はじめに
昨年2011年11月にリリースされたWindows Azure SDKは、これまでのコンポーネント構成を変更し、.NET向けのライブラリのみならず、Node.jsやJava、PHPの対応を明確に打ち出しました。ここでは新しく追加されたWindows Azure SDK for Node.jsについて説明します。
対象読者
今回の対象読者は下記のとおりです。
- Node.jsに興味がある方
- Node.jsをWindows Azureで実行したい方
Windows Azureの概要を知らなくても、Node.jsの実行環境として概要が分かるように解説していきます。従って、すでにWindows Azureをご存じの方はやや繰り返しとなる部分が出てくるかもしれませんがご了承ください。
必要な環境
- Windows Azureサブスクリプション(フリートライアル)
- Windows Azure SDK for .Node.js
Windows AzureとNode.js
Windows Azureとはマイクロソフトが提供するクラウドプラットフォームで、クラウドの階層で分類するならばPaaS(Platform as a Service)にあたります。各種サービスの実行基盤として、インフラ層を意識することなく簡単に利用できます。
Windowsと聞くとオープンプラットフォームの対応が進んでいないと誤解される方もいるかと思いますが、Windows Azureではサービスイン当初から、Java、PHPなどに対応しており、最近では自社技術よりもオープンプラットフォームへの対応を強化している印象すらあります(注1)。
最近の動向は、「オープン ソース、オープンな標準にマイクロソフトはどう取り組んでいるか」にまとまっています。参考にしてください。
一方、Node.jsとは、Googleが開発したJavaScriptエンジンで構築された実行環境です。Chromeにも搭載されており、サーバーサイドJavaScriptとして注目を集めている技術です。
Node.jsの特徴を挙げると以下のとおりです。
- イベント駆動型(イベントドリブン)
- 非同期 I/O
- シングルスレッド
イベント駆動型とは、Windowsアプリケーションなどで言えば、ボタンがクリックされたときにイベントが発生し処理が呼び出されるようなモデルのことです。Node.jsでも同じく、クライアントから要求があった場合にイベントが発生しコールバック関数が呼ばれます。
通常の同期I/Oモデルでは、例えばファイルを読み込む場合は、読み込みが完了するまで呼び出し元は待たされます。Node.jsは非同期I/Oであるため、読み込みが完了する前に呼び出し元に復帰し、処理が継続されます。実際の読み込み処理は非同期で実行されます(図1)。
シングルスレッドモデル動作するため、リソースの消費が少なく効率的に動作します。
以上のような特徴を持つため、スケーラブルなネットワークアプリケーションを簡単に構築することに向いていると言えます。
2011年11月にWindows Azure SDK for Node.jsがリリースされ、発展途上ではありますがNode.jsアプリケーションを簡単にWindows Azureに展開できるようになってきています。本稿では、Node.jsをWindows Azureで動作させるまで手順を通して解説していきます。