「プロトタイピングと定性調査のすすめ」(ヤフー堀さん)
堀さんは、Yahoo! Japan公式アプリのデザインや、「定性調査」を推進するための活動などを担当されています。今回の発表では、「プロトタイピング」や「定性調査」を実際に行うときの重要なポイントについて解説しました。
誰でも簡単にプロトタイプを作れる身近なツール
ここ何年かで、さまざまなプロトタイピングツールが登場しており、PC上で作るタイプのものもあれば、スマートフォンだけで作成を完結できるタイプのものもあります。搭載されている機能も強化されており、一昔前では難しかったようなことが簡単にできるようになっています。このように非常に便利になったプロトタイピングツールですが、人によっては必要以上に作りこみすぎてしまい、かえって時間がかかってしまうこともあるそうです。また、「紙とペンがあれば素早く作れる」と言われているペーパープロトタイピングについても、「すべてのデザイナーに薦められるわけではない」と語っていました。
堀さん自身は「Keynote」を使ってプロトタイプを作成しているそうです。本来はプレゼンテーションの資料を作成するためのツールですが、グラフィックやアニメーションなどの機能が揃っているので、iPhoneアプリのプロトタイプを作成する際にも活用できます。iPhoneの画面サイズでスライドを作成して、画面の要素を配置し、画面同士をリンク機能で繋げます。こうして作成したスライドをPDF形式で書きだしてiPhoneに取り込むことで、iPhoneの実機でレイアウトや画面遷移の動きなどを確認することができます。また、「Keynoteは専門的なツールではなく一般的なツールなので、デザイナーでなくても簡単にプロトタイプを作成できる」という利点についても紹介していました。
プロトタイプ作成に欠かせない「定性調査」のコツ
続いて、「定性調査」についての話に移りました。「プロトタイプを作成して終わりにするのではなく、あわせて定性調査を行うことが重要」といいます。とは言え、慣れていない人にとっては敷居が高く感じられるものです。そこで、堀さんは、定性調査を行う際に注目すべきポイントとして「観察力をつける」ということを挙げました。例えば、ユーザービリティテストでは「どういうことが行われたのか」に注目し、ユーザーの視点にたって実際に起きた事実を記録します。課せられたタスクを解決するための画面要素を見つけられないのか、そもそも何をすればよいのかが分からないのか、ユーザーの心理をきっちり分解してみることが重要だと述べました。
おわりに
以上がヤフーのエンジニア/デザイナーによる発表の紹介でした。サービス立ち上げ時のアプローチ方法やアプリの使いやすさを検証する方法などは、私自身あまり関わったことのない領域の話であり、大変参考になりました。
(後編に続きます)
Yahoo! JAPAN Tech Blogのポスト『「iOSエンジニア・UI/UXデザイナー勉強会」の資料を公開します #yxdena』も、ぜひ併せて参照してください。
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