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効果的なリモートワークを実践するためのヒントとは? Effective Remote Workingの秘訣【デブサミ2021】

【18-E-1】Effective Remote Working ~リモートワークで最大の効果を得るために~

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2021/06/09 11:00

 世界的な感染症拡大に伴い、蔓延防止対策として導入が推奨されるリモートワーク。一時的な施策ではなく、新たな働き方の選択肢として定着しつつある現在、リモートでも円滑なコミュニケーションを維持し、快適に業務を進める方法を模索する企業が増えている。緊急事態宣言から1年以上、社員の約8割がリモートワークを続けるNTTコミュニケーションズは、試行錯誤から生まれたベストプラクティスをハンドブックにまとめて公開した。リモートワーク時代において、個人として、チームとして、どうコミュニケーションに向き合い、取り組めばいいのか。デブサミ2021の講演で同社HR部の岩瀬義昌氏が語ったリモートワークのコツを紹介する。

目次

オンラインでのコミュニケーションを成功させるヒント

NTTコミュニケーションズ ヒューマンリソース部 人材開発部門 担当課長 岩瀬義昌氏
NTTコミュニケーションズ ヒューマンリソース部 人材開発部門 担当課長 岩瀬義昌氏

 新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて2020年4月、日本では外出自粛を求める緊急事態宣言が発出された。以降も感染防止に向けて大人数が1カ所に密集する活動を避けるよう呼びかけが続き、企業は業務上可能な部署に対してリモートワークを導入開始。今ではオフィスに出勤しない業務スタイルを感染症対策の一時しのぎの施策ではなく、働き方の1つのオプションとして組み込む企業も増えている。

 そんな中で、リモートワークが普及することで見えてきた課題もある。その1つが、コミュニケーションの難しさだ。理由はさまざまあるが、その多くはリモートだからこその工夫や最適化がうまくいってないことに集約できる。

 では、どうすればうまくオンラインでコミュニケーションがとれるのか。そんな疑問に答えるガイドライン「リモートワーク ハンドブック」が昨年、NTTコミュニケーションより公開された。同社では緊急事態宣言以降、約8割の社員がリモートワークに移行している。当初は試行錯誤など苦労があったものの、さまざまな気づきや学びで改善を繰り返した結果、今では約6割以上が生産性向上の効果を感じていると、同社ヒューマンリソース部の岩瀬義昌氏は明かす。

NTTコミュニケーションズのリモートワーク移行状況
NTTコミュニケーションズのリモートワーク移行状況

音質重視に同期型、メールよりもチャットがおすすめの非同期型

 どうすればリモートでも円滑なコミュニケーションを図れるのだろうか。岩瀬氏は、コミュニケーションを「同期コミュニケーション」「非同期コミュニケーション」「ファシリテーション」の3つに分類して説明する。

 同期コミュニケーションとは、Web会議など音声や映像を使ったリアルタイムのコミュニケーションだ。同期コミュニケーションで最も重要視すべきは、音声だ。理由は、映像がなくても会話は成立するが、音が悪いと意思疎通が難しくなるからである。

 音質を上げるためのポイントは、マイクの位置が固定されていて音質および音量が安定するマイク(例えばヘッドセット型)を選ぶこと、無線LANよりも有線LANでWeb会議すること、電力状況によってCPUパフォーマンスが上下し音質に影響が出ることがないようPCの電源アダプタはつないでおくこと、PPPoE(IPv4)よりも比較的すいているIPoE(IPv4/IPv6)で速度を確保することなどが挙げられる。

 もちろん、映像もコミュニケーションを豊かにする大切な要素だ。画面越しでも聞き手がうなずいたり笑ったりしているのが分かれば、会話も弾む。岩瀬氏によると、ポリコム社が実施したアンケート調査では2万4000人以上の回答者のうち92%が「映像を活用したほうがチームの関係性が改善し、チームワークの向上につながった」と回答したという。岩瀬氏は、状況が許す限り、なるべく顔を出してコミュニケーションすることを勧めた。

 一方の非同期コミュニケーションとは、メールやチャットなどのビジネスチャットツールを活用したコミュニケーションだ。ただし、岩瀬氏は「メールよりもチャットを使う文化を作ろう」と提案する。理由は、「メールでは冒頭や末尾に定型文を入れるなどのオーバーヘッドが大きく、送信先を間違えるなどのミスも起こりがち」だからだ。

 さらに、非同期コミュニケーションで重要なのは、会話を誰もが確認できるよう可視化し、透明性を担保することだとも述べる。そのためにも、ダイレクトメールやプライベートチャネルでの会話は避けることを提案する。ダイレクトメールなどは当事者間で情報が閉じてしまいがちで、その旨を知らされない周囲に不信感を抱かせる。また、その個人が異動や退職をした場合、背景や経緯が失われてしまい、「例えば何かネットワーク障害が発生したとき、影響範囲が分からないといった事態も起こりかねない」と警鐘を鳴らす。

 ダイレクトメールが届いてしまったときは、どうすればいいのか。そのときは、岩瀬氏は「このトピックはとても価値があるので、メンバー全員で共有したい」とパブリックチャネルへの展開を誘っているそうだ。

ファシリテーションで気軽に発言できる場を作る

 ファシリテーションは、コミュニケーションを円滑に進めるためのテクニックだ。書籍『THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法』で言及されるMIT教授のアレックス・ペントランド氏の研究結果によれば、「パフォーマンスの高いチームは、チーム全員の発言量が同じで1回の発言が短く、メンバー同士が直接対話しており、個人的な雑談もしている」と述べている。この状態を目標にコミュニケーションをハンドリングするのが、ファシリテーターの役割だ。

 ただし、ファシリテーションはなかなか難しい。例えば、一通り説明したあとで「何か質問ありますか?」と聞かれ、沈黙が流れたことはないだろうか。または、特定の議論が盛り上がりすぎて質問や発言のタイミングを逃したことはないだろうか。これがオンラインとなると、さらに相手が見えづらくなり、メンバー間の隔たりが大きくなる。

 こうした状況を回避し、個々が気持ちよく発言できる場を作るために、岩瀬氏は会議の本題に入る前に、意図的に雑談するようにしている。始めにみんなが声を出すことで、発言に対する心のハードルが少し下がる。また、会議形式によっては、先に議題を黙読して「この質問はAさんに答えてもらおうかな」と呼びかけてから議題を読み上げる。これにより、Aさんは考える時間ができ、ミュート状態であれば解除してすぐに発言できるよう準備をしてくれる。


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著者プロフィール

  • 谷崎 朋子(タニザキ トモコ)

     エンタープライズIT向け雑誌の編集を経てフリーランスに。IT系ニュースサイトを中心に記事を執筆。セキュリティ、DevOpsあたりが最近は多めですが、基本は雑食。テクノロジーを楽しいエクスペリエンスに変えるような話が好きです。

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