コンサルティングファームでデジタル人材に求められることとは
2つ目のテーマ、「コンサルティングファームに入って大変だったことは?」については、まず岡氏が、事業会社からBCGに限らずコンサルティングファームに移って感じた大きなギャップとして、「クライアント向けの資料作成の量と質の違い」をあげた。
「IT周りの案件を事業会社で行なっていると、対外向けの資料を作成することは皆無に等しい。しかし、コンサルティングファームでは資料作成の機会も多く、さらに質の高いものが求められるため苦労した」と語り、「特にBCGでは、前職の総合コンサルティングファームと比べて倍ものスピード感で進んでいくので、はじめはついていくのが大変だった」と振り返った。
村山氏は、「以前はITの知識が豊富なメンバーに囲まれて仕事をしていたので、あえて言語化しなくてもデザイナーの考えていることや役割を理解してもらっていた。しかし、BCGのクライアントにはこれからデジタルを学ぶという方も多く、その中でデザイナーの思考をわかりやすく伝えなければ存在意義を理解してもらえないこともある。クライアントとのタッチポイントでは本質が伝わっているか、何度もプレゼンを練習した。今でも緊張感を持ちつつ、同じ職種の先輩のサポートを得ながら乗り越えている」と語った。
近藤氏は、「事業会社にいたときは、コンサルティングファームの方の資料の完成度の高さとプレゼンのうまさ、そして、スピード感に圧倒されていた。しかし、実際に”中の人”になると、皆がそれぞれ工夫して努力していることを知った」と笑う。
さらに、「事業会社もコンサルティングファームも、自分自身の役割として問題解決という本質は変わらないと思っていた。しかし、やり方が違っている。よく”木を切ることと木の切り方を教えること”に例えて話されることがあるのだが、事業会社では”木を切ることができれば良い” と認識していたのが、コンサルティングファームの場合は、一過性ではなく、関わった後で木の切り方やスピードが改善されている必要がある。いわば、プロジェクト内で木が切れていなくてもいいが、その後、クライアント企業が恒常的に”木を切れる”状態になることが重要。考え方のロジックを変える必要があったことが大変だった」と語った。
多彩な経験や体系化された知見が得られ、短期間で成長できる場所
そして、最後のテーマ「自分のキャリアにとって、コンサルティングファームに入って良かったことは?」という問いに対し、まず近藤氏は「自分の”幅出し”ができたのは大きな収穫」と述べ、「もう1つ、事業会社にいてOJTで育ってきた私にとって、BCGに入って基本的なコンサルティングトレーニングを受けたことは新鮮だった」と語る。たとえば、議事録の書き方や会議の設定も自己流で行なっていたことに気付かされ、初めて基本的なスキルとして体系的に身に付けられたという。
村山氏は、「デザインはもちろん、コミュニケーションなどあらゆる面で引き出しが増えたこと」と答えた。「事業会社では会社のデザインの色やプロジェクトの進め方などに社員同士の共通認識があった。しかし、コンサルティングファームでは短期でクライアントやプロジェクトメンバーも変わり、求められるデザインやトレンド、コミュニケーションの仕方も変わる。そのため、短期間でデザインはもちろん、プロジェクトを進めるための手法について引き出しが増え、変数が多いプロジェクトで予期しない状況に陥っても、メンタルも含めて動じずに柔軟に乗り切れる力がついた」と語った。
岡氏は、「事業会社では仕事の内容に変化があまりなかったが、コンサルティングファームではtoB/toCはもちろん、業界なども全く異なる案件が経験できる。将来的には専門領域を絞り込むつもりだが、決め打ちではなく経験した中から選び取りたいと考えているので、自分に合っている」と語った。
そして、最後に改めて「キャリアを考える上でコンサルティングファームも選択肢の一つにすることで、より良いキャリア形成ができるのではないか」と語り、セッションのまとめの言葉とした。
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デザイン、データ、テクノロジーの専門性を駆使し、戦略コンサルタントと共に、クライアントや社会に経営インパクトをもたらすこと。BCGのデジタル組織の価値には、個々のエキスパートの成長が 何よりも大切だと考えます。