技術に置いていかれる怖さが本質的なモチベーション
ゆうこ 日高さんは他に、DroidKaigiや技術書典というイベントもされていますが、それぞれについてご紹介いただけますか。
日高 DroidKaigiはAndroidの開発者向けのカンファレンスなんですが、今年は3月9日、10日の2日間で開催します。エンジニアが新しい技術の情報を知るには流れが速すぎるという課題があり、技術共有を目的にしてのがDroidKaigiです。
技術書典はもう少しスコープが広く、Androidだけではなく本をテーマにイベントをしています。初回である前回(2016年6月)に引き続き、次回は4月9日に秋葉原のUDXでやるんですけども、そこでは本を頒布するという形で、いろんな技術の普及をしたい人、頒布したい人が集まる場です。こちらは来る人もやる人も幅広いところが特徴です。
かまぷ 技術書典は行列ができてましたよね。
日高 前回やばかったですね、あれは。
ゆうこ サークル数も倍増ですか?
日高 確か前回が50ちょっとだったので、今回は150を超えてきてるので、ほぼ3倍です。前回入れなかった人が今回は入れそうだということで、期待されていてうれしいですね。
ゆうこ かまたさん前回行ったんでしたっけ?
かまぷ 行こうかなと思ったんだけど、Twitterの書き込みに大勢押し寄せて入れませんとあったのでやめておきました。コミケより行きやすいかなと思ったんですけどね。
日高 そうなんです。入れなくなっちゃうのが意外というか、うれしい悲鳴でしたね。
ゆうこ このDroidKaigiと技術書典なんですけど、TechBoosterの活動をしていく中で、使命感と言うか、このようなイベントをやったほうがいいという気持ちになっていったんでしょうか?
日高 危機感というか、技術に置いていかれるのが怖いことが本質的な気持ちなんじゃないかな。エンジニアの世界は、新しいものがすぐ出てきてすぐ広まって、また次の新しいものが出てくるというサイクルが年々速くなってるんです。そういう状況を、人の力、コミュニティの力でなんとかしたいと思ったのが最初のターニングポイントだったと思いますね。今だとIT勉強会がたくさんあるじゃないですか。あの延長線で僕は捉えてました。
かまぷ 本をつくることが仲間作りでもあるんですね。
日高 そうですね。勉強会があるし、カンファレンスがあってもいいだろうし、勉強会はそのときに参加したら終わるんですけど、本は残るので、まとまった知識としていいなと思っています。それらを組み合わせて、技術書典が出来上がっていますね。
かまぷ 高橋(征義)さんと一緒にやられてるんですよね?
日高 そうです。技術書典のほうは達人出版会の高橋さんと一緒にさせてもらってますね。業界の慣習とか僕は疎いところもあるので、教えてもらってます。あと僕が自由にやっちゃってるところもあるんですが(笑)。うまくサポートしてもらってます。
ゆうこ 技術書典と、コミケの技術本エリアは雰囲気が違ったりするんですか?
日高 今出してくれてるサークルさんがやっぱりコミケとかをベースに活動されてた人が多いので、わりと今の段階だと似通ってるんじゃないかな。コミケだと規模がでかいので、来にくいというのも一つの声だし、本の種類が多すぎる。そこの部分を技術書典では来やすく、見つけやすくしたいなというのもあります。
ゆうこ なんとかオンリーイベントみたいな感じ?
日高 そんな感じですね。技術書オンリーみたいな。アニメとかはあったんですけど、技術書だけはなかったというのもありますよね。
日高さんはふだんはどんなエンジニアさん?
ゆうこ 日高さんは、普段はどういうテクノロジーに触れていらっしゃるんでしょうか?
日高 基本Androidがベースなんですけども。それだけではなくて、モバイルが必要であればJavaScriptを触ったり、研究開発で必要な要素に合わせて使うものを変えたり。直近ではC#を触っているので、あんまり技術的なジャンルにとらわれず、広く触るように努力しています。
ゆうこ ずっとAndroidアプリの開発やられているんですか?
日高 そうですね。実は以前は組み込み系の会社にいたので。下から上まで本当に全部触ってたという感じです。最近はAndroidプラットフォームについて調べたり、アプリをつくったりというのが多かったりしますね。
ゆうこ TechBoosterを始める前に参加されたりとか、影響を受けたコミュニティって何かあったりするんですか?
日高 影響されてないと思います。僕があれが楽しそうだから、これやりたいです、って言ったら誰かが聞いてくれている。
かまぷ それはツイッターとかですか? それとも実際にごはん食べてるときとか?
日高 とかチャットとかで。ハードウェアつくりたいんだよねって急に言い出して、冬コミでゲーム機を出したりとか(笑)。
かまぷ 巻き込み力が半端ない。
ゆうこ そうですね。その企画の発案力と、推進していく力がすごく高いなと。
かまぷ 絶対形にするからじゃない?
日高 そうかもしれないです。でも周りの人はたぶん引かれてると思いますよ。急に来たダンプかトラックにがががっと轢かれていく様子を想像すると。
かまぷ たぶんそういう人たちは轢かれたいから(笑)。
日高 うんうんと言ってくれればいいんですが(笑)。