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【デブサミ2016】19-D-6レポート
今すぐIoT readyなエンジニアになれる! IoTプラットフォーム「ThingWorx」とARアプリ開発ツール「Vuforia」

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2016/03/30 14:00

 IoTはこれからますますの成長が予想されている分野の一つだ。IoT機器から送られてくるデータは多様で、その量は膨大である。例えば従来までの既存システムとIoT機器を接続するというIoTシステムを開発するには、異なる技術フレームワーク間の接続に頭を悩ませなければならない。しかもビジネスを取り巻く環境はめまぐるしく変わるので、構築期間はそれほど長い時間をかけるわけにはいかない。そんなIoTシステムの開発を支援するツールがPTCから登場。それが「ThingWorx」である。さらに、VRとともに今後の普及が期待されるARアプリ開発についても、PTCは「Vuforia」というツールで応援。これらThingWorxとVuforiaの両ツールについて、PTCジャパン テクニカルプラットフォーム事業部 シニアIoTプリセールス・スペシャリストの西 啓氏がデモを交えながら紹介した。

PTCジャパン テクニカルプラットフォーム事業部 シニアIoTプリセールス・スペシャリスト 西啓氏
PTCジャパン テクニカルプラットフォーム事業部 シニアIoTプリセールス・スペシャリスト 西 啓氏

IoTシステムの構築を支援する「ThingWorx」

 「リラックスした雰囲気で進めたいと思う」と参加者に呼びかけ、西氏のセッションは始まった。セッションタイトル「あなたを30分でIoT readyなエンジニアにします! ~IoT プラットフォーム ThingWorx, AR(拡張現実)向けプラットフォーム Vuforia~」に謳われているとおり、本セッションでは「ThingWorx」と「Vuforia」というPTCジャパンの新しいソリューションが紹介された。

 IoTプラットフォーム「ThingWorx」は、IoT向けのソフトウェアプラットフォームである。「元々7~8年前に米国のスタートアップ企業が開発した製品で、2年前にPTCが買収。今ではPTCのビジネスユニットの一つとなっており、そこに所属している人は800人を超える」と西氏は説明する。このようにThingWorxはPTCでも注力している製品の一つというわけだ。

 PTCがThingWorxを買収したのには理由がある。PTCはCADソフトウェアのベンダーとして有名だが、それはつまりPTCはデジタルの世界と物質(モノ)の世界をつなぐソフトウェアを提供してきた、ということである。インターネットを介してモノとデジタルの世界をつなぐIoTはまさに、同社にとって親和性があるソリューション。「これまでも当社はデジタルとモノ、アナログ世界をつなげることにこだわってきた。今後もそれをつなげていくことにこだわるために、同ソリューションを手に入れた」と西氏は語る。

 IoTに注目は集まるものの、それを実現するシステムの構築は複雑で、「IT先進国米国でも、トップから与えられる要求に頭を悩ませている」と西氏は明かす。その背景にはデバイス機器の環境が多種多様であり、プラットフォーム構造も常に進化し続けていることが挙げられる。その異なる技術フレームワーク間を接続するために開発者は格闘しているというのである。

 それだけではない。過去に導入した業務システムとIoT機器を接続するなど、過去の技術をIoT向けに仕立てることが求められたりするからだ。しかもプロジェクト期間は短期間しか用意されないので、「一から構築することはできないのが現状だ」と西氏は説明する。

 そんな複雑なIoTシステムの構築を支援してくれるのがThingWorxである。ThingWorxはJDKとTomcat上で動作するIoT開発・サーバソフトウェア。「このツールが一つあれば、迅速なモデル構築やWeb UI開発、改修が容易にできるようになる」と西氏は言い切る。

JDK+Tomcat上で動作するIoT開発・サーバソフトウェア「ThingWorx」
JDK+Tomcat上で動作するIoT開発・サーバソフトウェア「ThingWorx」

大規模なIoTサービス開発を体験できる、ThingWorxの開発者向けサイト

 PTCが自信を持って提供するThingWorx。とはいえ「どんなことができるかわからない」「手元にあるデバイスは本当に接続できるのだろうか」など、不安に思う人もいるだろう。「そんな方のために、PTCは開発者向けの体験サイトを提供している」と語り、西氏はその体験サイトを披露した。

 このサイトではクイックスタートキットが用意し、簡単な登録をするだけでThingWorxを試すことができる。クイックスタートキットはブラウザ上で操作する仕組みとなっているため、クライアント側で特に用意するモノはない。一つだけ注文があるすれば、「できれば解像度の高いディスプレイを用意してほしい」と西氏は言う。特に縦の解像度は1080ピクセル以上が望ましいとのこと。

 クイックスタートキットを開くと、4つのメニューが登場するが、「Smart Phoneよりも、まずはアプリケーションのところから触ってほしい」と西氏は語る。「アプリケーション」のページからは「Connected Car(ネット接続車両)」「MBTA API(公共交通)」「Connected Products(ネット接続機器)」「Fleet Telematics(車両管理)」といった4つのIoTシステムの開発が体験できる。

クイックスタートキットでは無料でIoT体験ができる4つのメニューを用意
クイックスタートキットでは無料でIoT体験ができる4つのメニューを用意

 例えば「Connected Car」ではThingおよびThingTemplateを使い簡単なUI開発を試せる。これにかかる時間は「15分から20分ぐらい」と西氏は言う。次の「MBTA API」は米マサチューセッツ州のバスのトラッキングシステムを利用し、UIの修正や機能追加について体験できるプログラムである。「これも20分ぐらいあれば体験できる」と西氏。

 またサードパーティの提供するAPIを使って、サービスを開発することもできる。「Connected Products」ではネット接続機器の基本的なモデリング、「Fleet Telematics」ではネット接続車両の基本的なモデリングが体験できる。「これらは少し凝った体験ができるので、2~3時間ぐらいかかるかもしれない」と西氏は説明する。

 またクイックスタートキットメニューのデバイスでは、Raspberry PiやIntel Edison、Intel GalileoなどのCおよびJavaのSDKを提供している。「Raspberry Piなどのデバイス向けのSDKを提供しているので、ソースコードをみれば、接続するための知識がわかる。それを拡張するなり変更するなりして使ってほしい。またもしこれらのIoTデバイスを持っていない人は、PC EMSのファイルをダウンロードすれば、どんな処理が必要なのかわかるはず。ぜひ試してほしい」と西氏。

 さらに詳しくThingWorxの基本機能について知りたいのであれば、「ThingWorxツアーを体験するとよい。もっと試してみたいという方は、『Go To Platform』ボタンを押すとThingWorxを使えるサイトに飛ぶので、手持ちのデバイスと接続するようなアプリケーションを作ってみては」と紹介する。わからないことがあれば、デベロッパーコミュニティで質問することもできる。「英語だが、日本人の開発者もいるので、つたない英語でも気にすることはない」(西氏)。デモインスタンスは約30日間活用できるので、試してみるには十分な期間だろう。

実績も豊富、開発者も20万人以上いるAR向けプラットフォーム「Vuforia」

 続いてAR向けプラットフォーム「Vuforia」の紹介が行われた。Vuforiaはクアルコムが開発した世界トップクラスのモバイルARライブラリ。昨年11月にPTCが部門ごと買収した。Vuforiaの強みはスマホ、タブレット、スマートグラスをはじめとする多様なモバイル機器に対応できていること。最先端のコンピュータビジョン技術を使用しており、追随性もよい。同じSDKでARとVRの融合を実現している。コンセプトは「AR for IoT」で、すべてのモノを対象としたARの提供を目指しており、PTCではIoTソリューションの一つとして、エンタープライズ向けARアプリ開発ツールを提供する予定だという。

 Vuforiaの特徴は3つある。一つはコンピュータビジョンによる高度なAR機能を実現していること。「2Dイメージはもちろんだが、3Dにオブジェクトも認識・トラッキングできることが強み」と西氏は説明する。既存のARだと、マーカーとしてバーコードやQRコードをトラッキングする場合が多い。これらのマーカーはデザインに乏しく、パターン数に限りがあった。こうした課題を解決するため、PTCでは新たにVuMarkという次世代のマーキング技術の提供を予定している。VuMarkは、大きさ、形状を気にせず自由なマーカーを作成可能だ。「技術的にはできているが、SDKとして展開していくのはこれから、楽しみに待っていてほしい」と西氏は言う。

Vuforiaの強みは3Dオブジェクトも認識・トラッキングできること
Vuforiaの強みは3Dオブジェクトも認識・トラッキングできること

 第二はクロスプラットフォームの実現と優れた安定性の提供である。「スマートフォン、タブレット、VRビューア、スマートグラスなど、さまざまなモバイルデバイスをサポートしている。クアルコム社による徹底した最適化が施されており、どのデバイスでもサクサク動いて最高のAR体験ができる」と西氏は胸を張る。

 現在、VuforiaはUnity上での動作のみだったが、この夏にはWindows版のSDKも提供開始されるという。「Visual StudioでもVuforiaの開発が可能になる。普段慣れている開発環境で使えるようになる。より使い勝手がよくなるはず」(西氏)

 第三は開発者数が急拡大しており、自動車や食品・飲料、家電、エンターテイメントなどの有名グローバル企業・ブランドが利用するなど、豊富な実績があることだ。「現在アプリ公開件数は2万5000件、開発者数はワールドワイドで20万人以上、アプリインストール件数は2億3000万件を突破している」と西氏はVuforiaの浸透度を紹介し、「さらに浸透させていきたい」と意気込みを語った。

 最後にデモを実施。デモアプリをiPadで動かし、サクサクと動く様子を披露した。「設計図をマーカーとして使い、ビデオや音声を埋め込むこともできる」と西氏は説明する。その活用例として紹介されたのが、オーストリアのバイクメーカーKTMのメンテナンスガイド。熟練の作業者でなくてもメンテナンスができるよう、バイクの表面にあるVuMarkを認識すると、修理すべき箇所がハイライトされ、動画が表示されるので、その手順に従い作業を行えるというようなARを利用したメンテナンスガイドを開発したのである。詳しくはビデオが公開されているので参照してほしい。「エンタープライズの世界でもAR技術は貢献できる」と西氏は語る。

Vuforiaのデモを披露する西氏
Vuforiaのデモを披露する西氏

 Vuforiaも簡単に始めることができる。デベロッパー向けポータルサイトにアクセスすれば、最新のSDKと無料サンプル入手できる。最後に西氏は「日本語のユーザーガイドも提供すべく、今、取り組んでいる。気軽に体験してほしい」と語り、セッションを終えた。

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著者プロフィール

  • CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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