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【デブサミ2021】セッションレポート

ベンチャーのスピードとFinTechとしての品質を両立するためにメルペイが取った戦略とは【デブサミ2021】

【18-C-1】「スピード」と「品質」のスイッチング ~事業成長を支える生存戦略~

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 「信用を創造して、なめらかな社会を創る」というミッションを掲げたメルペイは、2019年2月にサービス開始してから目まぐるしい勢いで成長を遂げてきました。スタートアップ時点で求められるスピードと、成熟期に求められる品質。極めて短い期間の間にこのスイッチングを実現したメルペイにおける取り組みについて、@yuzutas0さん、@souさん、@hase-ryoさんそれぞれの視点からお話いただきました。

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上から、横山翔(@yuzutas0)氏、株式会社メルペイ 城戸総史(@sou)氏、同社 長谷川亮(@hase-ryo)氏
上から、横山翔(@yuzutas0)氏、株式会社メルペイ 城戸総史(@sou)氏、同社 長谷川亮(@hase-ryo)氏

スタートアップ期はスピードが勝負

 セッションは@hase-ryoさんによる「スタートアップ期のスピード勝負」からスタートしました。

 「当時はまだ、これが『当たり前』ではなかったんですよ」

 という前振りとともに映し出されたのが、QRコード決済のキットでした。既に我々の生活に浸透した感のあるQRコード決済ですが、わずか2年前、2019年頭には確かに当たり前の存在ではありませんでした。

スピードを下支えした『泥臭い』意思決定

 本格的に開発がスタートしたのは2018年4月とのことでした。そこから1年も経たないうちにサービスインしているわけですから、いかにスピード重視の体制が敷かれていたかが伺えます。

 メルペイというサービスが成立するためには、QRコードやバーコードを読み込むことが必要です。特にユーザーがQRコードを読み込む形式の場合、店頭にQRコード決済のキットを設置する必要があります。初回決済までの流れはざっくりと以下のとおり。

  1. 登録
  2. 審査
  3. 配送
  4. 店頭に設置
  5. 決済開始!

 1年で決済サービスを作り上げるためにとった戦略が「NoCode」でした。全ての機能をあるべき形で始めることはできないため、配送業務をNoCodeで構築する。一部、手動で運用を行う。メルペイ、そして親会社のメルカリは優秀なエンジニアを揃えたテックカンパニーというイメージが強かったので、こういった意思決定を行ったというのは興味深いことです。これは「ビジネス価値を顧客に届ける」ということが何より大切にされている、ということの表れだと感じました。

制約条件の中でもデータドリブンに意思決定する

 スピードを重視しながら、メルペイではデータ駆動で改善対象・目標を決めていきました。とれる数値の質には制約がありましたが、メルペイでは「代替指標」を定めることでこの課題に対応しています。たとえば店頭にQRコードが設置されたかどうかを一店一店確認することは現実的ではありません。そこで、代替指標としてはトラッキング可能な「メルペイから配送した数」を活用しています。

 また、取得したデータをデータアナリストが手動で加工し機械可読性のある状態にする「人力ETL」も行っていました。

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この記事の著者

小田中 育生(オダナカ イクオ)

 開発(Develop)を愛する人たちの集まり、DevLOVEによく出没する人。 所属する企業においては、研究開発のディレクションとエンジニアがいきいきと働けるDX(Developer eXperience)を重視した風土づくりという両輪を回し続けている。 近年はアジャイル開発に助けられているが、一番助けてくれているのはいつも一緒にいるチームメンバーたちだったりする。 Twitter:@dora_e_m note:https://note.com/dora_e_m 著書『いちばんやさしいアジャイル開発の教本』(インプレス)

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/13674 2021/03/23 11:00

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