働く環境で最も重要視するのは、一緒に働く上司・同僚
続いて紹介されたアンケート結果は、会社選びと働く環境で重要視する点について。会社選びのトップは仕事内容・給料、働く環境のトップは上司・同僚となった。
朝岡:世界ランキングで見ると、日本における男女の賃金格差は、OECD加盟国の37カ国中で36位という不名誉なワースト2。女性の管理職比率も、189カ国中165位、極めて低い数字です。だから女性が、給料が大事だという方が多い要因の一つだと思います。
鈴木:私は企業文化・社風、そして上司・同僚といった一緒に働く人が大事だと考えています。たとえ仕事内容が自分に合っていても、周りの人と合わないと仕事を続けていくのは難しい。辛いときや悩める時期を乗り越えられたのは、周りの人のおかげだと思うからです。
笹谷:私も一緒に働く上司・同僚が大事ですね。もう一つ大事にしていたのは、人生計画を持っていたので、できれば転勤がないこと。つまり、勤務地にはこだわっていました。
西脇:自分自身が上司や同僚などの周り人たちに恵まれた環境にいたので、すごく重要だと思っています。さらに加えて、最近意識しているのは、経営者や会社のビジョンですね。例えば、育児などで時短勤務になると働ける時間が限られてしまうので、どこに突き進むべきか示してくれることは重要だと考えるようになりました。
女性を理由に仕事上の不都合を感じたことはある?
次のトピックは、女性であることを理由に何か不利益をこうむったことがあったかについて。登壇者たちは幸い不都合を感じた経験は少なかったようだが、アンケートではかなり深刻な悩みが寄せられた。大きく分けると、ハラスメントに関するもの、産休・育休・介護などのライフステージ上の変化、仕事上の男女差別といった、3つに関する体験・悩みがあるようだ。
西脇:家庭も育児もプロジェクトなので、誰か1人に負荷がかかる状況ではうまくいかないと思います。また、誰か得意な人に任せるだけもダメですね。家族で協力して乗り切る必要があると思います。
朝岡:仕事上での男女差別やハラスメントに関しては、いわゆるアンコンシャス・バイアス(無意識バイアス)によることが多いと思います。ただキャリアの障壁となるのは、実は男女差よりも、先輩の女性によるケースも少なくありません。
「自分は乗り越えてきたから、あなただって頑張れる」と、応援する気持ちで言われる。「女王蜂症候群」と呼ばれる、今より女性に風あたりが冷たかった時代に、男性と同じように振る舞い、出世するためにいろいろなことを犠牲にしてきたことを、後輩の女性たちに対しても強いる現象です。
男社会の中で必死に頑張ってきて、育児も仕事も完璧にこなすスーパーエリート上司だけど、ロールモデルになるかというとちょっと違う。そういう場面に出くわしたら、逃げるが勝ちです。頑張らなきゃいけないって固執してしまうと本当に辛いので、一旦逃げてみることも一つの手だと思います。たとえ今は逃げたとしても、自分のアイデンティティをしっかり持っていれば、最終的にはハッピーなキャリアを築いていけると信じることをお勧めします。
最後に、今回のセッションのまとめが以下のように紹介された。モヤモヤと悩みを抱えている女性だけでなく、女性の上司・同僚を持つ男性にも気づきを与えたのではないだろうか。
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