アルバイトでの経験と技術的な関心がマッチして入社を決意
和田:ここまでは、急速に成長するピクスタで、開発チームがたどってきた軌跡を、主にマネジメント面に取り組まれている星さんの紆余曲折を軸に伺いました。ここからは、現在、テクニカルリード的な立場にある後藤さんに、サービス開発や改善をどのように進めていくかといった視点でお話しを聞かせていただければと思います。
後藤さんはもともと、アルバイトだったんですよね。「バリバリとコードがかける優秀なアルバイト」というイメージがあったのですが、どういう経緯でピクスタに来たのでしょう。
後藤:大学院生になったばかりの2013年4月から、ピクスタでアルバイトを始めました。大学にアルバイトの紹介システムがあったのですが、Ruby on Railsを使えるアルバイトはないかと検索したら、そのトップに出てきたのがたまたまピクスタだったんです(笑)。
和田:それまで、プログラミングの経験はあったのですか。
後藤:大学では経営工学を専攻していて、実験用のコードなどは書いていましたが、コンピューターサイエンスを本格的に勉強したことはありませんでした。その延長線上で、Webアプリなども書いてみたいと思っていて、そういうことができそうな会社でのアルバイトを探した感じです。
和田:アルバイト時代は、週何日くらい来ていたのですか。
後藤:休みでない時期は、週に2、3日くらいでした。前回、星が「和田さんとのペアプロで鍛えられた」と話していましたが、実は僕も同じなんですよ。2014年の春休みに、ピクスタでAPI実装の少し大きめなプロジェクトに関わったのですが、そのときは和田さんとガッツリとペアプロをした経験が、技術面でステップを上がるためのブレークスルーになったと思っています。
和田:あのときは、最長で1日に8時間くらいペアプロしましたよね。たしか、後藤さんのときには、設計の過程を考えつつコードを書くように言ったと思います。エンジニアって、ついつい「どう作るか」という視点で設計しがちになりますが、それを利用者の視点から「使うときに、どうなっていたらうれしいか」を考えるようにしようと。その道筋をRubyのメタプログラムでつけていくということをやりましたね。
その後、社員になったわけですが、どのように考えての決定だったのでしょう。
後藤:実は、2014年の春にはすでに別の会社に内定が出ていたんです。そこがいわゆるメガベンチャーで、入社したとしても、配属によっては自分のやりたいことができるかどうか分からない状況でした。
ちょうどそのころ、ピクスタで技術基盤やサービスインフラに関わる部署を新しく作るという話がありました。加えて、お世話になっていた優秀なリードエンジニアの方に憧れがあったことなどもあり、入社直前で内定を辞退して、ピクスタへの入社を決めました。個人的にも、技術的な関心が、アプリケーションから少し下のインフラやプラットフォームのレイヤに移っていたこともあって、よいタイミングだったんです。
和田:ちょうど、ピクスタがサービスを増やしていく中で、基盤部分を統合し、横断的に管理できるようにしていこうと動き始めた時期でしたね。
和田卓人(わだ・たくと)氏
タワーズ・クエスト取締役社長。日本におけるテスト駆動開発(TDD)の第一人者でありスペシャリスト。学生時代からオブジェクト指向分析、設計を手がけ、2000年ごろにXP(エクストリーム・プログラミング)に出会う。その後、現在まで20年近くにわたり、TDDのエバンジェリストとして活動を続けている。ピクスタには、2013年よりTDDのコンサルティング的な立場で関わっており、同社の技術集団としての成長を間近で見てきた。2019年より技術顧問に就任。