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イベントレポート

米MS、Visual Studio CodeのOSS化など、サポートする開発者の範囲をさらに拡大

「Connect(); // 2015」イベントレポート

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 米Microsoftは11月19日(現地時間の18日)、同社の最新技術を紹介する開発者向けの年次イベント「Connect(); // 2015」をニューヨークで開催した。昨年の同イベントで宣言した開発環境のオープン化をさらに推し進めるべく、数多くの新サービスが発表された。ここでは、統合開発環境のVisual Studioを中心に主要なトピックスを紹介する。

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 キーノートの模様はChannel 9でライブ配信された他、講演済みのセッションもオンデマンド視聴することができる。

 最初に、開発ツールやクラウドサービス部門を統括するスコット・ガスリーが発表したのが、.NET Core 5とASP.NET 5のリリース候補版の提供開始だ。本番環境での動作とサポートを保証するGo-Liveライセンスでの扱いとなる。昨年オープンソース化が発表され、プレビュー版として提供されていたもので、Windowsのほか、LinuxやOS Xといった環境でも.NETアプリケーションを実行できる。実際にUbuntu上のDockerにデプロイし、実行する様子なども示された。

今回も赤いシャツで登壇したスコット・ガスリー(同氏のブログ翻訳記事はこちら)

今回も赤いシャツで登壇したスコット・ガスリー(同氏のブログ翻訳記事はこちら

 また、あらゆる開発のサポートを目指す一例として、Visual StudioがNode.jsやPythonによる開発をサポートし、次期バージョンではR言語への対応も進めていることが紹介された。開発中の機能のスニークプレビューも行われ、軽量な構成でのインストール機能、過去に構築したインストール環境を再現するパーソナライズ機能などが紹介された。

開発対象に併せて、最小限の構成にしたり、デスクトップとラップトップで開発環境を切り分けたりできるようになる

開発対象に併せて、最小限の構成にしたり、
デスクトップとラップトップで開発環境を切り分けたりできるようになる

 コーディングに最適化したエディタの「Visual Studio Code」は、プレビュー版からベータ版の位置づけとなった。インテリセンス、デバッグ、Git連携といった機能が充実しており、Windows、OS X、Linuxとクロスプラットフォームで動作する。今回のバージョンからエクステンション機能が実装され、今後は、より幅広い開発言語への対応や機能強化の加速が期待される。

 なお、エクステンションのインストールは、「F1」を押下し「exten……」と入力して「Extensions: Install Extension」を選択すると表示される一覧から行える。

 C#やTypeScriptの開発に携わったアンダース・ヘルスバーグとともに、GoogleのAngularJSの開発チームが登場し、AngularJS 2の開発に、TypeScriptに加えてVisual Studio Codeを活用している様子がアピールされた。

AngularJS 2の開発にTypeScriptが採用されたが、Visual Studio Codeも使われている

AngularJS 2の開発にはTypeScriptが採用されたが、Visual Studio Codeも使われている

 また、オープンソースプロジェクトとしての提供も発表され、エリック・ガンマがその場でGitHubのレポジトリをプライベートからパブリックに変更する様に、会場が沸いた。

Visual Studio Codeのプロジェクトを、イベント会場でリアルタイムにGitHubへ公開した
Visual Studio Codeのプロジェクトを、イベント会場でリアルタイムにGitHubへ公開した

 Visual Studio Onlineと呼ばれていたサービスは、ブラウザベースのIDEではないことを明確にするために「Visual Studio Team Services」に改名された。サーバー製品として提供されている「Team Foundation Server」のクラウド版に当たり、ソースコード管理からビルド、デプロイ、ロードテスト、リリース管理と、ソフトウェア開発ライフサイクルの全般をカバーする。Application Insightsというアプリケーションの監視機能も備え、DevOpsのサイクルを加速する。コード検索、パッケージ管理、リリース管理のエクステンションのプレビュー版などが新機能として追加された。

DevOpsの実践を支援するクラウドサービス「Visual Studio Team Services」
DevOpsの実践を支援するクラウドサービス「Visual Studio Team Services」

 また、米Microsoftが2014年末に買収したHockeyAppをVisual Studio Team Servicesに統合し、iOS、Android、Windowsを対象としたモバイルアプリ開発のDevOpsのプロセスを促進する取り組みも紹介された。

 ライセンス面では、Visual Studio ProfessinalとEnterpriseを月次または年次の課金で利用できる「Visual Studio Cloud Subscriptions」が、MSDNサブスクリプションのラインナップに加わった。後述のVisual Studio Marketplaceを通じて提供する。

 個人開発者向けの新しい提案として、無料プログラムをパッケージ化した「Visual Studio Dev Essentials」も追加されている。Visual Studio CommunityやVisual Studio Codeといった無料ツールに加え、5ユーザーまでのVisual Studio Team Servicesのアカウント、Azureクレジットの無料枠(月間25米ドルを12か月間)、各種フリーレベルのクラウドサービスや、サポート、トレーニングなどがセットになったものだ。

エントリー層向けに、さまざまな開発ツール、クラウドサービス、ソフトウェア、トレーニング、サポートを無料で提供する

エントリー層向けに、さまざまな開発ツール、クラウドサービス、
ソフトウェア、トレーニング、サポートを無料で提供する

 今回、エクステンション関係の機能がツール全般にわたって強化されているが、エクステンションの提供場所も従来のVisual Studio Gallaryから「Visual Studio Marketplace」に名前を変えて、Enterprise、Professional、Community、Team Services、Codeと、Visual Studioファミリーを横断して提供する形態となった。将来的にはパートナーによる有償のエクステンションも販売可能になる予定だ。

既に多数のエクステンションがVisual Studio Marketで提供されている
既に多数のエクステンションがVisual Studio Marketで提供されている

 本稿では紹介しきれなかった数多くのサービス、新機能が今回のイベントで発表されている。詳細は、以下のChannel 9のストリーミングや、開発者ブログのポストなどを参考にしてほしい。

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この記事の著者

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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