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電子書籍を耳で聞く未来~日本点字図書館に訊く商用テキストの音声データ化にまつわる現状と課題

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 ePubなどの電子書籍は、紙の本と違い、デジタルで情報を格納しています。それならば、音声読み上げに向いているのではないか。そう思い、日本点字図書館の電子書籍製作室に、話を聞きに行きました。そして、一筋縄ではいかない壁があることを知りました。

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電子書籍の音声利用

 いつもは『マンガで分かるプログラミング用語辞典』を描いている、クロノス・クラウンの柳井です。1年少し前から、Kindle Fireで読書をするようになりました。また、同人誌の電子書籍化をしたり、出版された小説の電子化を経験したりして、電子書籍自体にも興味を持つようになりました。

 ePubなどの電子書籍は、紙の本と違い、デジタルで情報を格納しています。それならば、音声読み上げに向いているのではないか。そう思い、日本点字図書館の電子書籍製作室に、お話を聞きに行きました。

 なぜ、電子書籍に興味を持った私が、日本点字図書館に行ったのか、少し説明が必要だと思います。私は10年以上小説を書いては、出版社の新人賞などに送っていました。その校正作業を効率化するために、音声ライブラリを使った読み上げソフトを開発したり公開したりしていました。そうしたソフトを公開していると極々まれにですが、視覚障害者の方からメールをいただくことがあります。

 また、視能訓練士をしている大学時代の先輩に誘われて、昨年、鶴見大学であったロービジョン関連の機器展を見学に行きました。なぜ行ったかというと、障害者向けIT機器に興味を持ったからです。そうした経緯もあり、電子書籍について考えた時、「電子書籍の音声利用はどのぐらい進んでいるのだろうか」と、自然に疑問を持ちました。

ロービジョン(low vision)

 視覚に障害があるために、生活に何らかの支障を来している状態。社会的弱視、教育的弱視とも呼ばれる。

 最近は「Google Home」や「Amazon Echo」など、音声UIが流行り始めています。本も音声で聞くケースが増えるのではないか。視覚に頼ることができない人は、そうした音声利用が進んでいるのではないか。そう考えたわけです。

 そこで先輩に質問したところ、日本点字図書館にアクセスすることを提案され、質問のメールを送りました。そして、その縁で取材に行きました。実際に取材してみて、電子書籍の音声利用は、一筋縄ではいかない壁があることを知りました。

日本点字図書館に行ってみた

 日本点字図書館と、さらりと書きましたが、知らない人も多いと思います。私も、去年まで存在を知りませんでした。東京の高田馬場駅から徒歩5分ほどの場所にあります。高田馬場駅を出ると、白杖の人と3人すれ違いました。この場所に、日本点字図書館があると知っていると、なるほどと頷けます。

 名前のとおり、元々は"点字"の図書館でしたが、現在は、点字図書1に対して、録音図書の利用が14~15ということで、音声を中心とした図書館になっています。歴史については、こちらにまとまっています。

 取材を受けてくださったのは、録音製作課 電子書籍製作室 澤村潤一郎さんです。大学時代は文学部に在籍して西洋史を勉強していたそうです。卒論は、アメリカ シカゴの社会事業家について。読書に関わる仕事であり、研究した分野に近いということもあり、日本点字図書館に入ったそうです。

 就職した当初は、点字の部署に所属。しかし、2009年に録音の部署に異動。その後、2010年ごろの電子書籍の盛り上がりに合わせて電子書籍の部署ができ、そちらの担当になりました。取材の依頼の際、1時間ということでお時間をいただいたのですが、最終的に2時間お話をうかがいました。

澤村潤一郎さん

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目で見るか、耳で聞くか

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この記事の著者

柳井 政和(ヤナイ マサカズ)

クロノス・クラウン合同会社 代表社員http://crocro.com/オンラインソフトを多数公開。プログラムを書いたり、ゲームを作ったり、記事を執筆したり、マンガを描いたり、小説を書いたりしています。「めもりーくりーなー」でオンラインソフト大賞に入賞。最近は、小説家デビューして小説も書いています(『裏切りのプログラム』他)。面白いことなら何でもOKのさすらいの企画屋です。 

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/10663 2018/02/09 14:00

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