本当の「0→1」のプロダクトづくりに取り組む時には「ユーザーの声」を聞くべきではない?
――DataSignでは、どういったプロダクトマネジメントの体制を敷いているのでしょうか。
太田:お話ししたように、DataSignのプロダクトは会社のビジョンとの結びつきが非常に強いものです。そのため、プロダクト部門の部門長的な役割は、ビジョンに責任を持つ僕が担っています。
一方で、そのビジョンを実現するために必要な実装をどうするか、ユーザーにどうやって使ってもらうかなどを考えて実現していくのがプロダクトマネージャーですね。webtruについては、坂本さんがその役割を担っています。
――webtruもpaspitも、ネットにおけるパーソナルデータの扱われ方そのものを変えていくためのプロダクトという点でユニークだと感じますが、その開発や意思決定はどのように進められたのでしょうか。
太田:一般的に、プロダクト開発にあたっては「ユーザーが何を求めているのか」とか「ユーザーが困っていることは何か」といったところを起点とするケースが多いと思うのですが、われわれの場合は「世の中がこうあるべきだから、こういうプロダクトが必要だ」という、ビジョン先行でプロダクトを作っています。
今、企業やユーザーのほとんどは、パーソナルデータを取り巻く状況を「困っている」と感じていないかもしれない。でも、それをやっておかないと、数年後にクリティカルな「困りごと」になると信じてリソースを投じています。
ある意味では「ユーザーを無視している」とも言えるわけですが、僕は「0→1」のスタートアップは、そうあるべきだと思っているのです。始める時点では、世の中に受け入れられなさそうな「妄想」かもしれない。けれども、その「妄想」が認められる世の中になれば、大きく跳ねる。GoogleやFacebookのような企業は、それをやって今の地位を築きましたよね。その点で、日本では本当の意味での「0→1」のプロダクトづくりに取り組んでいるスタートアップは少ないのではないでしょうか。DataSignは、それをやっている自負があります。
――なるほど。創業からこれまでの間に、特に苦労をされたことはありますか。
太田:やはり、プロダクトマネージャーの採用についてですね。どういう人にプロダクトマネージャーになってもらうのが適切かについては、かなり悩みました。DataSignのビジョンを共有しつつ、メトリクスを追い、実際に使ったユーザーの声を聞きながらプロダクトに反映していくことができる人を見つけるのが、まず大変でした。結果的に坂本さんに入ってもらうことができて、よかったと思っています。
新たなフェーズに入ったプロダクトを任されたPMが思うこと
――坂本さんは、DataSignに入られてからプロダクトマネージャーを務められているとのことですが、以前、プロダクトマネジメントに何らかの形で関わられたことはあったのですか。
坂本:以前は研究職でしたので、どちらかというと「1人で研究して成果を出す」という仕事の進め方が多く、チームでひとつのプロダクトを作っていくという経験自体、あまりありませんでした。
DataSignに入る少し前から「プロダクトマネージャーカンファレンス」に参加したり、プロダクトマネジメント、UXデザイン、アジャイルに関する本を読んでみたりと勉強はしていたのですが、いざはじめてみると「実践に勝る上達法はない」ことを実感しています。今では、勉強も並行して進めつつ、「これはうちの会社でもうまくいきそうだ」と思うやり方を試しながら、環境づくりを進めています。
――現在、webtruのプロダクト開発チームはどのような体制ですか。
坂本:webtruの前身となったプロダクトは、2017年にMVPプラスアルファぐらいの形でリリースされたのですが、その後paspitの開発にリソースを割いたこともあり、営業やメンテナンスは続けていたものの、私が入る前までは、新たな開発を行う人がいませんでした。その間、世の中的にオンラインプライバシーに関する規制が厳しくなり、企業の意識も変わる中で、大手を含めて徐々に導入企業も増えてきました
まだまだ手売りの部分も多いのですが、プロダクトとしては、プロブレム・ソリューション・フィット(PSF)の入口に差し掛かっている状況だと認識しています。
現在のチームとしては、メインの開発者が3人。それにプロダクトマネージャーである私と、業務委託のデザイナーといった構成です。
