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DeveloperZine(デベロッパージン)- エンジニアの意思決定を支える技術情報メディア ProductZine

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キーパーソンインタビュー

プロダクトづくりのあるべき姿とは? 新メディア「ProductZine」創刊に寄せて、市谷聡啓氏&新井剛氏インタビュー


「プロダクトオーナーの民主化」でチームの分断を埋めていく

 もうひとつ市谷氏が提唱しているのが「プロダクトオーナーの民主化」。これは、従来ひとりが担うとされていたプロダクトオーナーの役割を複数のメンバーで分担するもの。例えば、ビジネスモデルはプロダクトオーナーが担当するが、UIに関してはその分野に詳しいデザイナーがプロダクトオーナーの代行を担当するといった考え方だ。

 市谷氏は「これは経験に基づくものですが、仮説〜検証という手法をプロダクトオーナーだけが推進していくと、開発チームとの分断が起きてしまうことが多いです。そういった状況では開発もうまくいかないし、スピードも出ません。そこで『プロダクトオーナーの民主化』という領域に踏み込みました。プロダクトオーナーの役割を解体して、チームの中で分担して共に創っていく考えを浸透させるものです。スクラムの本来の概念から外れてしまうものの、たとえ分担したとしても、仮説検証がチーム共通理解の軸となるので、プロダクトの基準がチーム内に定着します」と、独自のアイデアでアジャイル開発を機能させる手法を解説した。

 2018年後半〜2019年3月の間、市谷氏は経済産業省の助成金・補助金などの情報サイトのリニューアルプロジェクトにプロダクトオーナーの代行として関わった。

 「大企業や政府に勤務される方々がIT関連プロダクトをつくる場合、プロダクトオーナーを誰にするか難しいと思います。たいていの場合、エンジニアリングがわかっていて、開発チームとコミュニケーションできる人材が少ないからです。そこで、プロダクトオーナーと開発メンバーとの間を埋める、『プロダクトオーナー代行』のような人が必要と感じます。システム開発がわかる人が向いていると思いますし、私自身そういった役割の人たちを増やしていきたいです」と市谷氏。

個人の得意分野を伸ばし、役割を越えていくチーム作りを推進

 とはいえ企業などの組織内部では、やるべき業務が固定されていることが多い。しかし市谷氏は「プログラマーはプログラムを担当、デザイナーはデザインを担当と役割が固定されていると、担当領域が狭くなってしまい、チーム分断の原因となります」と指摘。

 その中でも、若いエンジニアは役割を越えやすい傾向にあるという。「私がいい傾向のひとつと感じているのが、最近の若いエンジニアが役割にとらわれていないことです。仮説検証プロダクトマネジメントをしていると、若い人ほど組織に染まらず、開発担当であっても、検証やデザインなどについても興味を持ち、平気で役割を越えられます」と、若いエンジニアのポジティブな面を語った。

 さらに新井氏は、組織の部門や課は、役職者を基準につくられたものではなく、プロダクトやサービスのためにできたはずであるとし「もともと『この商品を世に出したい』という思いがあるはずなので、それをベースに仕事を考えるべきです。組織内の部署の区切りは考えずに、いっしょにものづくりをする集まりとして考えるのです。個人はそれぞれ得意なことがあるので、職種の軸足はそのままでも、皆が一体になってものづくりを進める体制が望ましいです。チームを円滑にするために、スクラムマスターのような、組織全体をメンテナンスする立場のエンジニアがいるといいでしょう」と付け加えた。

 役割を越えるといっても、嫌々やるのではなく、個人の好きな分野を伸ばしていく方向が望ましい。新井氏はさらに「得意分野を気づかせるために言語化していくことも大切です。対話でのフィードバックやワークショップなどのイベントを行って『この人はどういったことが好きなのか』といったことを言語化して気づきを与えるといいでしょう。組織としては、開発、企画、営業という細かな領域ではなく、横断した業務を担える組織を構築するとよい人が集まってきます。小さな成功体験を重ねていき、どんどん他の部署を巻き込んで浸透させていくのです」と語った。

 最後にProductZineについて市谷氏は「これまでなかったメディアなので、非常に期待しています。プロダクトマネージャーにフォーカスするメディアですが、プロダクトマネージャーの役割を万能にしたくはないという思いがあります。あくまでも『ものづくり(プロダクトづくり)』にフォーカスし、わかりやすい役割の説明や手法の投げかけができるといいと思っています」と展望を語った。

ProductZineとは?

 「プロダクト開発」にフォーカスしたメディア「ProductZine」を、ソフトウェア開発者向けのオンラインメディア「CodeZine」の中に立ち上げます。

 近年の市場やテクノロジーの変化は激しく、それに伴ってプロダクトやサービスの開発スピードも加速する必要に迫られています。つまり、「プロダクト開発」の重要性が高まっています。一方で、リーン・スタートアップやアジャイル開発といった「手法」は出てきたものの、それをどれだけの企業が取り入れ実践し、結果を出せているでしょうか。

 ProductZineでは、プロダクトマネージャー(PdM)やPdMを目指す方をはじめ、チームメンバーや事業責任者、テックリードなど、プロダクト開発を「正しく」進めていきたいすべての人のために、プロダクトマネジメントに関するあらゆる知見をお届けします。

 なお、企画にあたっては、より現場目線での情報を提供するために、仮説検証とアジャイル開発の運営について経験が厚いギルドワークスの市谷聡啓(いちたに・としひろ)氏をチーフキュレーターに迎えます。また、独自の取材を行うことで、現場に寄り添い、フラットな視点での情報提供を目指します。

 ※2020年6月本オープン予定。

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この記事の著者

森 英信(モリ ヒデノブ)

就職情報誌やMac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務やWebシステム開発事業を展開する会社・アンジーを創業。編集プロダクション業務においては、IT・HR関連の事例取材に加え、英語での海外スタートアップ取材などを手がける。独自開発のAI文字起こし・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

斉木 崇(編集部)(サイキ タカシ)

株式会社翔泳社 ProductZine編集長。1978年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科(建築学専門分野)を卒業後、IT入門書系の出版社を経て、2005年に翔泳社へ入社。ソフトウェア開発専門のオンラインメディア「CodeZine(コードジン)」の企画・運営を2005年6月の正式オープン以来担当し、2011年4月から2020年5月までCodeZine編集長を務めた。教育関係メディアの「EdTechZine(エドテックジン)」...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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