フルマネージド型「TiDB Cloud」も利用可能
TiDBはフルマネージド版となる「TiDB Cloud」も利用できる。AWSやGoogle Cloudのクラウドプロバイダー上で、TiDBを従量課金制で利用できる。こうしたクラウドプロバイダーで有料で提供されるものは「Dedicated Tier」と呼ばれる。
フルマネージド型なので、クラウドプロバイダーで設定すれば利用開始できる。サーバーを用意する、ソフトウェアをインストールする、ロードバランサーを立てて、障害対応やメンテナンス対応するといった構築と運用作業はPingCAPに任せることができるのがメリットだ。
なお現在、無償トライアルが提供されている。サイトを開き、サインアップしたら、後はクラスタを設定していく。
クラスタの名前、クラウドプロバイダー(※無償トライアルではAWSのみ提供)やリージョン、コンポーネント数や容量などを入力して、最後に「Create」をクリックする。この背後ではVPCの作成し、セキュリティグループの作成、EC2やロードバランサーを立てるといった処理が自動的に進められる。一般的には15~20分ほど待つと、ステータスが「Available」に変わり、「後はMySQLっぽく使えます」と林氏。SSHクライアントからデータベースの一覧を表示したりできる。
ChatGPTを統合し、自然言語からクエリを自動生成
TiDBで目を引く話題となるのが今人気のAI、ChatGPTとの統合だ。エンジニアならChatGPTのアウトプットのサンプルを見たことがない人はいないだろう。TiDB Cloud Serverless TierではChatGPTを使うことでクエリ生成機能を実現している。つまり、自然言語を入力することで(SQLを知らなくても)有効なクエリを作成できる。例えば「2020年の本塁打数トップ10」と入力すれば、SQLが自動生成される。
実在するデータベースのスキーマを理解し、該当のデータベースを指定し、選手名・本塁打などの項目を選び、「ORDER BY 本塁打」や「LIMIT 10」などを組み込んでクエリ生成を生成する。これをアプリケーションに組み込めば、ユーザーは自然言語から好きな情報を取り出せるようになる。
最後に林氏は「NewSQLとHTAPを併せ持つTiDBにより、今まで複数のシステムで実現していたサービスが1つのデータベースで構成できるようになり、全体の運用コストと学習コストが抑えられるようになります。もう大容量、高性能、分析といった要件は怖くありません。さらにAIのクエリ生成機能を使えば、ユーザーのカスタマイズ性を高めるサービスを作れます」とTiDBのメリットを強調した。