素早く・大きな価値創造を目指して、企業変革を推進する
小久保氏からバトンを渡される形で登壇したのは、Insight EdgeのDevelopment team leader / Lead Engineerである猪子氏だ。
猪子氏は、Insight Edgeが住友商事グループにおいて担ってきた業務を踏まえ、内製エンジニアに求められる役割について下図を用いて解説していった。
「内製エンジニアには『共有』『相談』『実現』『蓄積』という役割が求められます。『共有』とは、案件の事例やソリューション、技術パートナーの情報共有などを行うこと。そして、そうした行動によって自分たちの組織プレゼンスを上げていくことを意味します。『実現』とは案件の実現を意味しており、システム構築やデータ分析などを行い、プロジェクトの成果を上げていくことです。
これら2つの要素をつなぐものとして『相談』と『蓄積』が必要になります。共有を行った後に相談をすることで実現に結びつきますし、案件を実現した後は知見・ノウハウを蓄積していくことが大切です。これらのサイクルをいかに高速かつ並列化して回せるか、そして大きな価値創造につなげられるかが重要になります」(猪子氏)
Insight Edgeのエンジニアは、どのような施策を行うことで「共有」「相談」「実現」「蓄積」のサイクルを回しているのだろうか。猪子氏は、サイクルの起点である「共有」から解説していく。前提として、まずはInsight Edgeの存在を住友商事グループ内に認知させる必要がある。そこで同社では、各種のタッチポイントを適切に使い分け、各事業部のステークホルダーにアプローチをしている。
だが認知してもらうだけでは、なかなか活用には至らない。Insight Edgeの活用を検討してもらうため、各業界や各サービスには一般的にどのような課題があり、Insight Edgeがどういった価値を提供できるのかを情報整理した上で、各事業部に説明しているという。
こうした情報提供が結実し「相談」に至ったならば、次は「実現」だ。プロジェクトを実現するためには適切な計画が肝要である。計画を円滑に進めるため、Insight Edgeでは事業の構造化やデータ分析、新規事業といった案件の種別ごとに、検討を進める上でのテンプレートとなるような資料を用意しており、その内容に沿って各事業部と議論を進めている。また、案件の特性に応じて開発体制や開発プロセスそのものも柔軟に変更させていく。
「実現」の後は「蓄積」だ。この段階では、DX案件で実施した施策の振り返りや事例のまとめを行うだけではなく、DX案件外の知識も勉強会やアイデアソンなどによって共有することで、開発組織全体の技術レベルを向上させている。
また、Insight Edgeでは各プロジェクトのKPIとして「貢献額」を定めている。貢献額とは、各案件によって創出される期待利益と、システム開発やデータ分析を外部ベンダーに発注した場合と比べて外注コストをどれほど削減できたかを示す指標だ。さらにサブKPIとして、案件相談数と案件のデリバリ数も各チーム単位で計測しているという。
「今後はこのサイクルをさらに改善していきます。将来的には、Insight Edgeが各事業部のCTO的な役割を担って課題を探索し、スピード感を持って解決していく状態を目指しております。組織や事業モデルをRe-designしてDXを加速させていくことが、私たちの目指す姿です」(猪子氏)