あなたの開発組織はどうですか? ヤマップでの不確実性に対する心掛け
- 技術先行で素早くアイデアを実現し、検証を行うことができる仕組みはありますか?
- ツールの導入にとどまらず、フィードバックと情報共有の文化は根付いていますか?
- メンバーの専門性を生かしながら、属人化を避けることはできていますか?
- 不確実な状況のなかで「早めにうまく失敗する」ための、心理的な余白はありますか?
現場の熱意をユーザーと共有する文化が、プロダクトに磨きをかける
スタートアップ企業のエンジニアリング組織には、不確実性のなかでスピード感を持った開発が要求される。YAMAPでは、戦略をすぐに機能として提供できる組織力がある。その片鱗は、アプリの正式な機能として採用する前に、開発中の機能をユーザーに公開する実験的な場である『YAMAP LABO』にも現れている。こうした柔軟な取り組みの背景には、どんな組織体制があるのだろうか。
プロダクトマネージャーの大塩氏は、組織自体が方向転換しやすくなっていると話した。半年ごとに会社の目標と達成度を測る指標であるOKR(Objective and Key Result)を定めていて、さらに3か月ごとに社長と、事業のトップのメンバーが集まり、意識合わせをしている。
「2020年、ちょうどコロナ禍に差し掛かった時が3か月の見直しのタイミングでした。そのときも、意思決定の権限を持っているメンバー全員がその場で一堂に会し、一気に判断できました。上層部の意思決定がスムーズなのも、スピーディーな開発につながっています」(大塩氏)
上層部のOKR決定や振り返りの際には、現場のエンジニアの「こんな機能を作りたい」というアイデアも加味される。登山やアウトドアが好きなメンバーが集まった組織だけに、現場の想いを汲み取ることが、エンドユーザーに対する価値提供につながるからだ。
YAMAPが小さな組織だったころは、社長の熱意に呼応するような、社員の提案による開発が行われてきた。組織が大きくなるに従って、その秩序を保つためにOKRの仕組みを取り入れた現在でも、現場の意見を採用する文化はそのまま根付いており、それが今ではYAMAP LABOへと受け継がれている。
登山ルートから離れたら警告する『ルート外れ警告』は、YAMAP LABO発で正式にサービスとしてリリースされた機能。これを主導したAndroidエンジニアの落石氏は「普段の仕事を止めて、半日くらいで実装して社内のブログみたいなところに共有して……YAMAP LABOとして展開してみようとなったのです。LABOで公開しているものは、研究中とか、ベータ版という意味合いを持つので、ユーザーもその気持ちで使ってもらえて、もしもうまくいかなかったら手を引けます。うまくいけば本サービスに採用します」と説明した。
YAMAP LABOは価値検証のため、技術先行でさまざまなアイデアを披露する場として機能している。売上のKPIを持たずにカジュアルにリリースできるため、スピード感を持った提供が可能となっている。また、たとえベータ版であっても、本サービスの機能と同じようにユーザーが利用することでフィードバックを得ることが、プロダクトのグロースにつながるという。