OSSを採用する企業が増加する中、デメリットにはどう対処する?
Aivenは2016年にフィンランドで設立され、クラウドデータ基盤のフルマネージドサービスを提供している。「今日は是非、Aivenがデータインフラをシンプルにする会社だと憶えて欲しい」と三谷氏は言う。同社は、オープンソースソフトウェアとクラウドの専門家集団でもあり、グローバルで1000社以上の顧客がいる。
「Aivenのルーツはオープンソースにあります」と三谷氏。オープンソースソフトウェアが業界に革新をもたらすトレンドに、同社が一役買っていることには誇りを持っていると言う。実際、オープンソースソフトウェアのライセンスの利用は、2021年には商用ソフトウェアの利用を逆転したとの調査結果もある。「オープンソースを採用する企業はますます増えており、このトレンドは長く続くと考えられます」とも言う。
オープンソースソフトウェアの利用が進む一方、管理、運用の手間、セキュリティの担保、マルチクラウド対応などに課題もある。たとえばオープンソースのデータベースの管理、運用では、障害時のダウンタイムでサービスレベルが低下する懸念がある。さらに障害対応にリソースが割かれ、サービス開発が遅れかねない。
セキュリティ担保のためには、各種コンプライアンスやガイドラインに則した対応が求められ、専門家によるセキュアなネットワークの構築や暗号化なども必要だ。また最近はマルチクラウド対応への要求も高い。たとえば、AWSで運用しているデータベースの冗長構成で、障害発生時のスタンバイデータベースをGoogle Cloudに構築するケースがある。この場合、アーキテクチャが複雑になり構築コストも増大しがちだ。「アーキテクチャ的に十分でないマルチクラウド環境では、障害時にマニュアル対応によるオペレーションミスの発生や、ダウンタイムの増加につながります」と三谷氏は指摘する。
Aivenでは、さまざまなパブリッククラウドベンダーのインフラを使い、オープンソースのクラウドデータサービスを提供している。Aivenが管理することで、顧客はビジネス特有の要件や機能の構築に専念できる。Aivenのサービスは高い可用性があり、顧客サービスのダウンタイムも発生しない。セキュリティに関してもPCI-DSSやHIPAAなどのグローバルのセキュリティ基準に準拠し、安心して利用できる。「オープンソースのテクノロジーを提供する企業の中で99.99%のSLAは業界トップレベルです。実際のサービスレベルは、2021年には99.997%を達成しています」と自信を見せる。
Aivenのサービスの利用で、DBA1人当たりの担当データベースが2倍、IaaS上の管理コストが37%低下し、IaaSを自分たちで管理するより、4倍ほど速く展開できるとの生産性向上の成果もある。Aivenのサービスは、スタートアップ企業はもちろん、中堅のデジタルネイティブ企業、トヨタ(北米)のような大企業まで幅広い企業が利用している。