私たちを取り巻くシステム環境
ネットワーク設計を考えるときは企業規模や運用ポリシーにより内容が大きく変化します。経済産業省の統計によれば、我が国の事業者数は300万を超えており、大企業と中小企業の数だけでも50万以上存在します(図1)。
この中で企業の拠点間を繋ぎ、パブリッククラウドやデータセンターを利用する企業数を推定すると、規模的に考えて大企業・中小企業を合わせた52万社以下であると考えられます。続いて、これら大企業・中小企業52万社における利用動向について、総務省の通信利用動向調査(クラウドサービスの利用内訳)から推定してみましょう。
図2は、総務省の通信利用動向調査(クラウドサービスの利用内訳)から、明確な利用目的を出し利用動向を推定したものです。総務省の通信利用動向調査の中では「電子メール、ファイル管理・データ共有・スケジュール共有、社内情報共有・ポータルなど」については、クラウドサービスの利用内訳として高い比率が示されていました。しかし、その他の利用目的については低い比率が示されており、このことから大企業・中小企業では現在も「オープンソース・パッケージソフト・独自開発システム」により、自社やデータセンターの中でシステム稼働していることが推定されます。
大企業・中小企業では運用ポリシーやセキュリティポリシーが異なるシステムを抱えることになり、必然的に「異なりポリシーを内包するネットワーク仮想化」が必要となってきます。読者の皆様が勤務されている会社を思い浮かべていただければ、この理論推定も容易に想像できるかと思います。
続いて、大企業・中小企業におけるネットワーク仮想化の適用領域と場合分けについて見ていきましょう。