「スマデバリッチ広告をプロトタイプで作り上げる」(ヤフー小林さん)
小林さんの発表は、スマートフォン向けのリッチ広告に関するものでした。小林さんは、ヤフー社内で「スマデバリッチ広告」の開発に携わっており、どういう広告を作っていて、どういう取り組みを行っているかについて語りました。
新しいタイプのスマホ向け広告「スマデバリッチ広告」
現在主流となっているスマートフォン向けの広告には、画面下部に固定されているタイプのものや、バナーをタップすると全画面表示するタイプのものなどがありますが、スマデバリッチ広告はこれらとは違うタイプの広告だそうです。例として、「広告枠を『覗き窓』のように見立てて、コンテンツの奥を覗きこむような表現を使ったもの」や、「ジャイロセンサーの値を使い、広告枠に奥行きを持たせる表現」を使ったものなどを紹介しました。
小林さんは、リッチ広告のUI/UXを考える上で気にすべき項目として「見ていて面白い」「ユーザーの行動を邪魔しない」「広告主の商品を存分にアピールする」の3つを挙げました。ユーザーの目をひくような面白さは必要ですが、コンテンツ領域を狭めることやユーザーの意図しない挙動を行うことは避けなければなりません。また、スマートフォン向け広告の表示領域は狭いのでユーザーへアピールできるチャンスは一瞬になります。「3つの項目のバランスをとりつつ、ユーザーへ悪影響を与えずに、いかに広告主の商品をアピールできるかが重要」と語りました。
「スマデバリッチ広告」の開発手法
リッチ広告を開発する作業は「個人での作業」と「チームでの作業」を組み合わせて進めているそうです。「個人での作業では、浮かんだアイデアから『動くプロトタイプ』を作る。そして、作成したプロトタイプをチームメンバーに見せて、ブレストしてアイデアを膨らませたり、意見をもらったりする。これらのフィードバックを持ち帰って再度個人での作業を行い、再度プロトタイプを作成する」と紹介しました。この繰り返しで1つのプロトタイプを磨き上げたり、アイデアを派生させたりしているそうです。
通常の開発において「プロトタイプ」を作成する理由は、チームのメンバーの間で認識を合わせるためだったり、作業の手戻りを防止するためだったりしますが、リッチ広告の開発の場合は、動くものを共有するために作成するそうです。「広告の関係者に提案するときであれば、企画書よりもプロトタイプを見せたほうが伝わる。チームでブレストするときであれば、プロトタイプがあったほうがアイディアが膨んで、面白いものだけが残っていく」と述べました。