AWSとAWS Toolkit for Eclipseの利用準備
Eclipseを紹介してきた本連載も、いよいよ最終回です。その最終回は、EclipseからAWS(Amazon Web Services)に接続できるプラグインであるAWS Toolkit for Eclipseを紹介します。AWS Toolkit for Eclipseを使って、JavaのWebアプリケーションを作成し、最終的にAWS上で実行させます。
なお、本稿では、AWSとは何かなどの概論に関しては割愛するので、あらかじめご了承ください。
AWSアカウントキーの用意
AWS Toolkit for Eclipseは、AWSに接続するプラグインなので、AWSのアカウントにEclipseがアクセスするためのアクセスキーをプラグインに設定する必要があります。その取得から始めましょう。なお、アクセスキーを取得済みの場合は、それを利用してもかまいません。その場合は、以下の作業は不要です。
AWSコンソールにサインインしてください。AWSアカウントを持っていない場合は、こちらを参考に、アカウントを作成してください。コンソールが表示されたら、右上の名前が表示されている部分をクリックすると、図1のドロップダウンメニューが表示されます。
表示されたメニューから[マイセキュリティ資格情報]を選択してください。すると、セキュリティ認証情報画面が表示されるので、アコーディオンメニューの[アクセスキー(アクセスキーIDとシークレットアクセスキー)]をクリックして広げてください。図2の画面が表示されます。
表示された[新しいアクセスキーの作成]ボタンをクリックします。すると、図3のアクセスキーが作成されたこと知らせるダイアログが表示されます。
このダイアログ中の[アクセスキーを表示]リンクをクリックして、表示されたアクセスキーをどこかにコピー&ペーストして保存しておいてください。あるいは、[キーファイルのダウンロード]をクリックして、キーが記載されたファイルをダウンロードしてもかまいません。なお、図3のダイアログに記載のある通り、このダイアログを閉じると、二度とアクセスキーの正確な値を取得できませんので、必ずデータを保存するようにしておいてください。
IAMユーザー
ここで作成したアクセスキーは、AWSのアカウントのアクセスキーであり、無制限の権限が与えられた、いわばルートユーザのアクセスキーとなります。このルートユーザでのアクセスは危険な状態となりうるため、AWSでは推奨されていません。
ここでは、入門者向けの解説のため、話を簡単にするためにルートユーザのアクセスキーを利用しますが、本来ならば、権限を制限した専用のアクセスユーザを作成し、そのユーザのアクセスキーを利用することが推奨されています。この制限されたユーザを、AWSでは、IAM(Identity and Access Management)ユーザと呼んでいます。詳細は、こちらの公式ドキュメントを参照してください。
AWS Toolkit for Eclipseのインストール
次に、AWS Toolkit for Eclipseプラグインをインストールします。これは、Eclipseマーケットプレースからインストールできるので、第5回で紹介した方法を参考に、インストールしてください。Eclipseの[ヘルプ]メニューから[Eclipseマーケットプレース]を選択して表示された画面の検索窓に「AWS」と入力すれば、すぐにインストールできます。
無事インストールが終了し、Eclipseを再起動すると、図4のEclipse AWSツールキットへようこそ画面が表示されるので、そこに前項で取得したアクセスキーIDと秘密アクセスキーをコピー&ペーストして[完了]をクリックしてください。
すると、起動したEclipseの画面が図5のようになります。
画面下部にAWSエクスプローラービューが表示されているのが分かります。このビューの使い方は後述します。また、ツールバーにアイコンが増えています。次節以降、このアイコンから表示されるメニューを利用していきます。
次節以降の流れ
では、その次節以降、どのような手順で作業を行っていくのかについて概観しておきます。これは、以下の通りです。
1. AWS Java Webプロジェクトの作成
AWSで動作するのに最適な形のJava Webプロジェクトとして、firstawsjavaを作成します。
2. firstawsjavaのローカルでの動作確認
作成したfirstawsjavaプロジェクトを、まずローカル環境で動作確認します。
3. Elastic Beanstalkアプリケーションの作成
作成したfirstawsjavaを動作させる環境としてAWSのElastic Beanstalkを作成し、同時にデプロイします。
4. AWSでの稼働確認
AWSで実行されたfirstawsjavaの動作確認を行い、Eclipse上から稼働状況を確認します。
ここで、Elastic Beanstalkについて軽く補足しておきます。
AWSでWebアプリケーションを公開する場合、その中心となるサービスは、仮想サーバにあたるEC2です。本来ならば、EC2を起動して、そこにTomcatなどの必要な環境を構築し、さらに、場合によっては、データの保存領域であるS3やデータベースサービスであるRDS、ロードバランサのサービスであるElastic Load Balancingなどと組み合わせる必要があります。
これらの組み合わせや環境構築を、アプリケーションの言語に合わせて最適に、しかも自動的に行ってくれるのが、Elastic Beanstalkです。Elastic Beanstalkを利用すると、簡単にWebアプリケーションの実行環境を構築することができます。本稿でも、このElastic Beanstalkを利用していきます。