こんなエンジニアとスクラム開発してみたい……GPT-4とゼロからプロダクト開発!
続いては、ログラス株式会社のエンジニアリングマネージャー 伊藤博志氏が紹介してくれた事例を見てみよう。伊藤氏は、GPT-4と一緒にスクラム開発を行ったという。しかも、現在進行中だそうだ。AIと一緒にスクラム開発をするとは、どういうことだろうか?
「まずプロダクトを“ChatGPTさん”に考えてもらい、そのうえで要件や仕様、さらにはプリントゴールやバックログなども考えてもらい、最後には振り返りを行ってもらいます」と伊藤氏は述べた。つまり、プロダクト開発の全てを一緒に進めたようだ。
まず「一緒にアプリを作りましょう」と問いかけたところ、インタラクティブストーリーアプリ、クリエイティブチャレンジアプリ、バーチャルベッド、謎解きアプリといった、クリエイティブな案が返ってきた。またそれにとどまらず、プロダクトの名前やそこに込められた意図まで回答してくれたという。最終的にはその中から、物語を紡いでくれるアプリ「TaleWeaver!」を作ることにした。
何を作るかが早くも決まった。ChatGPTに次のステップをしたところ、要件定義を提案してくれた。しかも、要件定義書を書き、シーケンス図まで作成してくれた。
ここまで、アイデアから名前・要件・仕様・アウトプット、全てChatGPTが考えてくれている。最初のスプリントにとりかかるべくバックログアイテムを作るように依頼するとアイテムを適切に整理し、提案してくれた。
あとは伊藤氏がGitHubにコピペしてバックログアイテムの作成が完了。その後実装も依頼してみたが、問題なくこなしたという。
「僕自身はPythonを使ったことがないのですが、ChatGPTさんがFastAPIで書いてAPIを作成してくれました。また、次のバックログアイテムであるフロントエンドの初期実装ではホームページとストーリーのページを作ってくれました。
あと、通信機能を作るところでAxiosをフロントエンド側に足したのですが、この時点ではバックエンドがリリースされていないので404が返ってきました。『これで期待通りですか』と聞いたら、『はい、その通りです。次のBacklogで解消されるんで、安心してください』と、人間のエンジニアみたいな返答が返ってきました」(伊藤氏)
このように実装は進んでいき、見事スプリント1がゴール。振り返りを行う依頼をしたところ、KPTを並べ、「コミュニケーションが良かった」というフィードバックまで返ってきた。
「僕もKPTを振り返ってみて、どうですかと聞いたら、このプロジェクトに参加できてめちゃめちゃ嬉しいと素直なコメントをくれました。でも、途中でちょっとコードの確認不足があったと反省もしてもらい、これからも一緒にやっていこうという前向きなコメントもくれました。思わず、こんな優秀なエンジニアと働けることがめちゃめちゃ楽しいなと思ってしまいました」(伊藤氏)
登壇時では、スプリント2まで完成しており、ほぼ1日で完了したそうだ。
「実は最初のスプリントでは必要のない作業に時間を費やしてしまい、2~3時間かかってしまいました。しかし、スプリント2は1時間以内で完了しました。正直コピペのほうが時間がかかってしまったぐらいです。このように、私は共同開発ができるレベルに達していると感じていますが、まだ問題点もありますので、後日紹介します」と制限時間に入りきらなかった部分についても補足し、伊藤氏は発表を終えた。