した。
一方、3Dグラフィックスについてはどうか。代表的な一例として、「Tanki Online」というマルチプレイヤー方式の戦車ゲームが紹介され、コンソール機に迫る表現力を見せつけた。
さらに、ゲーム以外の用途として、日産ヨーロッパが提供する「Nissan Juke」のコンフィグレーターも紹介。Web上で車体の確認や試乗を非常に印象に残る形で提供する様子が示された。
コンソール機向けにハイエンドなグラフィックスのゲームを数多く提供しているEPIC GAME社 創始者兼テクニカルディレクターのTim Sweeney氏もゲストとして呼ばれ、同社が手掛ける「Unreal Engineと、Adobeのコンパイラテクノロジーを使うことで、モダンなPCを対象にコンテンツ面でトリプルAの素晴らしいゲームを提供できる。しかも、クロスブラウザで主要なプラットフォームであれば、どんなデバイスでもプレイできる」と、Flash Player 11に対するゲーム用途での期待感を表した。
リッチなユーザー体験を実際に体験
最後に、Winokur氏は、「テクノロジーが進化し、コンテンツ制作、出版と、ウェブ上で様々なことができるようになりつつある。本日紹介した新しいリッチなユーザー体験の一端を垣間見れるリンクページを用意した。実際に触っていただきフィードバックがもらえればありがたい。ウェブアプリケーションという意味において、本当に目覚ましい時代に我々はいると思う」と講演を締めくくった。