進むテスト自動化、一方で効果が出ない/実現できないのはなぜ?
矢野氏は長らくテスト自動化の現場に携わってきた。機能テストの現場では「より早い段階から品質に取り組みたい」、負荷テストの現場では「負荷テスト実施後の問題解析をより楽にしたい」、またどちらの現場でも「デプロイ待ちの時間をなくしたい」、「テスト環境、テストデータ準備の待ち時間が長い」という課題が指摘されてきた。こうした課題は近年登場しているDevOpsツールチェーンにより「ほぼ解決できる時代となりました」と矢野氏は言う。
多くのプロセスで自動化が実現できるようになったものの、それでもまだ「すぐに取り組めない」「効果を出せない」と逡巡する現場も少なくない。現実的な悩みどころを矢野氏は3つ挙げる。
課題1:ツールは入れたが効果が出ない
回帰テストツールを導入して自動化したものの、課題はテスト作業だけではなくテスト設計にもあるなど、ツールの適用範囲が限定的で十分な効果が発揮できない。
課題2:品質担保の範囲が限定的
テスト環境の要因で品質保証が十分行われないこともある。例えば、大規模負荷テストを実施しようとしたものの、端末の調達や計画が十分ではなく、想定以下の負荷量でテストを実施。結果的にリリース後に想定以上の負荷がかかりシステムダウンを引き起こしてしまった。
課題3:どこから始めたらいいか分からない
アプローチはいろいろとあるものの、逆にどこから始めたらいいのか分からず足踏みしてしまう。そこで「他社の成功事例を知りたい」「どのプロセスから着手するのが最適か」と正解を模索する。
迷っていても容赦なく時代は変化する。かつてウォーターフォール型の開発では時間をかけて高品質を担保していた。ところが近年では営業がタブレットで商談するなどIT環境の変化は激しく、かつてのように半年から数年規模も時間をかけられず、短納期のプレッシャーは強くなっている。従来のように品質は担保しつつも、スピードアップを求められる。矢野氏は「ツールを入れれば一定の効果は出せるが、十分な要求を満たすレベルにはまだ至らない。お客様もアジャイルやDevOpsの勉強をしているが、実際にどこから着手すべきか分からない。そんな話をよく聞きます」と話す。