GitHub Enterpriseの機能拡張も進む
200万を超える組織がGitHub Enterpriseを導入しているが、大きな組織において、社内でオープンソースをどのように利用し、どれほど安全な環境で利用しているのか、どういったプロジェクトで活用しているのか、といった状況を把握するのは非常に難しい。
そこでGitHubは、Enterprise版において、こうした問題を解決する機能を4つ提供する(参考:公式Blog)。
エンタープライズアカウント
エンタープライズアカウントは、会社の中にある全てのオーガナイゼーションをグループ化することができる、新しいアカウントタイプ。これによって、オープンソースの開発手法を企業内開発で採用する「インナーソース」のワークフローを構築できる。企業は社内のチームのニーズをしっかり管理することができるようになる。
インターナル・リポジトリ
これまで、社内のコードリポジトリの形式には、プライベートかパブリックの2パターンしかなかった。今回リリースしたインターナル・リポジトリは、Enterpriseのユーザーが、外の世界とのつながりを保ちつつ、自社の開発者のみが閲覧できるリポジトリ内で情報共有ができる仕組みになっている。
よりよい開発のためにはデザイナーやテクニカルライター、その他多くの人との協力が不可欠だが、インターナル・リポジトリを使うことで、関係者と広く共有できる。
新たなロールとパーミッション
これまではReadとWrite、Adminの3つの権限しかなく、権限ごとの格差が大きかった。今回、エンタープライズ企業にはこれらの中間的なアクセス権が必要というニーズに対応して、「Triage」と「Maintain」の権限を新たに作成した。
Triageの権限を与えられたユーザーは、Whiteの権限がなくても、トリアージやユーザーの管理などに対応できる。またMaintainは、Adminとほぼ同等の権限が与えられるが、リポジトリを削除するなどの危険な作業は行えないよう制限されている。
オーガナイゼーション・インサイト
オーガナイゼーション・インサイトを利用することで、どういったワークフローに最も時間を割いているのか、何のプログラミング言語を利用して開発しているのかといった情報など、社内のエコシステムの変化を把握できるようになる。
この新機能はリリースしたばかりで今後も拡張していく予定だが、「最終的には開発のライフサイクルのダッシュボードを提供したい」とツェーゲル氏は目標を語った。
GitHub SponsorsでOSS貢献の新しいスタイルを提案
「GitHub Sponsors」は、GitHub Satelliteでベータ版が発表されたばかりだが、すでにかなりの注目を浴びている新機能だ。この機能は、オープンソースの開発者に誰でも資金援助ができるというもの。
この機能開発のきっかけについて、「コードを書くこと以外での貢献の仕方を提案したかった」とツェーゲル氏。スポンサーとして支援するための流れは以下の通りだ。
GitHub Sponsor利用フロー
この開発者をスポンサーしたいと思ったら、GitHubのプロフィールページに行き、プロフィール写真の下にある「Suponsor」ボタンを押す。
Sponsorボタンを押すと、その開発者のSuponsorページに飛ぶ。ここでは、開発者がどういった活動をしているのか説明されている。
スポンサーされる側から見ると、スポンサーのプロフィール上に、「Your sponsor」のマークが確認できる。
Sponsors Matching Fund
これに関連して「Sponsors Matching Fund」の仕組みも開始した。これは、GitHub Sponsorsの制度を採用した初年度に適用される仕組みで、スポンサーからサポートを受けた金額と同じ金額分、GitHubもサポートするという仕組み。
つまり、例えばスポンサーから毎月10ドルの支援を受けると、GitHubも同じく10ドルサポート、つまり毎月計20ドルもらえることになる。
これらの仕組みによって、新たに財政的な面でもオープンソースの開発者たちをサポートできるようになったGitHub。現在はまだ小さくシンプルなサービスだが、目標は大きい。ツェーゲル氏は「これによってオープンソースコミュニティへの参加者を増やし、さらに大きく拡大していくことを目指している」と語った。