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開発生産性の多角的視点 〜開発チームから事業経営に開発生産性を波及させるには?〜

「開発生産性」はエンジニア"だけ"のモノではなくなった?──開発組織から経営層までが開発生産性を考える時代へ

開発生産性の多角的視点 〜開発チームから事業経営に開発生産性を波及させるには?〜 第1回 


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 「開発生産性」がホットな話題となっています。Four KeysやSPACEといったスタンダードと言える指標もできあがりつつあり、エンジニアリングの成果が直接ビジネスの成功に結びついている例も少なくありません。しかし、開発生産性の評価を行う際にはエンジニア側の視点だけでなくビジネス側の要求と、期待をもとに逆算することが不可欠になっていますが、エンジニア側の視点に閉じてしまう例がしばしば見受けられます。本連載では、開発生産性を起点にビジネスとエンジニアリングの課題に切り込み、ビジネス側からの逆算の意義や可視化の方法、エンジニアと事業側が抱く開発生産性に対する異なる視点とそのギャップの埋め方に焦点を当てていきます。

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はじめに

 本連載は、ソフトウェア開発における「開発生産性」にスポットを当てていきます。タイトルにもある通り開発生産性の多角的視点をテーマにしています。単なる生産性を上げる方法ではなく、少し抽象度をあげて「強い開発組織及び企業を作るための開発生産性」について考えるべく、組織・プロダクト・お金といった全体から開発生産性を述べていきます。本連載は以下のテーマを想定しています。

  • 第1回 : 開発生産性はエンジニアだけのモノではなくなった(今回)
  • 第2回 : 開発チーム × 開発生産性は、1人月あたりの生産性と向き合う
  • 第3回 : 仮説検証 × 開発生産性 は、プロセスと組織設計と向き合う
  • 第4回 : 事業/経営 × 開発生産性 は、お金と持続可能な資産と向き合う

 第1回は、連載全体のアウトラインをさらうような、全体像を理解してもらう形を目指します。

1.1 開発生産性の現在地点

 近年のソフトウェア開発の現場で 「開発生産性」 というワードをよく聞くようになりました。以前は、開発チームのエンジニアがデプロイ回数や障害発生率などソフトウェアライフサイクルに絞っての議論が多かったですが、最近ではそこを飛び越え事業責任者や経営層も徐々に関心を持ち始めています。

 「開発生産性」というざっくりとしたワードが独り歩きする中、Google Cloudの「DORA(DevOps Research and Assessment)」を中心に「State Of Devops Reports」のレポートが毎年発表され始めました。

 そこから派生する形で『Accelerate』(日本語訳版は『LeanとDevOpsの科学』というタイトルで出版されています)といった2018年に書籍として発売され、Four KeysやSPACEのようなやり方が標準化し、開発チームのパフォーマンス測定がより精密に行われるようになってきました。

2022年のState of DevOps Reportと『LeanとDevOpsの科学』
2022年のState of DevOps Reportと『LeanとDevOpsの科学

 また、国内でも開発生産性に関するカンファレンスやイベントが増加しており、この分野への関心の高まりが伺えます。

1.2 開発生産性は誰のものか

 まず初めに述べておきたいことは、開発生産性は単なる開発チームだけの問題ではなく事業と経営に関連する重要なトピックに成長しています。

 最近では、LLM(大規模言語モデル)を中心としたテクノロジーの急速な進化によって、事業環境は益々激しい変化に対応する必要が出てきました。各社「追いつけ追い越せ」の精神で、開発スピードを伸ばす施策を数多く打つようになり、開発生産性という言葉自体が、その企業の価値提供スピード=企業価値を表すような単語になり始めています。

 一方、そんな開発生産性の議論が、開発組織の外に出ると経営層を中心として伝わらない理由は何でしょうか。

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1.3 開発生産性が経営層に伝わらない理由は、"言語"が違うから

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この記事の著者

石垣 雅人(合同会社DMM.com)(イシガキ マサト)

 DMM .comにエンジニア職で新卒入社し、翌年からプロジェクトマネージャーを務める。 いくつかのプロダクトマネージャーを経て2020年、DMM.comの入り口である総合トップなどを管轄する総合トップ開発部の立ち上げを行い、部長を従事。 現在はプラットフォーム事業本部 第1開発部 部長 / VPo...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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