Eclipseの起動とワークスペース
Eclipseをインストールできたところで(といっても解凍しただけ)、早速起動してみましょう。
Eclipseの起動
Eclipseを起動するには、Eclipse本体をダブルクリックするだけです。Eclipse本体は、macOSではアプリケーションフォルダに格納したEclipse_2020-06.appファイルです。Windowsでは、
解凍したpleiadesフォルダ > eclipseフォルダ > eclipse.exe
です。macOSの場合は、Launchpadやアプリケーションフォルダからすぐに本体を見つけられますが、Windowsの場合は、いちいち上記フォルダを開かないといけないので、スタートメニューなどに登録しておいたほうが便利です。
ワークスペースとは
Eclipseが起動すると、起動途中に図5のランチャー画面が表示されます。
これは、ワークスペースの選択画面です。Eclipseでは、1つのシステムやアプリケーションを「プロジェクト」という単位で管理します。プロジェクトは、そのシステムやアプリケーション開発に必要なファイル類を適切な構成でまとめ、1つのフォルダに格納したものです。
さらに、そのようなプロジェクトを複数まとめて入れておくフォルダをEclipseでは「ワークスペース」と呼んでいます。ワークスペースは確かに複数プロジェクトをまとめておくフォルダではあるのですが、そのフォルダ内にはそのワークスペースに関する設定ファイル類も格納されています。そのため、Eclipseではワークスペースを切り替えることで、Eclipseの挙動も切り替えることができます。
デフォルトのワークスペースを選択してはダメ
Eclipseを起動すると、特に設定を変更していなければ、どのワークスペースを利用するのかをまずたずねてきます。それが図5のランチャー画面です。このランチャー画面には、Mac版でもWindows版でもデフォルトで「../workspace」が記述されていますが、このまま起動してはダメです。「../workspace」が示すフォルダは、Windows版では解凍したpleiadesフォルダ内にワークスペースフォルダとしてworkspaceが作られることを意味します。もしCドライブ直下にpleiadesフォルダを解凍したのならば、プロジェクトの内容が他のユーザにも見られてしまうことになります。Mac版ではさらに自体は悪く、Eclipse_2020-06.app内(注1)にworkspaceフォルダが作られてしまうことになります。
注1:macOSの.appファイルは、実は1つのフォルダであり、中身を展開して見ることができます。
そこで、例えば次のフォルダのようにユーザホーム内の適切なフォルダをワークスペースフォルダとして指定するようにしてください。
/Users/shinzo/Workdir/CodeZineEclipse
適切なフォルダを指定した後、[起動]をクリックするとEclipseが起動します。なお、図5のランチャー画面に見える「この選択をデフォルトとして使用し、…」のチェックボックスにチェックを入れて起動すると、次回起動以降はこのランチャー画面は表示されなくなります(注2)。常に同じワークスペースを使用するならばチェックを入れて起動してもいいですが、ワークスペースを切り替えることが多いならば、チェックを入れないほうがいいでしょう。
注2:もちろん設定で元に戻せます。
パースペクティブとビュー
Eclipseが起動した次は、Eclipseの画面構成の話です。
ビューの組み合わせであるパースペクティブ
Eclipseが無事起動すると、図6の画面が表示されます。
[パッケージ・エクスプローラー]や[ランナー][問題]などのタブが表示されている左半分と、白紙の右半分とに分かれています。この右半分は「エディタ領域」と呼ばれ、編集しようとするファイルを開くとその内容が表示されます。
[パッケージ・エクスプローラー]など、タブに表示されているものは「ビュー」と呼ばれます。ビューにはさまざまなものが用意されており、さらにプラグインを追加すると、そのプラグイン特有のビューが追加されることもあります。また、ビューは閉じたり、追加したり、表示位置を変更できます。その方法については後述します。
これらビューの組み合わせと配置を「パースペクティブ」と呼んでおり、これから作成するプロジェクトに応じて適切なパースペクティブを選択することが、作業効率をアップさせるコツです。現在選択されているパースペクティブは、ウィンドウ右上の、の部分で確認できます。初回起動時に選択されているパースペクティブは「Java(デフォルト)」と呼ばれるパースペクティブです。他のパースペクティブを選択するには、同じくウィンドウ右上の、ボタンをクリックするか、[ウィンドウ]メニューから
[パースペクティブ]>[パースペクティブを開く]>[その他]
を選択します。すると、図7のダイアログが表示されます。
このダイアログにリスト表示されているひとつひとつがパースペクティブであり、見ての通りさまざまあります。このうちJava開発用のパースペクティブには、[Java]と[Java(デフォルト)]の2種あります。どちらを選択するかは開発者の好みです。先述のように、初期表示は[Java(デフォルト)]のほうですが、筆者はデフォルトではないほうの[Java]を普段利用しています。そのため、本連載では基本は[Java]を利用し、必要に応じて他のパースペクティブに切り替えて解説していくことにします。[Java]パースペクティブを選択して、[開く]をクリックすると、図8の画面になります。
パースペクティブを閉じる
図8の画面はJavaパースペクティブが開いた画面ですが、実はもともと開いていたJava(デフォルト)パースペクティブも開いたままとなっています。それは右上の、の部分を見るとわかります。パースペクティブは、一度開くと開きっぱなしとなってしまいます。不要なパースペクティブは閉じておいたほうがいいでしょう。パースペクティブを閉じるには、右上のパースペクティブのアイコンを右クリックし、表示されたメニューから[閉じる]を選択するか、閉じる対象のパースペクティブに切り替えた上で、[ウィンドウ]メニューから
[パースペクティブ]>[パースペクティブを閉じる]
を選択します。
ビューを閉じたり表示させたりする
Javaパースペクティブは、Java(デフォルト)パースペクティブに比べて、表示されているビューが多いです。このうち、あまり利用しないビューを閉じましょう。まず、右上にある[タスク・リスト]ビューを閉じます。ビューを閉じるには、タブの右側の×をクリックするだけです。すると、図9の画面になります。
もしもう一度[タスク・リスト]ビューを表示させたい場合は、[ウィンドウ]メニューから[ビューの表示]を選択してください。図10のメニューが表示されるので、そこから[タスク・リスト]ビューを選択すれば再度ビューが表示されます。
この方法は[タスク・リスト]ビューに限らず、他のビューでも有効です。表示させたいビューを、同じく[ビューの表示]メニューで選択しますが、このメニューにリスト表示されているものはよく使うものに限定されています。このリストに表示されていないものは、[その他]を選択することで表示される図11のダイアログから表示させることができます。
ビューの配置換え
表示されているビューは、その表示位置を変更できます。その場合は、ビューのタブをドラッグします。ドラッグ中は、どこにそのビューを表示させるかの枠が表示されます。図12は、試しに[ランナー]ビューのタブをアウトラインビューの上にドラッグしている途中の画面です。
目的のところでドロップすれば移動が完了します。図13はアウトラインビューの下半分のところにドロップした結果の画面です。
また、ドラッグ先を既存のビューのタブの横にすることで、ビューをグループ化してタブを並べることもできます。図14は同じくランナービューを宣言ビュータブの横ドロップした場合の画面です。