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【デブサミ2016】18-A-1レポート
ヤフーCTOが語る、Yahoo! JAPANのテクノロジー20年の軌跡と未来への挑戦

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2016/03/16 14:00

目次

20周年を迎え、新たな挑戦へ

 こうしたクリエイターの切磋琢磨によって、2016年4月には20周年を迎えるヤフー。業界編成が著しいネット業界内では長寿といえるだろう。藤門氏はそれまでの軌跡を、テクノロジースタックによって紹介。IAサーバを入手するのが困難だった創業直後の1996年は、Filo Serverを自社で組み立てる等、手作り感満載の開発環境だったことがうかがえる。また、10年前の2006年にはOSとしてカスタマイズしたFreeBSDを使用していた。

20年前、10年前のテクノロジースタック
20年前、10年前のテクノロジースタック

 そんな技術的な変化は今も続いており、現在では前述のようなテクノロジースタックで動いているが、「もはやそれに留まらない」状況になりつつあるという。たとえば、IoTや開発のプロセス、プライバシーやセキュリティ、ユーザーやクラッシュの解析など、ヤフーのサービスのためには、ありとあらゆる技術の活用が必要だ。

 藤門氏は「正直、今の技術、今の状況が創業当時に見えていれば、もっとよいヤフーになっていたかもしれません。しかし、ヤフーはとにかく目の前のユーザーの課題をとにかく解決し続けてきました」と解説し、その一例として“ログイン”の改善を目的とした紆余曲折を紹介した。

 ログインはもともと「個々のユーザーに最適なコンテンツを提供したい」「IDが必要なサービスを提供したい」といったパーソナライズを目的としていた。そこで、まず1998年には米ヤフーのログインエンジンをC++でローカライズ開発し、My Yahoo!、Yahoo!ページャー、ゲーム、掲示板をスタートさせた。そのうち、様々なWebサービスが立ち上がり、ID連携に対するニーズが高まり、2003年にはシングルサインオンによるID連携時代が始まった。さらにはWeb 2.0とよばれたマッシュアップ時代には、ヤフーのWeb APIへのニーズが高まり、2007年にはブラウザベースの認証APIが実装される。いわゆる「ログインボタン」のはじまりである。まだこのときは、ヤフー以外にもGoogleはAuthSub、AOLはOpenAuthといったように各社独自路線を走ることになる。そしてiPhoneの登場、普及とともに、2008年にはアプリでもログインする時代が到来する。

 しかし、ユーザー側のニーズについてはほぼ対応できたといっても、サービス事業者側にとってはID事業者ごと仕様が異なるために複数IDサービスの対応が複雑化し、負担が増大していることが伺える。認証の標準仕様へのニーズが高まり、2008年には日米ヤフーでの同時リリースとともにOpenIDファウンデーション・ジャパンに加入し、標準化への活動を行うようになったという。そして、ようやく満を持して、2009年には本格的なソーシャルログインとして「OAuth」が一般化し、「〜でログイン」が流行ることになる。しかしOAuthの拡大で問題も生じているという。

 「厳密にはOpenID(認証)と OAuth(認可)で異なり、『ソーシャルログイン』ではないんです。さらには、署名の生成方法が難しく、ヤフーとしてもパートナーの導入サポートで大変難儀しました。よかれと思ったことが上手くいかないこともある」と藤門氏は振り返る。

 それでは現在、どうなってきたのか。2012年頃に認証と認可を同時にできる標準仕様として「OpenID Connect」が登場すると、ヤフーはそれまでの米ヤフーのローカライズを手放し、世界の大手ITプロバイダーの中で一番に提供を開始した。その間、PC側でも“セキュリティ4兄弟”と呼ばれる「リスクベース認証(怪しいログイン成功をユーザーに通知)」「シークレットID(Yahoo! JAPAN ID以外の文字列でログイン)」「ログインテーマ(スマートフォン時代のフィッシング対策)」「ワンタイムパスワード(メールとアプリで動く二要素認証)」などのセキュリティ技術を提供している。

ログインの歴史
ログインの歴史

 藤門氏は「ユーザーやエンジニア、パートナー等のニーズ対応を真摯に行い、ヤフーのログインをつくってきたつもりだったが、それが国内ソーシャルログインのシェアの過半数(56.5% 出典元:フィードフォース ソーシャルログイン利用率)を獲得することになり、結果として日本のログインをつくってきたことになった」と評する。さらには「ログイン=ビッグデータ」のつながりにも触れ、「その可能性を事前に予知できていれば、また違ったアプローチがあったのではないか」と語る。

 そうした20年にわたる取り組みを振り返り、藤門氏は「変わらないものはない」という実感を改めて得ることができたという。そして「その先の未来あるものを最大限に想像しておくことが重要。課題が分かってから取り組むよりも、未来を予測して取り組むことの重要性を痛感している」と語った。

 とはいえ、未来を予測することは難しい。しかし、未来の課題の予測と解決に必要なものとして、藤門氏は「陳腐化しやすい技術力よりも、陳腐化しないマインド」をあげる。そして、「チャレンジ」「オープン」「自分ごと」をヤフーのクリエイターマインドとして伝えているという。そして、そのマインド醸成のために2015年12月に開催された大決起集会の模様が紹介された。

 そして藤門氏は、ヤフーの将来の目標として「技術において世界トップ10の会社になること」を掲げた。なぜなら技術には国境がないため、ヤフーが今後さらにもっとサービスを提供し、課題解決を継続するためには「世界トップ10」が必要条件となるからだ。さらに、未来への準備として「特許戦略」や他社との連携による「オープンイノベーション」、IoT時代の到来を見越した「インフラの強化」、「基礎研究への投資」「オープンソースへの貢献」などをあげた。

 最後に藤門氏は「世界トップ10は決して無謀な目標ではない。社会の問題を解決するために、ぜひ皆さんと協力しあえれば」と会場に訴求し、セッションを終えた。

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  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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