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かまぷとゆうこのデベロッパーズ☆ラジオ

技術書なのにコミケで壁サークル!? 技術系同人誌の本とイベントの作り方――TechBooster mhidakaさん

かまぷとゆうこのデベロッパーズ☆ラジオ #6 TechBooster mhidakaさん

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TechBoosterの本作りは商業出版と真逆のアプローチ

ゆうこ TechBoosterは、最初はAndroidの情報発信をされていましたが、今ではWeb開発ですとか、ちょっとびっくりしたんですけど、2016年冬コミの新刊でDDD(Domain Driven Design:ドメイン駆動設計)の本も出てまして、扱っている技術としてはどこからどこまでなんでしょうか?

日高 Androidから始まったので、基本Android系の話が多いんですが、今はそれにとどまらず、モバイルやWebなど、技術革新が速く、みんなが興味があって熱いなと思っている分野を扱うようにしています。

ゆうこ アップデートが速かったりするので、普通の書籍だとなかなか手を出しづらいところなのかもしれません。

日高 そうですね。やっぱり同人誌でやろうと思ったのはそういうことがきっかけでした。本屋さんの本では、AndroidやiOS、Webは古くなって困ってたので、自分たちで調べて、鮮度のいい情報を出したかった。

ゆうこ 昔から、表紙がすごくかわいいし、けっこうなボリュームがある感じで、それを初期からやられているのはすごいなと思ったんですけど、何かお手本があるのでしょうか?

日高 ほとんど手探りですね。もちろん以前に商業出版で執筆していたので、大体のフローは知っていたつもりなんですが。

かまぷ 商業出版やられてたんですか?

日高 著者としてです。出版にあたり、編集の方にご苦労をかけながら、二人三脚で何冊か出させてもらってたんです。その経験があったので、基本は知っていました。TechBoosterの本では自由な雰囲気にしたかったので、表紙を頑張ったり、コンセプトをつくったりしています。ページ数も、100ページをちょっと超えるぐらいに設定してあるんです。これだけあると、好きな技術も見つけてもらえるし、書いてる内容の一つがわかんなくても他の内容をわかってくれたりするというのがあるので、なるべく最新の情報で読んでほしいと思っているものを五つか六つ集めてパッケージにするっていう。ただ、このドメイン駆動設計の本(『わかる!ドメイン駆動設計』)に関しては、本当に設計手法しか扱っていないので苦労しました(笑)。

かまぷ 持ち歩けそうなサイズで良いですね。

日高 A5判を初めてつくったんですが、かわいい感じに仕上げてます。結城先生の「数学ガール」的な物語も入れてみようということで、挿絵も入れて、もちこちゃんという主人公が、エンジニアとしていろんな課題にあたっていくのをうまく解決する物語にしている。この本は特殊で、初めての試みです。

『わかる!ドメイン駆動設計 ~もちこちゃんの大冒険~』のもちこちゃん
『わかる!ドメイン駆動設計 ~もちこちゃんの大冒険~』のもちこちゃん

ゆうこ 本のテーマと、それぞれの著者さんが書くテーマはどんな感じで決めているんですか?

日高 いいところを突いてきますね。実は形が決まっていて、Webだと『The Web Explorer』がベースのシリーズとしてあると。Webの最新情報はそれを買っておけばなんとかなるというふうにしています。Androidに関しては毎回バージョンアップがあるので、その最新版に合わせて好きなタイトルを決めています。書きたい内容が実は別にある場合は、テーマに応じたタイトルを別途決めています。『わかる!ドメイン駆動設計』とか。冬コミ新刊の『なないろAndroid』は、実はAndroid 7がテーマなので、なないろの7にしてしまおうかという、遊び心で決めるものが多いですね。

ゆうこ 書き手の方は、そのテーマに合わせて自分が書きたいネタを申告するんですか?

日高 反対ですね。書き手の書きたい内容をまず決めるというルールがあります。執筆作業には、書きたいことを書かないと筆が乗らないっていう致命的な欠点があるので、そこは守っていきたいなと。「この技術超かっこいいんだけど誰か書けない?」と聞くこともあります。そこが一番のベースで、表紙とタイトルは後からついてくるんです。

ゆうこ じゃあ書きたい人を募って原稿を上げてもらった中で、この人はこの本というように振り分けるんですね。商業出版のつくり方と逆ですね。面白いですね。

 コミケの当日ってどれぐらい売れるのかをお聞きしてもいいですか?

日高 いいですよ。1冊当たり300~400部出るのが普通になってきています。搬入は1000冊単位で入れてます。分厚い本なので、1つの段ボールに入る量が少なくて、段ボールが10箱とかになったりするのが非常に腰に来る(笑)。

ゆうこ 書き手の方はどのように集めているんですか?

日高 基本的には書きたい技術ありきで、他に知りたい技術があったら紹介してもらったり、今いるメンバーで回してたりという感じですね。最近だと、オープンソースの開発をしている方(丸山さん)に、ぜひ書いてほしいと依頼してESDocについて書いてもらいました。

ゆうこ スケジュールとしては、コミケが8月と12月にあるとして、どれぐらい前から進めているんですか?

日高 コミケの当落が確か6月と10月かな。なので2か月前から進めてるんですが、企画会議があるので、実質書くのは1か月ぐらい。その間にレビューしたり、初稿出して直したり、いろいろやっていますね。

かまぷ 1人当たり大体10ページぐらいですよね。

日高 短いと10ページ、多くて30ページで、人によっては1冊丸々書いちゃう人がいるので、その場合は泣きながら100ページ書くっていう(笑)。

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この記事の著者

近藤 佑子(編集部)(コンドウ ユウコ)

株式会社翔泳社 CodeZine編集部 編集長、Developers Summit オーガナイザー。1986年岡山県生まれ。京都大学工学部建築学科、東京大学工学系研究科建築学専攻修士課程修了。フリーランスを経て2014年株式会社翔泳社に入社。ソフトウェア開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集・企画・運営に携わる。2018年、副編集長に就任。2017年より、ソフトウェア開発者向けカンファレンス「Developers...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

かまた ひろこ(カマタ ヒロコ)

イベントとお酒と人が好き。TechLION/TechGIRL/Linux女子部界隈で活動。社会人ディベートサークル、JBDF役員。2014年よりSoftwareDesignにて軽酔対談『かまぷの部屋』を連載、2016年2月で終了。(特技:傾聴)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/9960 2017/02/08 14:00

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