キーノートの模様はChannel 9でライブ配信された他、講演済みのセッションもオンデマンド視聴することができる。
最初に、開発ツールやクラウドサービス部門を統括するスコット・ガスリーが発表したのが、.NET Core 5とASP.NET 5のリリース候補版の提供開始だ。本番環境での動作とサポートを保証するGo-Liveライセンスでの扱いとなる。昨年オープンソース化が発表され、プレビュー版として提供されていたもので、Windowsのほか、LinuxやOS Xといった環境でも.NETアプリケーションを実行できる。実際にUbuntu上のDockerにデプロイし、実行する様子なども示された。
また、あらゆる開発のサポートを目指す一例として、Visual StudioがNode.jsやPythonによる開発をサポートし、次期バージョンではR言語への対応も進めていることが紹介された。開発中の機能のスニークプレビューも行われ、軽量な構成でのインストール機能、過去に構築したインストール環境を再現するパーソナライズ機能などが紹介された。
コーディングに最適化したエディタの「Visual Studio Code」は、プレビュー版からベータ版の位置づけとなった。インテリセンス、デバッグ、Git連携といった機能が充実しており、Windows、OS X、Linuxとクロスプラットフォームで動作する。今回のバージョンからエクステンション機能が実装され、今後は、より幅広い開発言語への対応や機能強化の加速が期待される。
なお、エクステンションのインストールは、「F1」を押下し「exten……」と入力して「Extensions: Install Extension」を選択すると表示される一覧から行える。
C#やTypeScriptの開発に携わったアンダース・ヘルスバーグとともに、GoogleのAngularJSの開発チームが登場し、AngularJS 2の開発に、TypeScriptに加えてVisual Studio Codeを活用している様子がアピールされた。
また、オープンソースプロジェクトとしての提供も発表され、エリック・ガンマがその場でGitHubのレポジトリをプライベートからパブリックに変更する様に、会場が沸いた。
Visual Studio Onlineと呼ばれていたサービスは、ブラウザベースのIDEではないことを明確にするために「Visual Studio Team Services」に改名された。サーバー製品として提供されている「Team Foundation Server」のクラウド版に当たり、ソースコード管理からビルド、デプロイ、ロードテスト、リリース管理と、ソフトウェア開発ライフサイクルの全般をカバーする。Application Insightsというアプリケーションの監視機能も備え、DevOpsのサイクルを加速する。コード検索、パッケージ管理、リリース管理のエクステンションのプレビュー版などが新機能として追加された。
また、米Microsoftが2014年末に買収したHockeyAppをVisual Studio Team Servicesに統合し、iOS、Android、Windowsを対象としたモバイルアプリ開発のDevOpsのプロセスを促進する取り組みも紹介された。
ライセンス面では、Visual Studio ProfessinalとEnterpriseを月次または年次の課金で利用できる「Visual Studio Cloud Subscriptions」が、MSDNサブスクリプションのラインナップに加わった。後述のVisual Studio Marketplaceを通じて提供する。
個人開発者向けの新しい提案として、無料プログラムをパッケージ化した「Visual Studio Dev Essentials」も追加されている。Visual Studio CommunityやVisual Studio Codeといった無料ツールに加え、5ユーザーまでのVisual Studio Team Servicesのアカウント、Azureクレジットの無料枠(月間25米ドルを12か月間)、各種フリーレベルのクラウドサービスや、サポート、トレーニングなどがセットになったものだ。
今回、エクステンション関係の機能がツール全般にわたって強化されているが、エクステンションの提供場所も従来のVisual Studio Gallaryから「Visual Studio Marketplace」に名前を変えて、Enterprise、Professional、Community、Team Services、Codeと、Visual Studioファミリーを横断して提供する形態となった。将来的にはパートナーによる有償のエクステンションも販売可能になる予定だ。
本稿では紹介しきれなかった数多くのサービス、新機能が今回のイベントで発表されている。詳細は、以下のChannel 9のストリーミングや、開発者ブログのポストなどを参考にしてほしい。
- 「Connect(); // 2015」(Channel 9)
- 「News from Connect(); 2015」(Brian Harry's blog)
- 「News and Announcements at Connect(); //2015」(The Visual Studio Blog)
- Visual Studio Dev Essentials
- Visual Studio Team Services